A・ドライヴァー「軍隊は最高の演技学校だった」 離婚の過程を丁寧に描く『マリッジ・ストーリー』

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ライター:小西未来
A・ドライヴァー「軍隊は最高の演技学校だった」 離婚の過程を丁寧に描く『マリッジ・ストーリー』
『マリッジ・ストーリー』アダム・ドライヴァー

ノア・バームバック監督による、Netflixオリジナル『マリッジ・ストーリー』は、男女の別れを描きながらも、2人の間にある変わらぬ愛情を描く、優しくもほろ苦い恋愛映画だ。本作で、女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)の夫で監督・脚本家のチャーリーを演じたアダム・ドライヴァーに話を聞いた。

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「恋愛経験がある人なら誰もが共感できる、とても普遍的な物語だと思う」

―ご結婚されているあなたにとって、『マリッジ・ストーリー』の物語には共感できましたか?

チャーリーというキャラクターには共感できたね。それに、これは恋愛状態にある人々のリアルな物語だ。2人の離婚の過程が描かれていくけれど、どうして惹かれ合うのか、どうして結婚を解消しなくてはいけないのかが丁寧に綴られていく。すべてのシーンの根底には愛があるんだ。だからこそ、みんなが共感できる。とても具体的でありながらも、恋愛経験がある人なら誰もが共感できる、普遍的な物語だと思う。

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―確かに結婚していなくても、恋愛を一度でも体験したことがあれば理解できそうですね。

うん。これは恋愛におけるマンネリがテーマになっているんだ。映画の冒頭で、ぼくが演じるチャーリーは結婚がうまくいっていないことに気づいている。でも、その問題を敢えて避けたり、頭を悩ます段階には至っていない。そこからどんどん崩れていくことになる。誰かと一緒にいるリズムに慣れきっているから、日常を壊すのにはかなりの苦労が必要になるんだ。なにより、他人を知らず知らずのうちに傷つけてしまっていたことに気づく必要がある。

スカーレット(・ヨハンソン)が演じるキャラクターは正反対で、彼女はどんどん足場を固めていくことになる。チャーリーの場合は「Being Alive」を歌ったとき、ようやく悲しみを処理し始めるという展開になっているね。

「ノアの脚本は舞台劇の台本と似ていて、演じるたびに新たな想像力の扉を開いてくれる」

『マリッジ・ストーリー』アダム・ドライヴァー

―とにかく圧倒的な演技で、とくに台詞がないところでも表情が雄弁に語っていました。

それはノアの脚本がとても豊かで具体的だからだよ。彼は“沈黙”を大事にする。口頭できちんと説明しなくてはいけない瞬間と、無言だったり歌を通じて伝えたほうが良い瞬間とを、うまく使い分けることができるんだ。ぼく自身、登場人物が自らの感情を口頭で説明するような脚本ほど退屈なものはないと思っているしね。この映画でお気に入りの場面は、チャーリーが他のキャラクターの言葉に耳を傾けるところだ。ローラ・ダーンやレイ・リオッタのような偉大な役者に耳を傾けるシーンだよ。

さらにノアの脚本は、何度聞いても想像力を掻き立ててくれる。これは舞台劇の台本に似ているね。舞台をやると、たとえば4ヶ月ものあいだ、1週間に8回も舞台に立つことになる。でも、素晴らしい台本があれば毎回、新しい発見があるものなんだ。そして最後の公演で、ようやく「やっと意味がわかったぞ」となる。ノアの脚本も同様で、こなしていくたびに新たな想像力の扉を開いてくれるんだ。

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―あなたは9.11をきっかけに海兵隊に志願し、そのあと役者に転向するという変わったキャリアの持ち主ですが、従軍経験は演技に役立っていますか?

振り返れば、海兵隊は最高の演技学校だったと言えるかもしれない。大きなストレスを感じながら、チームとして共同作業を行うのは、舞台やセットにおける役者と同じだ。役者が感じるストレスと、海兵隊員が感じるストレスでは、危険度はもちろん違う。でも、それぞれが役割を担っていて、みんなが力を合わせて同じ目標を達成しようとする点は同じ。また、みんなを導くリーダーが存在し、リーダーシップが目標達成に不可欠という点も似ているね。ぼくらがやっている作業が重要だと思えれば力が湧いてくるし、意義が理解できなければ時間の無駄に思えてしまって、危険がぐっと増す。みんなが思っている以上に、軍隊と役者は似ているものなんだよ。

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取材・文:小西未来

『マリッジ・ストーリー』はNetflixで独占配信中

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『マリッジ・ストーリー』

離婚プロセスに戸惑い、子の親としてのこれからに苦悩する夫婦の姿を、アカデミー賞候補監督ノア・バームバックが、リアルで辛辣ながら思いやりあふれる視点で描く。

制作年: 2019
監督:
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