オスカー最有力!映画界最注目『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホが明かすネタバレ厳禁な本作の注目ポイント

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ライター:BANGER!!! 編集部
オスカー最有力!映画界最注目『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホが明かすネタバレ厳禁な本作の注目ポイント
ポン・ジュノ監督(左)ソン・ガンホ(右)

2020年2月に開催されるアカデミー賞でも有力候補に挙がるであろうポン・ジュノ監督の最新作『パラサイト 半地下の家族』。2020年1月10日(金)の日本公開に先駆け、2019年12月27日(金)にTOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田の2館限定で先行公開。日本での先行公開に合わせて来日を果たしたポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホに、撮影の秘話や世界的にも注目を浴びている今の心境について語ってくれた。

記事の後半部分にネタバレを含む記述があります。鑑賞前の方はご注意ください。

ポン・ジュノ「生涯二度とない!」と思える程に俳優陣のアンサンブルが見事

―ネタバレ厳禁な本作の魅力を伝える3つのキーワードを教えて下さい。

ポン・ジュノ(以下、ジュノ):一つ目は「予測不可能」、二つ目は最高の俳優たちが揃っていること。ソン・ガンホさんや他の全てキャストなど物凄いエネルギーを爆発させています。

ソン・ガンホ(以下、ガンホ):三つめはポン・ジュノ監督のクレイジーな演出!(笑)

ジュノ:(日本語で)そうですね(苦笑)

―撮影現場でも、これまでの作品と違った手応えを感じられたのではないでしょうか?

ジュノ:僕は映画監督になって20年目になります。多くの作品を作ってはいませんが、20年間で7本の作品をつくりました。いつも変わらぬ気持ちで撮影しました。今回いつもと少し違ったのは、ソン・ガンホ先輩や全ての俳優のアンサンブルが見事だったことでしょうか。この素晴らしい俳優陣の顔触れを撮影していてとても幸せでしたし、「これは生涯二度とない!」と思える程でした。俳優とそれぞれのキャラクターがぴったりとハマっていました。

―これまでポン・ジュノ監督や名だたる監督たちと仕事をされたソン・ガンホさんから見て、本作の独創的な部分は何だと思いますか?

ガンホ:これまでの韓国映画を図形で例えるなら四角形でした。『パラサイト』は六面体と表現したいです。

ジュノ:(日本語で)難しいですね(笑)。

―ポン・ジュノ監督は、事前に完璧に絵コンテを仕上げられて、入念に準備をされるそうですが、制作のプロセスでこだわっていることはありますか?

ジュノ:僕はしっかり準備ができていないと不安になるので、気持ちを落ち着かせるためにも絵コンテを用意します。映画界には絵コンテがなくても素晴らしい作品を作る監督がいます。例えば、スピルバーグ監督は絵コンテなく映画を作られていると伺ったことがあります。僕は絵コンテを精巧に作って、カメラアングルを決めて、撮影チームと計画通りに撮っていくことが多いのですが、俳優には事前に打ち合わせをすることや必要以上にリハーサルを重ねることはありません。僕は俳優が演じやすい環境を作りたいので、なるべく具体的な注文はしません。まずは、ファーストテイクを撮って、その後に少し他のアレンジを試してみることぐらいです。本作の撮影では、俳優たちには絵コンテに沿って、細かく指示することがないほど、豊かな表現力を持った俳優陣が揃っているので、現場ではとても楽な気持ちでいられました。

ガンホ:ポン監督のことは20年間ずっと見守ってきたので、昔から何も変わらないと思います。いつもユーモアがあって、すべての俳優たちがリラックスして演じられるように気配りをしてくれて、とても居心地の良い環境を作ってくれます。本人の性格も撮影の空気感に表れていると思いますし、だから豊かな映画が生まれると思います。

演技をするときには、半分は計算して演じること、残りの半分は真っ新な状態で演技をすることが大事だと思っています。空けておいた半分がどう満たされるものか、演じている自分自身も常に興味が湧いてきます。『パラサイト』ではポン・ジュノ監督の演出によって、本当にその点でも驚かされましたし、そこが興味深く満たされていく楽しみを感じました。

ガンホ「ポン監督はハリウッドでも最高レベルの映画監督」

―ハリウッドやNetflixでの作品に参加することで、お二人は世界的にも知られる存在になりました。この変化をどう捉えられていますか?

