『パラサイト 半地下の家族』はなぜ勝利できたのか? 第92回アカデミー賞を予想屋たちが超ざっくり総括!!

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ライター:BANGER!!! 編集部
『パラサイト 半地下の家族』はなぜ勝利できたのか? 第92回アカデミー賞を予想屋たちが超ざっくり総括!!
第92回アカデミー賞『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督 Photo by Kevin WinterGetty Images
『パラサイト 半地下の家族』ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

2020年2月10日(月)※日本時間 に行われた第92回アカデミー賞授賞式。

ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』が作品賞・監督賞をはじめ4部門の最多受賞となり、アカデミー賞の歴史が変わった。

業界で知らない人はいないアカデミー賞予想の大御所4名に授賞式当日の夜にお集まりいただき、受賞結果や授賞式について興奮冷めやらぬうちに語っていただいた。

オスカーノユクエさん(以下:ユクエ)
総合映画情報サイト<オスカーノユクエ>を運営していて、現在約15年目。10年程前からTwitterを開始しました。予想しはじめたのは20年ぐらい前から。正体はただのアカデミー賞好き(笑)。

オスカー予想屋業:Ms.メラニーさん(以下:メラニー)
アカデミー賞を観るようになって30年、予想を始めたのは20年くらい前。2017年にライムスター・宇多丸さんのラジオ番組に出演したことをきっかけに、2019年1月からTwitterを開始。初の著書『なぜオスカーはおもしろいのか? 受賞予想で100倍楽しむ「アカデミー賞」』(星海社新書)が2020年1月24日(金)発売。

ローリーさん(以下:ローリー)
受賞予想を始めたのは1992年から。たまたま友達とロンドンに遊びに行ったときに見た映画雑誌「EMPIRE」に全23部門の候補作品が載っていたので、友達とBETしたのをきっかけに、それから毎年やってます。いまは映画関係の仕事をしています。

義田数也さん(以下:義田)
アカデミー賞が大好きで、1989年あたりから観始めて30年。「予想している」という意識はなく、むしろみなさんの予想を観て楽しんでいました。自分の予想は妻にしか言ってないです(笑)。

なぜ『パラサイト』は監督賞・作品賞を獲得できたのか?

―では、本題に入らせていただきたいのですが、第92回アカデミー賞の予想はいかがでしたか?

義田:的中数は16でした。

ローリー:僕は20ですね。

メラニー:私は17部門です。

ユクエ:僕も今年は17でしたけど、いつもより当たってる(笑)。

メラニー:先週会った時に「僕は大穴にばかり賭けるので、12部門くらいしか当たりません」って言ってましたもんね。

ユクエ:大穴狙いは全部外しました(笑)。当たると気持ちいいんですよね。

メラニー:当てたときの喜びがね(笑)。今年で言う『パラサイト』の作品賞ですよ。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

―難しいかもしれませんが、今回のアカデミー賞を一言で表すとなんでしょう?

ユクエ:とんでもない「大快挙」の年かな。

―賭けには負けたけど、結果的には良かった?

ローリー:さっきメラニーさんに掛けた言葉なんですが、今年のオスカーダービーは「量より質」だと(笑)。

メラニー:数で負けたけど、質で勝ったっていうね(笑)。

ローリー:お互いハッピー(笑)。

メラニー:でも、本当に歴史が塗り替えられた年だと思います。すばらしい。

―『パラサイト 半地下の家族』と『1917 命をかけた伝令』は4冠と3冠ということで、まずはここを掘り下げましょうか。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

メラニー:『パラサイト』、すごいですよね。まさか監督賞まで獲るとは思わなかったから、すごく盛り上がったよね。

ローリー:読みとしては、作品賞と監督賞(の受賞作品)は分かれるだろう、作品賞のほうは結果的に『1917』が獲らざるを得ないのでは? と。ここ最近は英語スピーカーの監督さんが監督賞を獲れていなかったので、ポン・ジュノかなという予想もあったんですが、それ以前の監督ってハリウッドで既に活躍されている人ばかりだったので。

『1917 命をかけた伝令』©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

メラニー:ただ監督賞が獲れなかった時点で、『1917』ちょっとヤバいかな? と思ったよね。

―潮目が変わった?

