世紀の対決、フォード社長の私怨から始まった?!『フォードvsフェラーリ』 C・ベイルとM・デイモン共演

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ライター:BANGER!!! 編集部
世紀の対決、フォード社長の私怨から始まった?!『フォードvsフェラーリ』 C・ベイルとM・デイモン共演
『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

マット・デイモン&クリスチャン・ベイル主演、ジェームズ・マンゴールド監督による伝記映画『フォードvsフェラーリ』が2020年1月10日(金)より公開。アカデミー賞有力候補と目される、男たちのアツ~い実話を描いた燃えるレース映画だ。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

許すまじ! 巨大企業フォードによる“打倒フェラーリ”

『フォードvsフェラーリ』というタイトル通り、本作はアメリカ自動車業界ビッグ3の一角を担う巨大企業フォード社が“打倒フェラーリ”に挑んだ、1966年の伝説的なル・マン24時間レースを題材にした物語である。デイモン演じる元レーサーのキャロル・シェルビーは、自身が設立したシェルビー・アメリカンから数々のスポーツカーを世に送り出した人物。一方、ベイル演じるケン・マイルズはイギリスから渡米し、フォードGT40をはじめ数々の名車の開発に関わったレーサーである。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

物語は1963年から始まる。1947年にエンツォ・フェラーリが設立し、数々のレースで勝ちまくっていた最強のフェラーリ社も資金繰りが苦しくなり、そこにフォード社が提携先として名乗りを上げたものの、焦らされた挙げ句にエンツォの一声で交渉は決裂してしまう。しかも、その直後にフィアット社との提携が明らかになったものだから、フォード社長のヘンリー・フォード2世は「ワシらを金額釣り上げのダシに使こたんちゃうんか!?」とブチギレ。「こうなったらウチもレースに参入して、あの腐れフェラーリをメッタメタにしたろやないか!!」と、ル・マン24時間レースを6連覇中だった名門に真っ向勝負を挑むことになる。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

そこでレースカーの開発を任されたシェルビーがドライバーとして白羽の矢を立てたのが、スゴ腕のレーサーであり自動車開発にも携わっていたマイルズというわけだ。

ケンカの後は芝生で大の字……昭和み溢れる“どすこい演出”に思わず笑顔

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

伝記映画なので過剰にドラマチックな演出は避けているかと思いきや、まず演じるのがベイルだけにマイルズがめちゃくちゃ魅力的な人物になっていて、あいつは偏屈だとか怒りっぽいとか散々な言われようにもかかわらず、意外と共感できてしまう。そんな彼よりは世渡り上手なシェルビーとは度々ぶつかるのだが、2人が取っ組み合いをするシーンでは、まさかの“ケンカ後に芝生の上で大の字”という昭和的サービスも披露。また、マイルズの妻モリーはそんな男たちを見守る良き母みたいな役割を押し付けられていて、このあたりもどっぷり昭和である(実際、昭和30~40年代のお話なのだが)。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

他にもジョン・バーンサル演じる自動車業界の偉人リー・アイアコッカが登場し、シェルビー&マイルズと反目するフォード副社長レオ・ビーブやフォード2世よりも、“少しは話のわかる人物”として描かれている。フォードで名車マスタングを開発、フォードの高級車部門を立て直し、ル・マンを制した数年後には同社の社長に就任したアイアコッカ。「vsフェラーリ」というタイトルに反して、実際にはフォード社内の<職人vs権力者>的な様相を呈していく本作において、彼が職人側への理解を示す人物になっているのは、後にフォード2世とのケンカ別れに近い形で同社を解雇されていることと無関係ではないだろう。なお、アイアコッカは映画の公開を待たずに2019年7月に亡くなっている。

善きにも悪しきにも人間を魅力的に描くマンゴールド監督の真骨頂

当然ながら車ありきのお話ではあるが、意味不明な専門用語が終始飛び交うようなことはない。車に興味がない人や自動車免許を持っていない人でも楽しめるようになっているので、門外漢だという人もご安心を。とはいえ7000RPMの世界を下半身でビリビリ体験できるレースシーンは最高に興奮するし、逆に猛スピードで走る車の恐ろしさを強調するシーンもある。シロートにはル・マンなどレースの“お約束”は分からないものの、飽きさせることはなくスリルを提供し続け、その合間にこってり濃厚な人間ドラマを挟み込んでくるマンゴールド監督の手腕は見事だ。

スーパーヒーロー終活映画『LOGAN/ローガン』(2017年)でマンゴールド監督は、ムッツリ子どもと痴呆老人、ボロボロの身体に熱い魂を抱いた中年男性をこれ以上ないほど魅力的に描いた。『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2005年)でホアキン・フェニックスが演じたジョニー・キャッシュも、『17歳のカルテ』(1999年)のウィノナとアンジーも、それぞれ問題を抱えてはいるが、とにかく人間として魅力的だった。その下地としてエモ味あふれる演出があり、やがて強烈な画ヂカラとなって観る者に迫ってくる、そんなマンゴールド作品の魅力が最大限に発揮された映画だ。

『フォードvsフェラーリ』©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

『フォードvsフェラーリ』は2020年1月10日(金)より全国ロードショー

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『フォードvsフェラーリ』

元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーのもとに、巨大企業フォードから信じがたいオファーが届く。それはル・マン24時間レースで6連覇中の王者、フェラーリに対抗できる新たなレースカーを開発してほしいとの依頼だった。心臓の病でレース界から身を退いた苦い過去を持つシェルビーは、そのあまりにも困難な任務に挑むため、型破りなドライバー、ケン・マイルズをチームに招き入れる。しかし彼らの行く手には、開発におけるメカニックなトラブルにとどまらない幾多の難題が待ち受けていた。それでもレースへの純粋な情熱を共有する男たちは、いつしか固い友情で結ばれ、フェラーリとの決戦の地、ル・マンに乗り込んでいくのだった……。

制作年: 2019
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