ゴールデン・グローブ賞 最多ノミネート “別れ”を描いたラブストーリー『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック監督が語る

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ライター:小西未来
ゴールデン・グローブ賞 最多ノミネート “別れ”を描いたラブストーリー『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック監督が語る
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通常のラブストーリーが出会いから結婚までを描くのだとすれば、Netflixオリジナル作品『マリッジ・ストーリー』(2019年)は、その正反対だ。幸せな家庭を築き、子供に恵まれた夫婦が、結婚の解消へと進んでいく。

本作の脚本・監督を手がけたのは、『イカとクジラ』(2005年)『フランシス・ハ』(2012年)などで知られるノア・バームバック監督。自らの離婚経験と、公私にわたるパートナーであり『レディ・バード』(2017年)の監督も務めた女優グレタ・ガーウィグからの助言をもとに作り上げたという本作は、男女の別れを描きながらもお互いの間にある変わらぬ愛情を描く、優しくもほろ苦い恋愛映画だ。

そんな傑作を生み出したバームバック監督が、グレタの貢献やアダムとの親交、演出の参考にしたという過去の名作について語ってくれた。

『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック監督

「アダムに「Being Alive」を歌わせるために、逆算して物語を作っていったようなものなんだ」

―離婚の経験がある監督にとって、これは自伝的な物語と言えますか?

たしかに、ぼくには離婚経験がある。同時に、両親も子供のときに離婚しているので、離婚はぼくの人生に長くつきまとってきた。今回は、離婚という題材を使って今までにないユニークな物語を描くチャンスだと考えたんだ。別れについてだけど、ラブストーリーでもあるというね。もちろん、自分自身の経験を持ち込んでいるけれど、リサーチで男女を問わずたくさんの友人に聞き込みをした。その結果、物語を大きく押し広げることができたと思う。

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―アダム・ドライヴァーとの仕事は『フランシス・ハ』から数えて今回で4度目になりますね。

ぼくらは友達として、かなり親しくなった。アダムがよく言うんだけど、ぼくらは映画を通じて会話をしているんだ。一緒にやりたい映画のキャラクターや物語や題材について、よく話し合う。ぼくはそれらをまとめあげることもあるし、あるいは、いったんやると決めた映画にアダムが提案した要素を持ち込めないか、と考える。今回もっとも大きかったアイデアは、アダムが劇中で「Being Alive」を歌うということだった。ぼくらが2人とも大好きな歌で、ミュージカル劇「カンパニー」も大好きだから。

それで、最後にアダムに「Being Alive」を歌わせる展開を用意するために、逆算して物語を作っていったようなものなんだ。もし彼が歌う場面をうまく描くことができれば、ただの美しい映画だけにはならないと思ってね。

「ローラ・ダーンとスカーレット・ヨハンソンはあらゆることを経験しているから、いろいろと話し合ったよ」

―スカーレット・ヨハンソンが演じるニコールの気持ちが見事に描かれていますが、女性を描くことに苦労されましたか?

この映画では男女の立場の違いを、バランス良く描くことが大事だと思っていた。女性のキャラクターについては想像も含まれているけど、脚本を書いているときにグレタ(・ガーウィグ)が同じ部屋にいたり、隣の部屋にいるのは助かった。「これってどう思う?」って、すぐに確認ができたからね。

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アダムとの共同作業と同じように、ぼくの映画は常に進行中のグレタとの会話のようなものなんだ。この映画には、グレタのアイデアや洞察、彼女が思いついたセリフがたくさんある。なにしろ夕食のたびに、その日書いた脚本について話し合っているから。

同時に、さまざまな女性の話も聞いた。とくにローラ・ダーンとスカーレット・ヨハンソンの2人に影響を受けた。2人とも離婚を経験しているし、あらゆることを経験しているから、いろいろと話し合ったよ。

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―本作を観て、イングマール・ベルイマン監督の『ある結婚の風景』(1974年)を思い出しましたが、影響を受けていますか?

あの映画は何度も見ているよ。大好きな作品だ。ただ、撮影においてベルイマン作品でもっとも影響を受けたのは、『仮面/ペルソナ』(1966年)のほうなんだ。あの映画におけるキャラクター同士の位置関係やフレーミングを参考にさせてもらった。

『マリッジ・ストーリー』では、チャーリーとニコールが結婚解消に向かって進んでいく。でも、同時に2人には繋がっていて欲しかった。それで、肉体的に重なっているような構図を多用した。たとえば裁判所での場面では、2人は別々のテーブルに座っているのに、顔が重なっているように見せた。別れようとしているけれど、一緒である、というね。この映画では、すべてのシーンにおいて、2人のあいだに愛情があることを示したかったんだ。それを映像で伝えるために、『ペルソナ』を参考にさせてもらった。『ある結婚の風景』はもちろん大傑作で、この映画を作るうえで頭のなかにあった作品でもあるけどね。

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取材・文:小西未来

『マリッジ・ストーリー』はNetflixで独占配信中

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『マリッジ・ストーリー』

離婚プロセスに戸惑い、子の親としてのこれからに苦悩する夫婦の姿を、アカデミー賞候補監督ノア・バームバックが、リアルで辛辣ながら思いやりあふれる視点で描く。

制作年: 2019
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