メラニー:そう、結局『1917』は3冠と言っても撮影賞、録音賞、視覚効果賞しか獲れてなかったから……見た目としては主演男優賞と歌曲賞を受賞した『ジョーカー』のほうが立派な感じがしちゃうというか。

『ジョーカー』©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

―ゴールデン・グローブ賞などの前哨戦では『1917』でしたが……。

ローリー:オスカー授賞式前の2週間くらいで『パラサイト』に……っていう雰囲気が来てたので、僕とメラニーさんの中でも、それぞれ何部門受賞すると賭けるか?っていうところのバランスで。まず『パラサイト』がどれだけ伸びるかによって、他の賭けにも全部影響しちゃうだろうと。

―メラニーさんも著書で、ダイバーシティが進んで白人以外の審査員が増えたから……ということを書かれていましたよね。

メラニー:多分影響してるでしょうね。でも、ここまでとは……。ただ、それ以外は予想どおりの結果というか、あまりアップセット(番狂わせ)はなかったですよ、最後まで。

―そんな『パラサイト』は製作費に13億円近くかけたそうです。

ユクエ:今回予想する際に製作費に着目してみたんですが、ここ10年、受賞争いで絞られた2作品のうち、ほとんど製作費が低いほうが受賞してるんですよ。今回は『パラサイト』よりも『1917』(約100億円)の方が製作費が高かったんですよね。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

メラニー:前回も興行収入について、そういうお話されてましたよね。

ユクエ:まあ判官びいきみたいなところもあるんですかね。だいたいヒットしているほうが獲らないっていう。

ローリー:10年くらい前に予想していたときには、興収1億ドル突破していないと作品賞は獲れないっていう時代があって。それが一気に崩れましたね。

メラニー:ここ数年に比べたら今年は豪華というか、製作費も興収も高い作品が作品賞に多くノミネートされたので、また変わったなとは思いましたけどね。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

ローリー:作品賞を『1917』に賭けた時に違和感があったのが、すごくオールドファッションな賭け方してるなって、自分で思っちゃったんですよね。

ユクエ:ひと昔前だったら絶対に獲っていたであろう作品でしたよね。

ローリー:それが今だと違和感につながるっていうのがね。

―では、今後はアジア作品だから獲れないということはなくなる?

メラニー:そういうことともちょっと違うかな。なかなか獲るのは難しいと思います(笑)。

ユクエ:『パラサイト』が大きく門戸を開いた意味はあると思うんですけど、だからといって海外の映画が簡単に入ってこれるっていうことでもないのかなと。ただ、カンヌやヴェネチアなどの国際映画祭で外国語映画が最高賞を獲ったら、これまでなら「ああアカデミー賞には関係ないな」っていうスタンスだったけど、そうは言えなくなってくる。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

第92回アカデミー賞は『パラサイト』以外ほぼ予定調和だった?

ローリー:受賞数がスプリットするというか、最多受賞数があまり伸びないときって的中率も下がるんですよ、どうしてもバラけるので。でも今回はバラけた割に、ことごとくフロントランナーが獲りましたね。

メラニー:短編アニメ映画賞とかですらフロントランナーが獲ったから、そういう意味では面白みがないというか。ローリーさんと授賞式を見ていて一番盛り上がったのが、音響編集賞は『フォードvsフェラーリ』が獲るかなと思いながらも、『1917』に賭けて外したとき。それがサプライズの1個目で、外してるのに思わずハイ・ファイブしたもんね(笑)。それ以外はポン・ジュノの監督賞と作品賞くらいで、あとは予定調和な感じでしたね。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

ユクエ:脚本賞も監督賞も作品賞も、下馬評では『パラサイト』はだいたい2番手だったんですよ。だから『パラサイト』に賭けたものの、獲らないだろうなとも思ってたんですよね。それで脚本賞を獲って、まずマジか! と思って。とはいえ監督賞は獲らないだろうと思ってたらまたマジか! となって。でも作品賞はあげないんでしょ? とそれでも疑って、3度驚かされると言う。

義田:ふたりとも脚本賞をポン・ジュノに賭けてたのに、獲らないだろうと思ってたの?(笑)

メラニー:『パラサイト』に関しては、本当に応援したい気持ち。タランティーノだろうなと思ってたんだけど、本当に脚本が良いと思った『パラサイト』に賭けようって最初から決めてたんです。

