新作よりペニーワイズが怖い! TV版『イット』怪優ティム・カリーの顔面力がトラウマ級!

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ライター:市川力夫
新作よりペニーワイズが怖い! TV版『イット』怪優ティム・カリーの顔面力がトラウマ級!
『イット』© 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

記録を塗り替えた大ヒット・ホラー『IT/イット』シリーズついに完結!

1986年に刊行されたスティーヴン・キングの小説「IT(イット)」。キングのそれまでの小説「呪われた町」(1975年)、そして「スタンド・バイ・ミー」(1982年)が合体したような内容で、ピエロの姿をしたモンスター“IT”に立ち向かう7人の少年少女、そして彼らが大人になってからの物語が描かれる。

『イット』© 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

「子ども時代」と「街に蠢く怪物」というキングお得意のテーマを含みながら、キング自身の半自伝的な内容も含めた、まさに集大成ともいえる作品だ。

その原作を基にした映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)の続編、『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が2019年11月1日(金)から公開されたわけだが、本作は過去にもTVミニシリーズとして1990年に映像化されている。

S・キングとJ・カーペンター、2人の巨匠にキャリアを捧げた脚本家と監督

このTVミニシリーズ版は1990年に2回にわたって放映され、前後合わせて約3時間。過去と現在を行き来する原作とは違い、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』と同様、ざっくり少年期と大人期で2分割。まずは、大人になった主人公たち「ルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)」が登場し、それぞれの回想シーンに入り、幼少期の複雑な家庭事情やトラウマが順に描かれていく構成となっている。

『イット』© 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

前半の短い時間のなかで7人のキャラクターを描き分ける脚本は見事で、これを担当したのは脚本家のローレンス・D・コーエン。ちなみに彼は『イット』の前にはスティーヴン・キング原作、ブライアン・デ・パルマ監督の『キャリー』(1976年)の脚本を手掛けていて、『イット』後は、1993年にTVミニシリーズ『スティーブン・キング/トミーノッカーズ』、2006年には『スティーヴン・キング 8つの悪夢』の脚本も手かげているという、まさにキング漬けの人生。しかし、『イット』に関しては後半のルーザーズ・クラブが大人になってからの脚本の出来がお世辞にも良いとは言えず、監督であるトミー・リー・ウォーレスが書き直したんだとか。

そんな遠慮知らずの監督トミー・リー・ウォーレスは、『ダークスター』(1974年)『ジョン・カーペンターの 要塞警察 』(1976年)『ハロウィン』(1978年)『ザ・フォッグ』(1980年)などのジョン・カーペンター作品で編集、プロダクションデザイナーとして縁の下の力持ちを担ってきた男。ちなみに『ハロウィン』ではマイク・マイヤーズ=ブギーマンの中の人も演じているという、それだけでも輝かしすぎる経歴の持ち主。監督デビュー作は『ハロウィンIII』だ。

なので、『イット』では『ハロウィン』のように“追いかける側”の視点も入ったりと、カーペンター映画の影響は大。しかし、製作当時は原作を読んでいなかったことをのちに告白! というか、ほとんどの役者たちもイメージが固定するのを嫌って原作は読んでおらず、「小説と映画は別物!」と潔く割り切って製作された。

新シリーズよりもペニーワイズが、というかティム・カリーの顔が恐い!

そんな布陣でお送りする『イット』だが、なんといってもいちばんの魅力は凶悪なピエロ、ペニーワイズだ。原作同様、あらゆる場面でいきなり登場。姿形を自在に変えてトラウマをほじくり返し、叫んでブチギレたと思ったらひとりで大爆笑したりと大忙し。舞台版&映画版『ロッキー・ホラー・ショー』(1973年/1975年)のフランクン・フルター博士役で有名なティム・カリーが演じるペニーワイズは、キレッキレの演技と迫力満点の顔芸で、観る者を徹底的に不快にさせてくれる。実際、放送当時は“ピエロ恐怖症”となってしまった人も多数。長らく怖いピエロの代名詞として人々の脳裏にこびりついていた。

『イット』
ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
© 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ここで興味深いのは、ペニーワイズのデザインだ。ティム・カリーの類稀な顔面力を信頼しきった至ってシンプルな白塗りで、特殊造形は頭をちょっと膨らましているだけ。当初、デザイナーが考えていたペニーワイズの造形はもっとおどろおどろしくモンスターっぽかったらしいが、ティムがそれに難色を示し、ティム自らがシンプルなデザイン案を提示。というのも、ティムは『イット』前にリドリー・スコット監督のファンタジー『レジェンド/光と闇の伝説』(1985年)で特殊メイクばりばりな魔王を演じ、あまりの時間のかかり具合にうんざりしていたんだとか……。

『イット』© 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

そんな『イット』だが、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の後に観てしまうと、「たいしたことないな」と感じてしまうかもしれない。でも、『イット』が放送されたのは1990年。放送当時はTVミニシリーズでここまで血が出たり、グロテスクな造形物が登場するものは珍しかったらしく、「その後のテレビドラマの表現の可能性を広げた」とも言われている。おまけにB級映画並の超低予算。比べるなんて野暮なことをしないで、とにかくティム・カリーの素晴らしい気狂いピエロっぷりに慄いてほしい。

文:市川力夫

『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は2019年11月1日(金)より全国ロードショー

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『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

小さな田舎町で再び起きた連続児童失踪事件。幼少時代、“それ”の恐怖から生き延びたルーザーズ・クラブの仲間たちは、27年前に固く誓った<約束>を果たすために町に戻ることを決意する。だが“それ”は、より変幻自在に姿を変え、彼らを追い詰めて行くのだった……。なぜ、その町では子供が消えるのか? なぜ、事件は27年周期で起きるのか? “それ”の正体と目的とは? 果たして、すべてを終わらせることができるのか!?

制作年: 2019
監督:
出演:
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