人間やっててイヤになる!? 大量のお猿さんがライジングする『猿の惑星:新世紀(ライジング)』

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ライター:市川力夫
人間やっててイヤになる!? 大量のお猿さんがライジングする『猿の惑星:新世紀(ライジング)』
『猿の惑星:新世紀(ライジング)』©2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
TM and © 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation.  All Rights Reserved.  Not for sale or duplication.
前から薄々感づいてはいたんですけど、もしかして猿が出てくる映画って全部面白くないですか!? 大島渚監督作の『マックス、モン・アムール』なんて、“アパートの一室で人妻がチンパンジーと愛し合う”というあらすじだけでも宇宙一面白いですし、ジョージ・A・ロメロの『モンキー・シャイン』とか、老チンパンジーが美女の風呂をいやらしい目で覗く『リンク』とか、猿の神様が悪い奴に天罰を下す『ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団』などなど……。とはいえ、やはり金字塔は『猿の惑星』ですよね。そんなわけで今回ご紹介する映画は、『猿の惑星』シリーズの中でももっとも猿が暴れる映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』!

「人間よ、そろそろ滅べや」

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』©2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
TM and © 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation.  All Rights Reserved.  Not for sale or duplication.

人間と猿の立場がひっくり返っちゃった大変だ、という映画といえば、SF映画界のドン『猿の惑星』。そのシリーズの前日譚である『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の続編が本作。

前作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』はこのシリーズの主人公であるチンパンジーのシーザーが、人間の家に引き取られるところからスタート。すぐにスクスク育つも、新薬の実験台だった母親の遺伝子を引き継いでいたために高すぎる知能を発揮。人間社会での生活が困難になって再び施設に送り込まれた結果、人間に嫌気がさして施設仲間の猿たちとともにド派手な脱走を企てました。

そして本作は前作から10年が経過しているのですが、それまでに猿インフルエンザなるヤバいウイルスが世界中に蔓延。なんと地球上の人間はほぼ死滅状態。シーザーは多くの猿たちと森の奥深くで集落を作り、DASH村以上にほのぼの暮らしを満喫。しかし、一発の銃声が猿村の平穏を破壊する……。

わずかに生き残っていた人間たちとお猿さんたちの邂逅。とうぜん生じる軋轢。そこで苦悩する人間と仲良くやっていきたい猿と、仲良くなんかしたくない猿の対立。そして猿と仲良くしたい人間と猿が怖い人間。様々な立場の思惑が入り混じった結果、物語は良くない方向へと走りだす……。

というわけなんですが、いよいよ猿VS人間の熾烈な戦いがスタートしてしまう本作。それもただの戦いじゃなくて、もはや戦争。ハイスペック猿たちはマシンガンはぶっ放すわ戦車に乗るわで暴れまわります。ただ、いくら猿たちが暴れても「怖い!」という気にはならないんですよね。むしろあまりの人間の傲慢さ、愚かさに「人間よ、そろそろ滅べや」って気になってきます。気づいたら気持ちが猿と一体化してるんですよね。ここまで自分が人間であることをイヤになってくる映画も珍しいほど……。

人間が大嫌いなコバ、彼こそが主人公!?

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』©2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
TM and © 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation.  All Rights Reserved.  Not for sale or duplication.

そんな本作ですが、それはまぁたくさんのお猿さんがライジングします。そのなかで、もっとも私が推していきたいのがコバ。というか、本作の真の主人公はコバといっても過言ではないかもしれません。

コバとは前作でも登場したボノボで、人間に虐待されて育ち、顔には大槻ケンヂさんと同じ位置にズバッと傷があるお猿さん。おまけに性格も凶悪かつ粗暴でとにかく人間が大嫌い。なので人間に友好的なシーザーとは度々対立し、猿集落でも反逆分子的な存在に。さらにはボス猿シーザーの立場を乗っ取ろうとまでします。というか、本作の人間VS猿の戦いがはじまるキッカケにすらなってしまうのですが、このコバって奴は一言で「悪役」と済ませられない魅力に溢れてる猿なんです。

まずなんといってもコイツがいちばん純粋なんですよ。悪く言うと頑固者というか。最初はシーザーの忠実な右腕として顎で使われることもしばしばあったわけですが、シーザーが良い人間と出会って揺れ動いてるときにコバは「シーザー! 目を覚ませ! 人間は俺たちを殺すぞ!」と終始警戒モード。そりゃ人間に虐待されて育ったのでそうなるのも当然なのですが、本作のコバは「俺たちの猿集落を守ろう!」と、良かれと思った行動が全て裏目に出てしまうのです。結果的には勝手に追い詰められ、ひとりで悪者となり、人間ともシーザーとも全面戦争となってしまいます。嗚呼、不憫なコバ……。

ちなみにコバをモーション・キャプチャで演じたのはイギリスの俳優トビー・ケベル。もうすぐ日本でも主演作『ワイルド・ストーム』が公開される若手俳優なのですが、何週間もかけて習得したという猿の動きは見事で、コバの不安定な心の揺らぎを完璧に表現しています。シーザーを演じたモーション・キャプチャ界の王様アンディ・サーキスはもちろんすごいけど、トビー・ケベルも忘れないで!!

文:市川力夫

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』
ブルーレイ発売中
¥1,905+税
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
©2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』公式サイト

猿の惑星:新世紀(ライジング)

猿のシーザーが、カリスマ的な統率力で人類への反乱を起こしてから10年後。さらなる進化を遂げた猿たちは、森の奥に文明的なコロニーを築いていた。ある日、荒廃した都市部に潜む人類の生存者たちが、資源を求めて森に足を踏み入れたことから、両者の対立が激化してゆく。

制作年: 2014
監督:
キャスト:
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