―授賞式前の鼎談では「韓国映画の作品賞受賞は時期尚早では?」とお話されてましたよね。

メラニー:そうそう、まさか獲れるとは思ってなかったので。獲ると思っていたわけではなくて、ただ『パラサイト』に賭けたかったっていう。

俳優賞は下馬評通りでしたね。

義田:全部そうでしたね。

メラニー:ホアキン(・フェニックス)のスピーチは真面目でしたね。最後に少しお兄ちゃん(リバー・フェニックス)のことを言ったのが良かった。ローラ・ダーンのスピーチも結構良かったですね。

義田:ブラピは? 全米映画俳優組合賞なんかでは結構笑かしたみたいだけど(※受賞歴を「ティンダーのプロフィールに追加しよう」と独身をネタに笑いをとった)。

メラニー:そうそう、今まではずっと笑かしてたんだけど、今回は真面目にスピーチしてました。

―一番印象的だったスピーチは?

ユクエ:ポン・ジュノの監督賞獲得時のスピーチが一番良かったですね。

ローリー:マーティン・スコセッシ絡みのところはすごく良かったですね。

ユクエ:ポン・ジュノのスピーチの最中にスコセッシに対してのスタンディング・オベーションですからね。ある意味、一番オイシかったと言えるかもしれない(笑)。

メラニー:タランティーノのことも言ってましたしね。

映画を勉強していた若い頃、「個人的なことこそが、もっとクリエイティブなことだ」という言葉が最も印象に残りました。それは、偉大なるマーティン・スコセッシの言葉です。私はスコセッシ監督の作品で映画を学んだので、こうして候補者として名前が並んだことだけで光栄です。
私の作品がアメリカの人にまだ知られていない頃から、私の作品をいつもリストにあげてくれたクエンティン・タランティーノ監督、ありがとうございます。(ポン・ジュノ監督による監督賞受賞スピーチ)

―国際長編映画賞の受賞スピーチでは「今夜は飲もうと思います」と言ってましたが、その後の監督賞の受賞スピーチでは「朝まで飲み続けます」と言い直していました。

義田:あれはジョークではなかったんでしょうね(笑)。

ローリー:「アイムレディートゥードリンク」って言って消えていきましたね(笑)。

義田:ポン・ジュノの通訳さん、めちゃくちゃ優秀らしいですね。

メラニー:一緒に授賞式を観ていたコリアンの友人が「この人は本当にちゃんと全部訳しててすごい」って言ってました。彼女、映画監督志望らしいですね。

ジャネール・モネイ、エルトン・ジョン、松たか子……ベスト・パフォーマンスは?

-印象的だったパフォーマンスは?

メラニー:オープニングパフォーマンスをしたジャネール・モネイとか、すごく良かったですよね。あと松たか子さんも(笑)。

ローリー:(『アナと雪の女王2』の「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」の)あの短いフレーズをあの人数でリレーするってすごいですよね。

―エルトン・ジョンはどうでしたか?

メラニー:パフォーマンスしたけど、あまり目立たない感じでしたね(笑)。

ローリー:曲紹介がなかったんですよね。

ローリー:僕は今ひとつキてなかったのに、よりイマイチだと思っていた『ロケットマン』に賭けてしまったんですけど……(※エルトン・ジョンが受賞)。

メラニー:そういう賭け方ができるんですよ、この人は。私情を挟まないのは偉いと思いますけどね(笑)。

ローリー:そういう意味でも今年は本当のアップセットがなかったんですよね。

メラニー:『パラサイト』の作品賞受賞ですら本当のアップセットではないしね。

ローリー:2番手に着いてはいたわけだしね。

義田:作曲賞の受賞者、『ジョーカー』のヒルドゥル・グーナドッティルのスピーチはどうでしたか?

『ジョーカー』©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

ローリー:「ブラッドリー・クーパーに感謝」って言ってて、なんで!? って思ったら『ジョーカー』のプロデューサーだったんだね(笑)。

義田:彼女はヨハン・ヨハンソン(2015年『ボーダーライン』ほかで作曲賞ノミネート。2018年に死去)の弟子なんですよね。

ローリー:自分はもう、そこだけで賭けた。

心のどこかに「まさか『パラサイト』が作品賞を獲るとは」という思いがあった

―では主要部門以外で、『スキャンダル』などはいかがでしたか?

メラニー:カズ・ヒロさんが獲りましたね。

『スキャンダル』©Lions Gate Entertainment Inc.

