50代バツイチ美人がSNSで年下男子と擬似恋愛!? J・ビノシュ主演の想定外サスペンス『私の知らないわたしの素顔』

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ライター:BANGER!!! 編集部
50代バツイチ美人がSNSで年下男子と擬似恋愛!? J・ビノシュ主演の想定外サスペンス『私の知らないわたしの素顔』
『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

ジュリエット・ビノシュが演じるのは恋も仕事も現役の大学教授!

是枝裕和監督の『真実』(2019年)への出演で邦画クラスタの間でも知名度を上げ、フランス国内はもちろん『GODZILLA ゴジラ』(2014年)や『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)など、あらゆるジャンルの作品に出演しまくっている大女優ジュリエット・ビノシュの主演最新作が『私の知らないわたしの素顔』(2019年)だ。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

『汚れた血』(1986年)や『イングリッシュ・ペイシェント』(1996年)で瑞々しい魅力を放っていたビノシュも、現在55歳。その充実したキャリアからするとむしろ驚くべき年齢だが、本作で演じる大学教授クレールも彼女の実年齢と同世代の役ながら、冒頭から年下の恋人リュドと夜な夜な激しく愛を交わす若々しさを見せつける。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

とはいえ、そんな活発な下半身を持つイケイケ男子が子持ちのアラ還・シングルマザーに献身的に尽くしてくれるわけもなく、いわゆるセフレ的な関係をバッサリ切られてしまう。電話を無視されても諦められないクレールはFacebookでリュドに友達申請するが、当然のように承認拒否。ガキにナメられた怒りの反動か、リュドのルームシェアメイトで写真家のアレックスに矛先を変えたクレールは、24歳独身・ブロンドヘアでモデル体型の美女クララと偽って友達申請を送る……。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

痴情サスペンスか泥沼劇か!? 思わぬ危険が潜むネット恋愛

いまどきFacebookで疑似恋愛て! と思わずツッコミたくなるが、フランスをはじめ欧州でFacebookはYouTubeに次いでユーザー数が多く、詳細なプロフィールを偽るにはインスタ等のビジュアル系SNSよりも都合が良かったのだろう(そもそもクレールは「インスタって何?」とググるくらいのSNS音痴なのだが)。ともあれ、偽りのプライベートを創作しニヤニヤと楽しげにアレックスとやり取りするクレールは、まるでSNS黎明期のティーンような初々しさで見ていて笑みが漏れる。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

アレックスからのベタなメッセージは、男からの「見た目だけが好きなわけじゃない」「君のことを知りたいんだ」「写真もっと見せて」とかいう戯言の数々が万国共通ということがよく分かるが、残念ながら“ネット上の出会いは見た目が8割”というのも事実。「インスタのアカウントないの?」とか「会いたいんだけど」とか言われるたびにアガるクレールは微笑ましいものの、そんな偽りの交流をいつまでもキープできるはずもなかった。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

ついに電話でアレックスと交流するクレール(※クララ)だったが、もはや彼の真っ直ぐな恋心は止められない。クレールから散々“お預け”をくらったアレックスは、ある行動に出てしまい、ショックを受けた彼女も……という展開になるかと思いきや、ここからがビックリ! それまで疑似恋愛の沼にハマっていくクレールの話を黙って聞いていた、ニコール・ガルシア演じる精神分析医カトリーヌへの吐露という形で、彼女/彼らの真実が語られていく。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

最後の最後まで真実はわからない! 予想外の凝った演出に思わず膝を打つ!!

年下の彼氏には捨てられるし、元夫は新しい恋人とよろしくやってるようだし、そんなクレールが現実から目を逸らしてネット世界に救いを求めたとして、誰が彼女を責められようか。もし本当の自分と偽りの自分の境界が曖昧になったら? 妄想のストッパーになるはずの家族との関係がこじれたら? 可笑しみすら感じさせる序盤の変則ラブストーリーから、なんとも凝った演出で観客を欺きつつ、最後の最後にはまったく異なる印象を抱かせて物語は終わる。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

本作の原作「Celle que vous croyez」の作者カミーユ・ロランスはオートフィクション(自伝風の創作)で知られる人気作家で、現在62歳。還暦過ぎとは思えないスタイリッシュな身のこなしが印象的だが、なるほど自身の体験を基にしたと言われても納得の聡明なオーラと現役バリバリ感を醸し出している。彼女が創造したクレールは永遠の若さを求めるような人物だが、演じるジュリエット自身はまるで老いることに恐れを抱いていないような、もはや性すら超越したようなオーラを纏った女優だ。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

本作は、そんなカッコいい熟年女性たちが織りなす至高のラブ・サスペンスである。60代の原作者カミーユは、50代のジュリエット・ビノシュと70代のニコール・ガルシアに、これまでの自分とこれからの自分を投影したのかもしれない。もはや人生を達観しているように見える彼女たちも、まだまだ成長過程にあるのだという、ちょっとした安心と勇気をもらえる作品でもあった。

『私の知らないわたしの素顔』©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

『私の知らないわたしの素顔』は2020年1月17日(金)より公開

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『私の知らないわたしの素顔』

パリの高層マンションに暮らす50代の美しき大学教授クレール(ジュリエット・ビノシュ)。ある日年下の恋人に簡単に捨てられてしまったことをきっかけに、SNSの世界に足を踏み入れる。Facebookで<24歳のクララ>に成りすまし、彼の友人アレックス(フランソワ・シビル)とつながったクレール。だが、アレックスと<クララ>が恋に落ちてしまったことで事態は思わぬ方向に転がっていく。そして次第にクレールは自分の正体を明かしたい衝動に突き動かされていくが……。

制作年: 2019
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