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『ワンハリ』出演の女優&歌手マヤ・ホークの音楽Pはイーサン・ホークの旧友ジェシー・ハリス!2人の来日インタビュー

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ライター:#森本康治
『ワンハリ』出演の女優&歌手マヤ・ホークの音楽Pはイーサン・ホークの旧友ジェシー・ハリス!2人の来日インタビュー

イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘で現在21歳のマヤ・ホークは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン3(2019年)のアイスクリーム屋のロビン役、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のフラワーチャイルド役などで女優として人気上昇中。一方、ミュージシャンとしても活躍していて2019年11月20日、21日にブルーノート東京にて来日公演を行った。

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<BANGER!!!>独自インタビュー【前編】では、マヤと、彼女の楽曲プロデューサーで公演サポートも務めたジェシー・ハリスに、音楽制作について語ってもらったが、今回の【後編】では映画音楽や俳優業について、たっぷり語ってもらった。

ジェシー・ハリス(左)、マヤ・ホーク(右)

「『ストレンジャー・シングス』が確固としたスタイルを持つことの大切さを教えてくれた」

―マヤさんは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン3(2019年)でロビンを演じています。ロビンとスティーブの関係は同シーズンの見どころのひとつでもありました。(スティーブ役の)ジョー・キーリーさんと共演したご感想を教えていただけますか?

マヤ:ジョーはどんな時でも面白いことをしようと考えていますね。共演者と何かユーモアのあることが出来ないかと、そのチャンスをうかがっているんです。いつでも皆を楽しませようとしているところが、ジョーの素敵なところですね。

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―『ストレンジャー・シングス』は世界中でセンセーションを巻き起こしています。この作品から、どんなことを学びましたか?

マヤ:ザ・ダファー・ブラザーズ(マット・ダファー、ロス・ダファー:製作・監督・脚本)が手がける『ストレンジャー・シングス』は唯一無二のスタイルを築いていて、確固としたスタイルを持つことがとても大切だと学びました。ひとりひとり個性的なキャラクターだけど、ひとつの世界に見事に共存しているんです。確固たるスタイルがあるからこそ、世界観が理解しやすいし、安心して観ることができるんですよね。今後、私が作品を作っていく上でも『ストレンジャー・シングス』のように、スタイルを確立していくことがとても重要だと思いました。

―『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)ではフラワーチャイルドのひとりを演じていました。マヤさんの世代にとって、60年代や80年代というのは一種のファンタジーのようなものだったのではないかと思います。これらのキャラクターを(役作りで)掘り下げていく際、当時の音楽やポップカルチャーに関心を持ちましたか?

マヤ:私は昔から60年代の音楽が大好きで、よく聴いています。ザ・ビートルズやボブ・ディラン、ヒッピームーブメントなど当時の音楽や服装にずっと興味があるんです。ただ、マドンナの大ファンでもあるんですが、実は80年代のカルチャーにはそこまで興味がありませんでした。でも『ストレンジャー・シングス』に出演が決まってから、この時代の映画や音楽を勉強したんです。このシリーズに影響を与えた『グーニーズ』(1985年)や『E.T.』(1982年)などの映画は、どれも素晴らしいものばかりでした。

―ジェシーさんは、マヤさんの俳優活動についてはどう評価されていますか?

ジェシー:正直に言うと『ストレンジャー・シングス』は観ていないんだけど、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でのマヤは、短いシーンだけどカメラの前でとても活き活きとした素晴らしい演技をしていたよね。それと、彼女が作った「To Love a Boy」のミュージック・ビデオがとても気に入っているんだ。マヤはユーモアもあるし、とても素直で、そして繊細な感情を持っていると思うよ。

「イーサンは『痛いほどきみが好きなのに』の音楽を僕に託し、劇中で大切に使ってくれた」

「痛いほどきみが好きなのに」オリジナル・サウンドドラック

―ジェシーさんが音楽を担当した『痛いほどきみが好きなのに』(2006年)について聞かせて下さい。イーサン・ホークさんとは90年代からの付き合いだそうですが、どのように知り合ったのでしょうか?

