ヴァン・ダムは死なず!新 代表作か?『ネバー・ダイ 決意の弾丸』に“老境のタフネス”を見よ

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ライター:橋本宗洋
ヴァン・ダムは死なず!新 代表作か?『ネバー・ダイ 決意の弾丸』に“老境のタフネス”を見よ
『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

最強アクションスターが復活……しない!? ボロボロのヴァン・ダムが胸を打つ

我らがジャン=クロード・ヴァン・ダムの主演作『ネバー・ダイ 決意の弾丸』(2019年)がシネマート新宿/心斎橋にて公開される。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

ポスターのデザインを見ると、いかにもヴァン・ダムっぽいバイオレンス・アクションのイメージだ。だが、本作は「相変わらずのヴァン・ダム」でも「いつまでやってんだヴァン・ダム」でもない。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

原題は『We Die Young』。ワシントンDCの裏通り、ストリート・ギャングが幅を利かせる街でなんとかサバイブしようとする少年の姿が描かれる。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

ヴァン・ダムはといえば、いかにも冴えないオッサンという風情。ギャングの少年から買う薬が欠かせず、戦場でのトラウマに悩まされてもいる。どうやらアフガン帰還兵のようだ。喉を負傷して声が出せないらしい。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

となると、これは「ナメてた◯◯が殺人マシーンでした」型ムービーかな? と見ていて思う。我慢して我慢して、いざギャングに立ち向かった時のヴァン・ダムが、もうメチャクチャ強いに違いない、と。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

しかし、である。その予想も覆されてしまうのだ。街を抜け出そうとする兄弟とギャングのトラブルに巻き込まれ、ヴァン・ダムはついに闘いを選ぶ。だが戦場を離脱して幾星霜、フラッシュバックに悩まされ続けた彼に力は残っていなかった。できるのは血まみれ、泥まみれで必死に立ち向かっていくことだけだ。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

決してスカッとする映画ではない。むしろ残酷で、せつない映画だ。

“老境”にさしかかったヴァン・ダムだからこそ見せられるタフさ

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

手持ちカメラで切り取られる、荒んだ街の様子。弟だけはギャングにさせたくない少年の想いと、手っ取り早く貧困から脱出するにはギャングになるしかないという現実。冷酷に見えるギャングのトップも、実は家族愛にあふれた(身内には)優しい人間だったりもする。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

単純なヒーローも、単純な悪党もいない。そんな中で、主人公の行動原理=トラウマの正体も見えてくる。

本作のチラシにも書いてあったが、これはヴァン・ダムにとっての『グラン・トリノ』(2008年)だろう。悪と闘うとは、実際にはどういうことなのか。現在59歳、アクションスターとしては“老境”にさしかかった彼だからこそ見せられるタフさがここにある。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

『その男 ヴァン・ダム』で自虐的セルフパロディを演じたのは2008年のこと。『エクスペンダブルズ2』(2012年)では悪役を演じた。そういえば、ジョン・ウーのハリウッド初進出作品『ハード・ターゲット』(1993年)はヴァン・ダム主演だった。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

またか、と思われるようなシリーズものに出続けながら、実は野心的でもあるのが彼のキャリアなのだろう。ボロボロの姿が胸を打つ『ネバー・ダイ 決意の弾丸』、ヴァン・ダムの新たな代表作の誕生と言いたい。

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』© 2018 Dream Team Films.

文・橋本宗洋

『ネバー・ダイ 決意の弾丸』は劇場発信型映画祭「のむコレ3」にてシネマート新宿で2020年1月3日(金)より、シネマート心斎橋で2019年11月25日(月)より公開中

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『ネバー・ダイ 決意の弾丸』

暴力とドラッグが支配するスラム街。退役軍人ダニエルは戦争によるストレス障害に悩まされ、麻薬に依存している。彼は麻薬売買の集金人である少年ルーカスを常に気にかけ、ルーカスもダニエルを慕い、二人は強い絆で結ばれていた。しかし、ある日ルーカスはギャングのボス・リンコンを裏切ったことで、命を狙われてしまう。ダニエルは窮地に追い込まれた少年の未来を守るべく、いま再び拳銃を手に取った―。

制作年: 2019
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出演:
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