あのデロリアンのデザイナーのブッ飛んだ半生とは?元麻薬密輸人との奇妙な接点!伝記映画『ジョン・デロリアン』

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ライター:BANGER!!! 編集部
あのデロリアンのデザイナーのブッ飛んだ半生とは?元麻薬密輸人との奇妙な接点!伝記映画『ジョン・デロリアン』
『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

伝説の迷車? デロリアンを知らなきゃ映画ファンじゃない!

1990年以前の生まれで「デロリアン」の名を知らない映画ファンはいないだろう。言わずと知れた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985年~)に登場するタイムマシンのベース車として使用され、一躍世界中にその名を知らしめた究極のスポーツカー<DELOREAN DMC-12>だ。

デロリアンは、1974年に設立されたDMC(デロリアン・モーター・カンパニー)が数年の開発期間を経て1981年に発売。130馬力のエンジンを搭載しているとは思えない直線的なフォルムにメタリックな外装など、数々の名品を手掛けてきた工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによる洗練されたデザインは今見てもめちゃめちゃにカッコいい。

しかし、計8000台強のデロリアンを製造したDMCは1982年に倒産していて、1985年公開の『BTTF』にフィーチャーされたときには生産が終了し“過去のクルマ”になっていた。本来ならば映画の大ヒットの恩恵を受けてバカ売れするところだが、既に工場も閉鎖されていたため容易には入手できず、その結果“稀代のカルト・カー”となったのである。

本作の主人公はデロリアン! ではなく、元パイロットの情報提供者!?

『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

そんないわくつきの迷車を世に送り出したのが、本作の題材となったジョン・デロリアン(2005年没)だ。ただし物語のエンジンとなるのは、飛行機パイロットだったジム・ホフマンという男である。かつて麻薬密輸に手を染めていたホフマンは1981年にFBIに逮捕され、執行猶予と引き換えに政府に麻薬売買の情報を提供していた。しかし、そんな男がなぜ元GM社の副社長で億万長者のデロリアンとつながったのだろうか?

『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

実はホフマンには、生活費や経費を含めアメリカ政府から数千万~1億円以上の予算(金額には諸説あり)が提供されていたそうで、本作で彼が高級住宅地に住むデロリアンの“お隣さん”として裕福な生活を送っているのも、そういった背景をベースにしているのだろう。とはいえ、政府に充分な情報提供ができなかった場合いつでも再逮捕されるような危うい立場だったそうで、本作でもコリー・ストール演じるFBI捜査官にガミガミと説教される様子がたっぷり描かれている。

『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

このホフマンという男は、たびたび映画の題材になっている伝説のパイロット、バリー・シールと同じような立場だったと思われる。CIAと麻薬組織を相手に荒稼ぎしたものの最終的には麻薬王の殺し屋に命を奪われた“太く短く”なシールと、FBIにこき使われながらも証人保護プログラムで幾度となく氏名を変えて生き延びたホフマン。2人の人生は対象的だが、どちらも時のレーガン大統領が掲げた麻薬撲滅政策(やニカラグアの反政府組織への武力支援)の徒花的存在と言えるだろう。

『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

長身イケメン極太眉ことリー・ペイスの“なりきり”デロリアンが秀逸!

そんなホフマンだが、演じるジェイソン・サダイキスの軽薄なキョドり演技のおかげで深刻になりすぎないというか、麻薬組織と仕事をしていたのが嘘のようなドタバタ家族ドラマぶりで楽しませてくれる。そして華々しい実績を基に独立するも、販売不振、資金難、倒産、逮捕という絵に描いたような転落人生を送ったデロリアンもまた、知識もセンスも経営手腕も一流“だった”ホンモノの自動車マンとして描かれている。そこで活きてくるのが、リー・ペイスの見事な“なりきり”ぶりだ。

『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

リー・ペイスといえば、『ホビット』シリーズ(2012年~)でエルフの王スランドゥイルを、そして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)でクリー人のロナン演じていた、やんごとなきオーラを放つ御仁である。本作の白髪チョイ悪オヤジ姿は各キャラクターのファンから悲鳴が聞こえてきそうなコッテリ感だが、191センチの長身に極太眉毛(と過剰な目ヂカラ)を持つペイスは、もはやジョン・デロリアンを演じる運命だったとしか思えないほどクリソツだ。

ちなみにムッツリしかめっ面なイメージのリー・ペイス、インスタではお茶目な姿も披露しているので是非チェックしてほしい。絶対いい人でしょ。

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すでに本国では配信済みのドキュメンタリー×再現ドラマ構成の『Framing John Delorean(原題)』(2019年)ではアレック・ボールドウィンがデロリアンを演じているが、クリソツ度では本作のほうが数段上。地位も名誉もカネも若く美しい妻も手にしたデロリアンは、なぜ1台のクルマのために転落したのか? そして衝撃の逮捕劇の裏では、一体どんな取引が行われていたのか? 政府の情報屋と自動車業界の異端児、そんな特異すぎるお隣さん同士のイビツな友情が描かれる本作は、30数年前に起こった事実を基にしているなんて信じられないほどカッコ悪く、かつ猛烈にドラマチックである。

『ジョン・デロリアン』© Driven Film Productions 2018

『ジョン・デロリアン』は2019年12月7日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

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『ジョン・デロリアン』

1977年、南カリフォルニア。パイロットのジムは、麻薬密売の現場をFBIに押さえられ、罪を問われない代わりにFBIの情報提供者となる。彼は引っ越した家の隣に住むのがゼネラルモーターズでポンテアック・GTOの開発に携わったジョン・デロリアンだと知り驚く。美しい妻子とともに素晴らしい家に住み、夢のために自らの会社を立ち上げ、革新的な車“デロリアン”を開発しているジョンの完璧な人生に憧れるジム。しかしジョンの会社は新車開発で様々なトラブルが発生し、彼は資金繰りに窮していることを知ったジムは、友人となったジョンをFBIに麻薬密売の罪で売り渡す計画を立てるのだった・・・。

制作年: 2018
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