ジェシー:初めて出会ったのは、イーサンが僕のライブをNYのブリーカー・ストリートにあるクラブに観に来てくれたときかな。ライブが終わった後、「とても楽しかったよ」と挨拶に来てくれたんだ。若くて、ルックスもよくて、そのとき着ていた革のジャケットも似合っていて、とてもカッコよかった。1998年にユマ(・サーマン)と結婚するまでの数年間は、よく遊んでいたよ。結婚して、マヤが生まれてからはとても忙しくなって、僕もジェシー・ハリス&ザ・フェルディナンドスというバンドを結成してツアーに出ていたので、彼と会う機会は減ってしまった。

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でも、イーサンが監督・出演した『痛いほどきみが好きなのに』が制作されるときに、彼が「音楽を作曲してほしい」と声を掛けてくれたんだ。イーサンとのコラボレーションはとても楽しかったよ。その作品をきっかけに、今に至るまで彼と会う機会が増えたんだ。

ジェシー・ハリス

―通常、映画音楽の製作では作曲家がスコアを書き、音楽監督が映画に合った曲を選びます。しかし、あなたはこの映画でスコアの作曲、挿入歌の選曲と演奏、そして素晴らしいミュージシャンたちの招聘まで全て自分で行っています。あなたは映画全体の音楽をプロデュースできたわけですが、この映画の仕事で難しかったことや面白かったことを教えていただけますか?

ジェシー:とても時間のかかる工程だったけど、ひとつも難しいことはなくて、とにかく楽しかったよ。自分が作った曲を劇中でどう構成していくか、自由に考えることができたんだ。イーサンに音楽のテーマだけ伝えて、彼とそれぞれのシーンに合うものを選んで、映画を観ながら即興で作った曲もあった。こういった過程を経験して、映画監督の視点を学ぶことができたんだ。

実は作曲家の多くが、映画音楽を手がけるのは最悪なことだと思っているんだよ。最近の映画を観たら分かると思うけど、作曲家が楽しんで曲を作れていないんだ。『ティファニーで朝食を』(1961年)や『ゴッドファーザー』(1972年)、『ロッキー』(1976年)、『スター・ウォーズ』(1977年)、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年)などの映画では、音楽が俳優の演技と同じくらい、とても重要な位置にあった。最近の映画音楽はムード作りのためだけのもので、とても機能的になって個性が失われてしまっている。でも、イーサンは僕にすべてを託してくれて、僕らが作った音楽を劇中で大切に使ってくれたんだ。

―『痛いほどきみが好きなのに』で好きなシーンがあれば教えて下さい。私はウィリアム(マーク・ウェバー)と父親(イーサン・ホーク)の再会シーンが好きなのですが。

ジェシー:僕もそのシーンが一番気に入っているよ。そのシーンの音楽は、トニー・シェールとふたりでギターを弾いたんだけど、その曲もよかったね。録音の時にトニーは喘息がひどくて、咳がマイクに拾われていたから、編集する時に咳を消していくのが大変だった記憶があるよ(笑)。

―マヤさんが出演する新作映画『Human Capital(原題)』と『Mainstream(原題)』(ともに2020年米国公開予定)について教えていただけますか?

マヤ:『Mainstream』は、『パロアルト・ストーリー』(2013年)という素晴らしい作品を手掛けたジア・コッポラ監督(フランシス・フォード・コッポラ監督の孫)の最新作です。彼女は優れたビジュアルセンスを持った、才能あふれる女性監督なんです。アンドリュー・ガーフィールド、ナット・ウルフなど演技力のある俳優たちと共演しました。そして『Human Capital』はマリサ・トメイが主演すると聞いて、オファーを受けました。マリサは同じ女優としてとても尊敬していて、影響を受けた人物です。そして、NYで一緒に育ったふたりと共演しています。ひとりは同じ幼稚園に通っていたアレックス・ウルフ、もうひとりは同じ高校に通ったフレッド・ヘッキンジャーです。とても運命的なものを感じる作品ですね。

取材・文:森本康治(映画音楽ライター)

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