ローリー:メイクアップ&ヘアスタイリング賞だけ途中でスピーチがカットされたんだよね。3名受賞したんだけど、カズ・ヒロさんの後の人たちはスピーチできなかった。

メラニー:『パラサイト』も作品賞受賞時にスピーチがカットされそうになったけど、皆が声を挙げて戻しましたね。

―『フォードvsフェラーリ』は20世紀FOX名義での最後の作品になるようですね。

メラニー:ちゃんと編集賞・音響編集賞の2部門で受賞しましたから、良かったですね。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

ローリー:嬉しい。編集賞で賭けてたし。

メラニー:なんにも獲れなかったのは『アイリッシュマン』(マーティン・スコセッシ監督)だけだったのね、結局。

Netflix映画「アイリッシュマン」11月27日より独占配信開始

―第92回アカデミー賞はどの作品が獲ってもおかしくない、粒ぞろいの回だったとも言えますか?

義田:突出した作品が複数あって戦っていた、という感じではないかなあ。

ローリー:おそらくノミネーションの時点では、『パラサイト』は作品賞の1位候補ではなかったと思うんですよね。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

―それはオスカー・キャンペーンが上手くいったということでしょうか?

ローリー:外国語映画っていう印象が途中でフッと消えたようなイメージがあったのと、『1917』のキャンペーンにバックラッシュ(揺り戻し)がなくて、あまりにもスムーズにいきすぎたので……。

メラニー:『1917』は『パラサイト』に比べて、パッションを持ってる人が少なかったのかもね、っていう話にはなりましたね。好意的な人は多いけど、物凄く好きな人は少ないっていうことだったのかなと、結果論ですけど。

『1917 命をかけた伝令』©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

―『1917』がゴールデン・グローブ賞で監督賞・作品賞[ドラマ部門]を獲ったときに風向きが変わったかな? と思ったんですが……。

メラニー:BAFTA(英国アカデミー賞)はイギリスだから獲るのは当然という感じですけど、PGA(全米製作者組合賞)とDGA(全米監督協会賞)を獲ったのが一番大きくて。

―そこで『パラサイト』支持者が動いた?

メラニー:多分それはあると思いますね。あとSAG(全米映画俳優組合賞)を獲ったのも大きかった。あそこで「今までの外国語映画とは違うんだな」っていう気がすごくしたから。

ローリー:スタンディング・オベーションが今までとは別の熱を帯びてるというか。個人的に面白かったのは、作品賞発表前の時点で『パラサイト』と『1917』が3部門受賞で並んでいて、流れ的には監督賞と脚本賞を獲っている『パラサイト』かな? という感じだったんですが、編集賞を獲れていなかった。でも『1917』の3部門は技術賞(撮影賞・録音賞・視覚効果賞)だけだから、これで作品賞を獲るってどうなんだろう? というのが面白かったんですよね。

『1917 命をかけた伝令』©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

メラニー:やっぱり、どこかで「まさか『パラサイト』が作品賞を獲るとは」っていう思いがあったしね。

ローリー:プレゼンターのジェーン・フォンダも、ちょっと困惑してたように見えなくもなかった。『クラッシュ』(2004年)が作品賞を獲ったときのジャック・ニコルソンみたいな(笑)。(※大本命と見られていたアン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』を抑えて受賞)

義田:『ムーンライト』問題もありましたしね(※第89回アカデミー賞で起こったミス。作品賞受賞は『ラ・ラ・ランド』と発表され受賞者がスピーチするも、その後『ムーンライト』の間違いだったと訂正された)。

司会を廃しコメディアンを多く起用した進行は楽しくてGOOD!

ユクエ:授賞式としては司会者の不在がすごく心配だったんだけど、上手かったなと思って。ジャネール・モネイの派手なパフォーマンスから始まって、その後スティーヴ・マーティンとクリス・ロックが出てきてジョークで笑かして。

メラニー:途中のツナギみたいな感じで、コメディアンを使ったのは印象に残りましたね。

義田:実質、司会機能みたいな。

メラニー:『キャッツ』の2人とか、マヤ・ルドルフとクリステン・ウィグも最高でしたね。

ローリー:きっちりリズムを作ってくれましたね。かつてのキャリー・フィッシャーとマーティン・ショートみたいな。

メラニー:同じ服を着て出てくるアレね(笑)。

―では、今後は司会者不在の構成が定番化すると思いますか?

