「結局は脚本がすべて」D・クレイグが語る、密室殺人ミステリー『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

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ライター:小西未来
「結局は脚本がすべて」D・クレイグが語る、密室殺人ミステリー『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』ダニエル・クレイグ© HFPA

ニューヨーク郊外のある館。巨大出版社の創設者ハーラン(クリストファー・プラマー)が85歳の誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見された。パーティーに参加していた一族の問題児(クリス・エヴァンス)をはじめとする彼の家族、看護師(アナ・デ・アルマス)ら、屋敷にいた全員が第一容疑者。そこに匿名の依頼を受け、紳士探偵ブノワ(ダニエル・クレイグ)が駆けつけ、事件の真相に迫る!

豪華キャストが集結した本作について、主演のダニエル・クレイグに聞いた。

「子供の頃はアガサ・クリスティを読み漁ったよ」

―どういった経緯で出演を決めたのでしょうか?

エージェント立ち会いのもと、脚本を読んだのがきっかけだ。エージェントはこの脚本に惚れ込んでいて、ぼくが気に入れば、すぐに契約を取りつける腹づもりだったみたいでね。ぼく自身はそれほど期待していないくて、がっかりさせられるだろうと思っていた。でも、そんなことは起きなかった。脚本を読み終えてから、エージェントに言ったよ。「契約を取りつけてくれ」とね。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』Photo Credit: Claire Folger

―犯人捜しは当たりましたか?

ツイストに関しては、とてもよくできている。ただ、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』が素晴らしいのは、スマートでクレバーなだけじゃないことだ。観客の裏をかくことを目的にしていない。映画の進行とともに、真相が少しずつ明らかになっていく。同時に、ツイストやどんでん返しがそこら中に張り巡らされている。子供の頃は大のミステリーファンだったから、感心させられたよ。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』Photo Credit: Claire Folger

―あなたが好きなミステリーは?

子供の頃はアガサ・クリスティを読み漁ったよ。映画では、アルバート・フィニー主演の『オリエント急行殺人事件』(1974年)と、ピーター・ユスティノフ主演の『ナイル殺人事件』(1978年)が決定的だ(※「名探偵ポワロ」シリーズ)。『探偵<スルース>』(1972年)のような作品も大好きだったね。

―あなたが演じるブノワはどんなタイプの探偵だと思いますか?

ブノワの長所は、実は推理ではないと思う。実際、彼が探偵として優れているかどうかも疑問だ。ヘマもするしね。でも、アガサ・クリスティの名探偵ポワロなどと同じように、周囲の人間を利用することに長けている。今回ブノワは、アナ(・デ・アルマス)が演じるマーサを見つける。彼女がトラブルに遭っていて、同時に、この一家でもっとも頭がいいことに気づく。それで、マーサを使って真犯人を突き止めようとするんだ。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』Photo Credit: Claire Folger

「結局、大事なのは“脚本! 脚本! 脚本!”なんだ」

―マーサ役のアナ・デ・アルマスとは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 』(2020年4月10日公開)でも共演していますね。

この映画での共演がきっかけだ。『ブレードランナー 2049』(2017年)で彼女をはじめて見て、みんなと同様「いったい何者なんだ?」と惹かれた。彼女はスクリーンを輝かせる魅力を持っていて、この映画でも同じことをやってのけた。アナがいなければ、そしてアナの解釈がなければ、この映画はここまで素晴らしいものにはならなかったはずだ。クリストファー・プラマーとの共演場面なんて、見るたびに涙が出てくるほどだ。感動的で、映画のなかでもっとも重要な感動的なシーンになっているから。そして彼女自身、とても頭がいい。『007』に関しては、キャリー・フクナガ監督に打診されたんだ。「アナ・デ・アルマスをある役に起用したいんだが、君の承認が欲しい」と言われてね。「もちろん」と答えたよ。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』Photo Credit: Claire Folger

―最近、本作のようなミステリー映画が少ないのはなぜだと思いますか?

その答えは分からない。ただ『ナイブズ・アウト』に、これほど多くの観客が詰めかけてくれることになるとは、ぼくらにも予想できなかった。殺人ミステリーは、すでに死んだジャンルだと思われていたから。結局は、脚本の出来がすべてを左右するのだと思う。かつてロバート・エヴァンス(ハリウッドの伝説的プロデューサー『ローズマリーの赤ちゃん』『ある愛の詩』など)が言ったように、大事なのは「脚本! 脚本! 脚本!」なんだ。そして、これは偉大な脚本だった。ジャンルが何であれ、素晴らしい脚本があれば、いい映画に仕上がる公算が高い。そして、ライアン・ジョンソン監督が偉大な脚本を仕上げてくれたからこそ、ここまでの傑作ができたんだと思う。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』Motion Picture Artwork © 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

―『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 』の現状はいかがですか?

3週間前にクランクアップしたよ。金曜の夜にね。それで、月曜日にはビーチにいた。とてつもなく長い撮影だったからね。
(※インタビューが行われたのは2019年11月)

―ついにジェームズ・ボンド役を卒業されるそうですが、今後のご予定は?

計画はない。いまのぼくは幸運な立場にいる。脚本が送られてくるし、オファーもたくさんもらえている。ぼくの周りにはフィルターとして悪い企画を取り除いて、素晴らしい企画だけを見つけてくれる人たちがいる。いまのぼくは、好きな人とだけ仕事をしたいと思っているんだ。人生は短いからね。唯一の計画は、性格がいい人とだけ仕事をしたいってことかな。

取材・文:小西未来

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』は2020年1月31日(金)より公開

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『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

NY郊外の館で、巨大な出版社の創設者ハーラン・スロンビーが85歳の誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見される。名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく―。

制作年: 2019
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