ジュノ:昨日、日本で先行公開の初日があって舞台挨拶でステージに立ちました。映画館にはソン・ガンホ先輩のファンが大勢いて、プラカードを持っている熱狂的なファンの方もいました。先輩は3年ぶりの来日で、僕と二人で来日するのは『グエムル -漢江の怪物-』(2006年)以来13年ぶりになりますが、ファンの変わらないエネルギーを感じましたね。先日、二人で米国に行って宣伝を行ってきました。北米での公開から2か月経ちますが、興行成績がとても良く、米国で公開された外国語映画の歴代トップ10に入る結果のようです。NYの街中を歩いていると、ソン・ガンホ先輩を追いかけてくるファンがいっぱいいました。「何でこんなことになっているのかな?」と本人は謙遜しますが、日本やヨーロッパでは既に知られた存在でしたが、最近では北米での認知度も上がっているようです。ハリウッドスターを起用した『スノーピアサー』(2013年)や、Netflixと『オクジャ/okja』(2017年)を作りましたが、『パラサイト』は純韓国映画でここまで大きな反響を得ているのはすこし皮肉めいているけど、嬉しいことだと受け止めています。どこで作品を作ろうが、何よりも一番大事なものは“物語”です。『パラサイト』の物語が奏でる豊かさ、貧しさ、普遍性、国際性などがヒットした理由だと考えています。

ガンホ:米国に行くと、ポン監督の影響力を実感できます。今、ハリウッドの映画界においても最高レベルの映画監督だと言えます。

ジュノ:(日本語で)嘘だよ!(笑)

―映画の表現方法の進化についてはどうお考えですか?

ジュノ:正直、映画の未来についてはわかりません。自分の足元の火を消すのが精一杯なんです。自分が書くべき脚本の、因果関係が正しく合っているか、そのことで頭がいっぱいです。これまで7本の作品を手掛けてきましたが、いつも難しさを感じます。今も2本の脚本を作っていて「誰かが書いてくれないかな」と思いますが、僕の性格上、誰かに任せることはできないので自分で抱え込んでしまいます。映画の未来に対する素敵な回答はできませんが、これからも物語を作り続けたいです。

以下、映画の後半の展開についての言及があります。前情報を入れずに作品を観たい方は、鑑賞後にお読みください。

―裕福な家族と貧しい家族の対比だけでなく、ある家族が絡むことで物語が複雑に加速していきますが、第三の家族を出すことにどんな化学反応を期待しましたか?

ジュノ:この物語の構造を180度変える存在です。貧しい弱者同士が取っ組み合って喧嘩をするシーンがありますが、そこに悲しみが生み出され、苦い気持ちになります。言わば、寄生虫同士の戦いです。ソン・ガンホ先輩が演じるキム・ギテクの観点から見ても、様相や感情が様変わりします。ガンホ先輩に伝えたのは「この映画はとてもシンプルで、(ソン・ガンホ演じる)ギテクの視点でこの映画を観ると階段を上がっていこうとした男が、階段を下りていく映画」だと要約して伝えました。ギテクの視点では、眩しい光が燦燦と降り注ぐ裕福な家を見上げていて、下を見ると暗い地下室がある、彼はまさに「半地下」の状態にあります。「半地下」は「半地上」ではあるので、まだ光が射す場所にいますが、地下にいる人間からすれば「半地下」も同じカテゴリーと認識されます。ギテクはとても恐ろしい現実をそこで実感します。

ガンホ:私たちは予測通りに生きていて安心して暮らしているところに、急におかしなものが飛び出してきたら混乱しますよね。そこで赤裸々に真実が見えてくると思います。本作はそれが第三の家族でとても重要な意味を持った存在です。

『パラサイト 半地下の家族』© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

撮影:町田千秋

『パラサイト 半地下の家族』はTOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田にて特別先行公開中!2020年1月10日(金)より全国公開

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『パラサイト 半地下の家族』

過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。

“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。

パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。

制作年: 2019
監督:
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