ユクエ:あれをやられちゃうと、さすがにもう司会はいらない論のほうが強くなるんじゃないかな。

義田:今後は司会をオファーされてもやりづらいですよね。

―レッドカーペットはご覧になりましたか? ベストドレッサーは誰に?

義田:僕はスパイク・リーでお願いします(笑)。

メラニー:コービーの24ね(※2020年1月26日に事故で逝去したコービー・ブライアントの背番号を衣装に付けて追悼した)。あれはたしかに印象に残った。

ユクエ:衣装じゃないけど『ジョジョ・ラビット』の子役2人(ローマン・グリフィン・デイビスとアーチー・イェーツ)が楽しそうにしていてかわいかったですね。

メラニー:ビリー・ポーターは今年も美しかった。

―ベスト・スピーチは?

メラニー:ポン・ジュノでいいんじゃないかな。

ローリー:監督賞のときのね。

―ではベスト・プレゼンターは?

メラニー:美術賞と衣装賞を発表したマヤ・ルドルフとクリステン・ウィグがよかったかな。

ローリー:ウィル・フェレルが編集賞のプレゼンターで、「編集マンのせいで僕の出演シーンがカットされた。本当は『フォードvsフェラーリvsフェレル』だったのに」って(笑)。

短編の予想は沼! フロントランナーには絶対BETしたくない!?

―最後に、第92回アカデミー賞について言い残したことがあったらどうぞ。

ユクエ:今回の授賞式は演技賞のノミネーション映像がいつもと違いましたね。

メラニー:これまでは各作品の映像に合わせてノミネート俳優名を紹介していたのに、今年は全作品の映像をミックスしたものを流した後に、俳優名をまとめて読み上げてて。

ローリー:おそらくなんだけど、公式サイト<Oscars.org>で過去の授賞式映像をアップするじゃないですか。でも各作品の映像は権利的にWEBサイトでは使えないから、そこだけカットするんですよね。その対策じゃないかなと。

メラニー:他にもいくつかWEB対策じゃないかなと思う改変があって、それが私とローリーさんみたいに古い体質の人間には、あんまり……(笑)。

ユクエ:各作品のどのシーンを抜粋するかっていうのが楽しみの一つでもありますからね。

ローリー:そうそう。

メラニー:あと、京マチ子さんがイン・メモリアム(追悼コーナー)に入ってましたね。

―ビリー・アイリッシュのパフォーマンスは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020年4月10日公開)の主題歌では? と噂されていましたが、実際はイン・メモリアムでザ・ビートルズ「イエスタデイ」のカバーを披露しましたね。

ユクエ:以前もザ・ビートルズの「ブラックバード」が披露されたことがありましたね(※第88回アカデミー賞でデイヴ・グロールが披露)。

―今回はほとんどのノミネート作品を授賞式前に日本で観ることができたのも喜ばしいことでしたね。

ユクエ:長編ドキュメンタリー部門の作品ですら、4月までには観られるようになるみたいですからね。

メラニー:そうなんだ、すごい。

ローリー:ドキュメンタリー&短編の4部門(短編アニメ映画賞、短編実写映画賞、短編ドキュメンタリー賞、長編ドキュメンタリー賞)を、僕らは「リトル・ビッグ・4」と呼んでるんですけど(笑)。その結果がすごく予想的中の勝敗を左右するのですごく盛り上がるんですよ。

メラニー:でも今年は全然盛り上がらなかったね(笑)。

ユクエ:今回初めて、ちゃんと短編(のノミネート作品)を観られるものは全部観ましたよ。これまではタイトルの短い作品に賭けたりしてたんだけど(笑)。

ローリー:ただ「リトル・ビッグ・4」は観るとダメなカテゴリーなんですよ(笑)。

メラニー:私も今回は観てしまったことの弊害で、短編実写と長編ドキュメンタリーの受賞作品がどうしても好きになれずに賭けられなかった。

ローリー:フロントランナーの作品がどうしても好きになれない、対抗馬にも賭けられないから、それ以外で選ぶしかないっていう。もう賭けなのかなんなのかわからない(笑)。

メラニー:短編って面白くて、観ているうちに感情移入というか、「絶対にこれが一番面白いよな」とかって思い始めたら、もうフロントランナーに賭けるのは嫌になっちゃうんですよね(笑)。

ローリー:リトル・ビッグ・4の作品を観なかった僕は(的中率が)4/4、観ちゃったメラニーさんは2/4だったっていう(笑)。

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