へっぽこメタルバンドの珍騒動に爆笑!! 一緒にヘッドバンギング!!『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』

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ライター:BANGER!!! 編集部
へっぽこメタルバンドの珍騒動に爆笑!! 一緒にヘッドバンギング!!『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』
『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

フィンランドといえばムーミン? サウナ? いいえヘヴィ・メタルです!

フィンランドと聞いて何を思い浮かべるだろうか? みんな大好きムーミン一家、サウナ発祥の地、ミニマルなデザインのオシャレ家具、ラップランドのサンタクロース……どれも世界的な知名度を誇るものばかりだし、ごく最近では若干34歳の世界最年少首相が誕生したことでも大きな話題を呼んだ。そんな有名トピックの数々と比べると一般的ではないものの、その風土が育んだ“ヘヴィメタル・サウンド”も同国が世界に誇るべきカルチャーであることは、音楽ファンならばご存知だろう。

『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

音楽ジャンルとしてのメタルは、スラッシュ、デス、プログレ、メロディック(デス/スピード)、ゴシック、シンフォニック、ブラック、さらにヴァイキングなどなど、把握しきれないほどジャンルの細分化が進んでいる。お国柄が強く出るのも大きな特徴で、メタル大国フィンランドは“北欧メタル”としてひと括りにされる傾向があるのだが、なんにせよ少々かじった程度では到底把握しきれるものではないので、ガチのメタラーに怒られる前に止めておこう。

ゴリゴリのメタラーと超牧歌的なフィンランドのギャップにほっこり

映画『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』(2018年)は、そんなフィンランド(のド田舎)で活動するメタルバンドの活躍(?)を描く爆笑コメディ。活動歴12年ながらライブ未経験という、そこそこ実力はあるものの少々アレなバンド、その名も“インペイルド・レクタム”(直腸陥没)が一念発起してオリジナル曲を作り、ひょんなことからノルウェーで行われるメタル系フェスに出演するチャンスを得るが、そのキャリアを阻むかのようにトラブルが続出し……というお話だ。

『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

作曲シーンや音そのものにリアルさを欠くのは進行上の都合ということでスルーするとして、そこらじゅうに徹底した北欧自虐ネタが散りばめてあって、いちいちニヤけてしまうこと請け合い。フィンランドといえばトナカイ! ヴァイキング! とばかりにご当地ネタを盛り込むサービスぶりで、偏見を解こうなどという意識は一切感じさせない。そもそも“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト戦争推進メタル”という音楽性を標榜しているインペイルド・レクタムの存在自体、ジャンルが細分化しすぎた北欧メタルシーンを揶揄していると思われる。

『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

とはいえ、主人公を含むバンドメンバーも普段は介護施設や図書館、実家のトナカイ屠殺場で働いていて、インディーズでのバンド活動経験がある人ならば思わずグッときてしまうはず。最近はベンチャー企業や広告代理店で働くギラギラしたバンドマンも少なくないが、当然ながらフィンランドの寒村にそんな就職先はないのである。いまだかつて、丸太に座って焚火を囲みながら夢を語り合うメタルバンド、なんていう描写があっただろうか? 極度のあがり症だったり病的にポジティブだったりと、極悪な音楽性とは裏腹に超牧歌的なメンバーの姿を見ているだけで、チケット代の元は取れると断言したい。

『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

ヘッドバンギング&メロイックサイン不可避! な燃えるクライマックス

ひとつ鑑賞前のアドバイスがあるとしたら、公式サイトのストーリーは読まずに映画館に行くべし、ということだろうか。なんと中盤のびっくり展開まで全部説明してしまっているので、その出来事をきっかけに本格的にメタラーらしくなる不謹慎展開を楽しむには、前情報は最低限で挑んだほうがベターだ。そして、どこかモンティ・パイソン的なシュールさを湛えた終盤のたたみかけは、やりすぎ一歩手前の快感を味わわせてくれる(人によっては引くかもしれないが)。

『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

メタル好きならTシャツを見ているだけでも楽しいし、キャラクターの名前にもメタル系のネタがまぶしてあるので、非常にしょうもないシーンでも勝手にメタル脳が反応してしまうはず。ニール・ヤング「ヘイヘイ・マイマイ」の歌詞であり、あのカート・コバーンが遺書に引用した「錆びつくよりも、いま燃え尽きる方がいい」という言葉をブラックメタル流(?)に解釈したかのような「一生便秘で悩むよりも、漏らしたほうがマシ」という迷言が、最後には不思議と心に響いてくる……かどうかはさておき、ヘッドバンギング不可避の燃えるクライマックスに、最前でメロイックサインを掲げよう。

『へヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』© Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mutant Koala Pictures 2018

『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』は2019年12月27日(金)よりシネマート新宿&心斎橋ほかにてロードショー

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『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』

フィンランド北部、何もない田舎の村。退屈な日々を送る25歳のトゥロは、“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル”というジャンルを標榜する、4人組ヘヴィ・メタルバンドのボーカルだ。バンドは結成から12年間、一度もステージに立つことなく、一曲もオリジナル楽曲を作ったこともなく、単なるコピーバンドだ。だがある日、遂に自分たちの曲を作るという強い意志のもと、メンバーの試行錯誤の末にとてつもなくキラーな名曲が誕生した。また同時にひょんなことからノルウェーの巨大メタルフェスの主催者がメンバーの家を訪れ、バンドに千載一遇のチャンスが舞い降りるが……。

制作年: 2018
監督:
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