人生どん底の中年コーチ、障がい者バスケチームを任される?! ハートフルコメディ『だれもが愛しいチャンピオン』

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ライター:BANGER!!! 編集部
人生どん底の中年コーチ、障がい者バスケチームを任される?! ハートフルコメディ『だれもが愛しいチャンピオン』
『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

スペイン発! 個性豊かなバスケチームと中年監督の成長物語

とにかく陽気な国民性というイメージのスペインだが、老若男女問わずスポーツが盛んな国でもある。特にサッカー(と闘牛!)の人気が高いことはご存知かと思うが、実はバスケットボールもサッカーに次ぐ人気を誇っていて、2019年のバスケW杯ではスペイン代表チームが13年ぶりとなる金メダルを獲得し、再び黄金期を迎えている。スペイン代表のベテラン選手マルク・ガソルをはじめ、NBAで活躍する選手も多い。

2019年12月27日(金)から公開中のスペイン産ハートフルコメディ『だれもが愛しいチャンピオン』(2018年)も、そんなバスケットボールをフィーチャーした物語だ。とはいえ華々しいプロリーグとか代表チームを追ったスポ根映画ではなく、なんと知的障がい者たちによるバスケチームの友情と青春、そしてコーチとなった中年男性の成長物語であった。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

オーディションで選ばれた障がい者たちの名演技に脱帽!

プロのバスケチームで副コーチを務めているマルコは、選手としての成功を諦めた過去を持つアラフォー男性。あるとき試合中にブチ切れてコーチと大ゲンカしチームをクビになってしまったマルコは、自暴自棄になった挙げ句に飲酒運転で事故って免許を取り消され、さらに裁判所命令で90日間の社会奉仕活動を命じられる。しかも担当することになったのは、知的障がい者たちのバスケチーム“アミーゴス”の指導だった……。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

いわゆる笑って泣ける欧州コメディの系譜ではあるが、本作はスペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞で作品賞など3部門を獲得し、スペイン公開時には年間興行成績で1位に輝くなど、その面白さは折り紙付き。しかも、実際に障がいを持つ600人の中からオーディションで選ばれた10名がメインキャストとして出演していて、この手の作品にありがちなウソっぽさが皆無という、低予算のコメディ映画としては世界的に見てもかなりスゴい作品なのだ。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

それぞれに事情を抱えた障がい者と主人公の成長に涙、涙!

本作の面白さは、まず主人公のマルコがかなりのクズ野郎として登場するところから保証されている。マルコは無自覚ではあるものの障がい者に対して差別意識を持っていて、まがりなりにもプロを指導していた自分が障がい者の相手なんかしてられるか! とブチ切れつつ、家に帰ってはメソメソしているという腰抜けでもある。子どもを欲しがっている妻との関係も悪くなり、別居状態になってしまっていた(マルコが実家に戻っただけだが)。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

そして何と言っても、アミーゴスの個性豊かな面々による予想を上回るエキセントリックな言動が最高。最初は単なるコミュ障だったり病的にポジティブな人間にしか見えなかったメンバーも、各々のキャラクターや抱える症状が徐々に描かれていくうちに個人としての輪郭がはっきりしてきて、はたして健常者とはなんぞや? と真剣に考えさせられもする。メンバーたちを障がい者としてひと括りにしていたマルコもやがてそのことに気がつき、教え子として親近感を覚え、対等な人間としてコミュニケーションを取るようになっていくのだった。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

笑って泣いて癒やされる! 超ポジティブ・バイブスを放つ快作!!

試合中にトラベリングしまくってるとか、当然ながらそんな細かいところにツッコミは不要。メンバー各々の個性的なダメっぷりもしっかりネタ振りになっていて、ベッタベタな回収かと思いきや、全力で裏切ってくる演出もニクい。いつの間にか観ている側もマルコの心の治療として展開を見守るようになるのだが、そこからのアミーゴスの頼もしさにまたじわじわと笑えてくるのだから、なんともよく練られた脚本である。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

障がいについて深く考えさせられるのはもちろん、スペイン人の陽気さと相まって終始明るいノリに癒やされ、そして大いに笑わせてくれる本作。アミーゴスの面々がマルコ監督にかけるウソのない言葉、そして超意外な結末に涙が止まらない、ドタバタ系ハートフルコメディの新たな快作だ。

『だれもが愛しいチャンピオン』© Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

『だれもが愛しいチャンピオン』は2019年12月27日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開

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『だれもが愛しいチャンピオン』

プロ・バスケットボールのコーチ、マルコは“負ける”ことが大嫌いなアラフォー男。ところが短気な性格が災いして問題を起こし、チームを解雇されてしまう。その上、飲酒運転事故を起こし、判事から社会奉仕活動を命じられたマルコは、知的障がい者たちのバスケットボール・チーム“アミーゴス”を指導するはめに。アミーゴスの自由過ぎる言動にはじめは困惑するマルコだったが、彼らの純粋さ、情熱、豊かなユーモアに触れて一念発起、全国大会でまさかの快進撃を見せる……。

制作年: 2018
監督:
出演:
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  • 映画
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