ニコラス・ケイジと獰猛な珍獣とマッチョな殺人鬼が三つ巴のガチンコバトル!『ザ・ビースト』

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ライター:BANGER!!! 編集部
ニコラス・ケイジと獰猛な珍獣とマッチョな殺人鬼が三つ巴のガチンコバトル!『ザ・ビースト』
『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

我らがニコラス・ケイジの主演作がまたまたお目見え! どんな作品でも唯一無二の存在感を放つニコケイだけに、いわゆる“ニコケイ・ウォッチ”をライフワークにしている映画ファンも少なくないと思うが、最新作『ザ・ビースト』(2019年)はニコケイ全盛期の90年代サスペンス・アクションを彷彿させる、久々にスケールの大きいエネルギッシュな快作だった!!

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

職業アニマルハンター! 倫理観マイナス100点のガハハ親父をニコケイが好演

『ザ・ビースト』は冒頭、南米のジャングルで罠らしきもの仕掛けているアニマルハンター、フランク(ニコケイ)の姿を映し出す。どうやら獲物は恐ろしくも美しい珍獣“ホワイトジャガー”のようだ。鋭い爪と牙で襲われそうになりながらもなんとか捕獲に成功したフランクは大喜びするが、ホワイトジャガーを“白い悪魔”と呼んで恐れ崇めている地元の村人たちは「聖獣を売って一攫千金!」なフランクを激しく非難。しかし、彼は「そんなの知るかよ、俺は金脈をゲットしたんだ!」と意に介さない。

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

倫理観がボロクソな主人公フランクには全く感情移入できないが、こういうクズ野郎を演じるときのニコケイこそ最高なのだということは、ファンでなくともご存知のはず。その期待を裏切らず、人生綱渡りなガハハ系オヤジながら、どこか影のあるフランクを嬉々として演じているニコケイが頼もしい。というか実際にこういう性格の人で、そもそも演じる必要がないのかもしれない、というところも彼の大きな魅力なのだ。

さて、そんな希少動物をボロい貨物船で運ぶことになるフランクだったが、なぜか同じ船で米情報部(CIA?)が、かなりヤバい犯罪者を護送するという。物々しい警備の中ドドーンと登場する殺人鬼ラフラーを演じるのは、ケヴィン・デュランド! ラフラーは任務中にテロリストに成り下がった元兵士で、しかも特殊部隊あがりというもっとも厄介な類の異常者だ。そんな男を、マッチョ系ではあるが淡~くエレガントなオーラを放つ名脇役デュランドが演じるということで、ニコケイとの初本格絡みに期待が高まる。

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ファムケ・ヤンセン姐さんも参戦! 豪華キャストが重厚感を演出

密室空間と囚人といえばニコケイの代表作『コン・エアー』(1997年)だが、近年ニコケイはビッグバジェット作品への出演が少なくなっているので、必然的に特異なシチュエーションを舞台にした作品が多い。しかし、本作にはデュランドの他にも重要な役柄でファムケ・ヤンセンが出演していて、ひと昔前ならば大作扱いであってもおかしくない豪華さだ。

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ファムケといえば、『007』史上もっとも声に出して読み上げたくなるボンドガールことゼニア・オナトップ(『007/ゴールデンアイ』[1995年])で一躍スターとなった人(かつて20世紀FOX公式が文字通り世紀のド下ネタ誤表記をやらかしたことはもう忘れてあげたい)。第1期『X-MEN』シリーズ(2000年~)のジーン・グレイ役でも高い人気を誇り、『96時間』シリーズ(2008年)でリーアム・ニーソンの妻を演じて以降は、低~中予算を引き締める貴重なキャストとしての地位を確立しつつある。

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ちなみにラフラーはある理由から飛行機ではなく船での移送となったのだが、四角いケージ内に拘束された殺人鬼が見張りを殺して脱走するのはサスペンス映画のお約束。案の定ラフラーはまんまと逃げ出し、2匹の猛獣=ジャガーと殺人鬼が同時に船内に放たれるという、むしろ両者が打ち消し合って逆に平和になるのではレベルの異常事態に発展するのだった。

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

広げる風呂敷のサイズ間違えてない!? なトッピング全部盛り映画!

アニマルハンター、殺人鬼、猛獣(&毒蛇や猿)、CIA(たぶん)、船乗り、女医(と普通の少年)が入り乱れ、船内は世界一危険な動物園になる。途中で急に動物たちの存在感がゼロになるなど低予算映画の悲しい現実はあるものの、約1時間半でスッキリ仕上げたのは◎。予算が少ない中、閉鎖空間でのサスペンス・アクションにアニマル・パニックをミックスするという剛気な脚本を貫いた心意気も称賛したい。しかし、ただでさえしっちゃかめっちゃかな状況なのに、裏では巨大な陰謀が渦巻いていた! みたいな展開までブチ込んできて、さすがに風呂敷のサイズを間違えたんじゃないかと心配になってくる。

『ザ・ビースト』©2019 PRIMAL FILM PRODUCTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ともあれ、もし主演がジェイソン・ステイサムだったらアクション要素が強くなりすぎるし、ブルース・ウィリスだったら「なんて日だ!」とか言ってメソメソするからコメディになってしまうし、ましてやスティーヴン・セガールなんかだったら敵を瞬殺してしまうので映画が30分で終わってしまう。俗世を捨てたアウトロー中年がブツクサ言いながらも男気(と動物愛)を胸に巨悪に挑む本作は、ニコケイなくしては成立しなかったと言えるだろう。多分。

『ザ・ビースト』は「未体験ゾーンの映画たち2020」にて2020年2月21日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、4月1日(水)よりシネ・リーブル梅田で公開、青山シアターにて2月28日(金)よりオンライン上映開始

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『ザ・ビースト』

フランクは、凄腕の猛獣ハンター。ブラジルのジャングルで稀少な“ホワイト・ジャガー”の捕獲に成功したフランクは、貨物船ミマー号でプエルトリコに向け出港する。ミマー号船倉の独房には、アメリカ情報部が逮捕したテロリストのラフラーも収監されていた。ラフラーは元米特殊部隊の暗殺者で、究極の戦闘スキルを持つ異常殺人鬼だ。ミマー号がカリブ海を航行中、ラフラーが監視員を殺害して逃亡。ホワイト・ジャガーやアナコンダの檻も破壊され、船内は恐怖の猟場と化した。神出鬼没の殺し屋と、獰猛な野獣に支配されたミマー号。フランクは2匹の“獣”を倒すため、女医のエレンと共に危険な戦いを挑むが―。

制作年: 2019
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