• BANGER!!! トップ
  • >
  • 映画
  • >
  • モタモタしてたら即あの世行き! 最凶リアル脱出ゲームの恐怖を描く『エスケープ・ルーム』

モタモタしてたら即あの世行き! 最凶リアル脱出ゲームの恐怖を描く『エスケープ・ルーム』

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook
ライター:#BANGER!!! 編集部
モタモタしてたら即あの世行き! 最凶リアル脱出ゲームの恐怖を描く『エスケープ・ルーム』
『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

もしリアル脱出ゲームが命がけのサバイバル競争だったら……?

何年か前から健康な人々の間では“リアル脱出ゲーム”系のイベントが流行しているようだが、そういった体験型の脱出ゲームはおろかPC/アプリ版すらプレイ経験のない皆さんにとっては、実際どんなゲームなのか詳細をイメージできないというのが正直なところだろう。もし、そんな人が映画『エスケープ・ルーム』を観たら、世の中のリアル脱出ゲームに対して「めちゃくちゃ恐ろしい地獄ゲームじゃねえか……」みたいな間違ったイメージを抱いてしまうかもしれない。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

『エスケープ・ルーム』は実際、観ているだけで全身に力が入って筋肉痛になりそうな、とにかくハラハラ・ドキドキ満載の映画だ。物語はシカゴの大都会に建つ高層ビルに、主人公たちが招待されるところから始まる。メンバーは、頭は抜群に切れるが引っ込み思案の学生ゾーイ、株トレーダーとして成功しているジェイソン、貧乏フリーターのベン、お喋りトラック運ちゃんマイク、ガリ勉インド系男子ダニー、退役軍人のアマンダという、年齢も性別も世代もバラバラな6人。どうやら、ここでリアル脱出ゲームに参加せよということらしい。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

このゲームは「最難関の部屋から最初に脱出した者に1万ドル」という報酬が約束されていた。1万ドルって大したことなくね? と思ってしまうが、余興として参加するのであれば十分な額だし、あまり高額だと怪しまれるおそれもあるだろう。さっそく脱出ゲームのマニアらしいダニーは楽しそうにゲームのコツを解説するが、ちょっと一服してくるわ……とベンが部屋のドアを開けようとしたところ、ドアノブがポロリして出られなくなる。そう、ゲームはもう始まっていたのだ。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

敵は殺人ゲームだけじゃない! 過去のトラウマが各々の命を危険に晒す!!

数字や鍵穴など部屋の中にあるヒントを捜し、なんとか脱出を試みる参加者たち。しかし、部屋の四方八方からメチャ熱いヒーターが登場し、すっかり囲まれてしまう。これがまたガチで熱いものだから「マジで死ぬんじゃね……?」と徐々に必死になり、早くもメンバー同士の雰囲気は最悪(パニック障害などを抱えている人は要注意)。ひとり冷静さを失わないゾーイが頼もしいが、明らかな主人公がいないので誰に死亡フラグが立っているのかわからず、あまりの緊張感に直視するのが辛くなってくる。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

さらに、アマンダが過去のトラウマからパニックに陥り、ベンにも暗い過去があることがわかり、ジェイソンやゾーイも含め各々が抱えたトラウマをフラッシュバックで描くことで、ゲームとは別方向から緊張感やカタルシスを作り出していく展開が秀逸。命がけの密室サバイバルというと、どうしても『CUBE』シリーズ(1997年~)や『ソウ』シリーズ(2004年~)のような血みどろ~拷問系を想起してしまうが、本作は脱出ゲームの本懐である謎解き要素を重視しているので、楽しさを損なわないレベルで進行していくのがミソだ。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

また「あ、こいつは死んでもいいかな……」という奴に限ってしぶといのも、サスペンス/スリラーの定石。頼もしいと思っていた奴がクズだったり、KYだと思っていた奴が意外とムードメーカーとして機能していたりと、いちいちこちらの予想を裏切ってくるところも楽しい。キャラクター同士の関係がギスギスしていくのもこのテの作品の見せ場のはずだが、個性によってチームワークが働いていくところなどはとても現代っぽいと言えるだろう。そのぶんキャラクターに感情移入できてしまい、それが後々ツラくなるのだが……。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

なお有名キャストはほとんど出ていないが、Netflixオリジナルシリーズ『ロスト・イン・スペース』(2018年~)のテイラー・ラッセルや、同じくNetflix『Marvel デアデビル』(2015年~)などのデボラ・アン・ウォールには馴染みのある人も多いだろう。ともあれ、ラストまで謎に包まれた黒幕の件がめちゃくちゃ気になるので、ぜひともリベンジ編の製作を期待したい。

『エスケープ・ルーム』© 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

『エスケープ・ルーム』は2020年2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

Share On
  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

『エスケープ・ルーム』

謎の送り主からの招待状に応じ、賞金1万ドルが懸かった体験型の脱出ゲームに参加することになったのは、内気な理系女子大生ゾーイ、冴えないフリーターのベンら男女6人。
いきなり外界から隔絶された部屋に閉じ込められると、姿なきゲームマスターが仕掛けた邪悪なトラップに翻弄され、タイムリミットが迫る極限状態で命がけのゲームを強いられていく。
難関を死に物狂いでクリアしていくうちに、やがて全員が大惨事からの“唯一の生存者”という共通の過去を持つことが明らかになるのだった……。

制作年: 2019
監督:
出演: