舞台上でパフォーマンスを観ているかのような臨場感を味わえる! シネマ・ミュージカル『42ndストリート』

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ライター:齋藤敦子
舞台上でパフォーマンスを観ているかのような臨場感を味わえる! シネマ・ミュージカル『42ndストリート』
『42ndストリート』©Brinkhoff/Mogenburg

舞台を最前列よりも前の席で! 劇場では味わえない臨場感

今月お薦めしたいのは、心も体もウキウキ、楽しくなること請け合いのミュージカル映画『42ndストリート』(2018年)。実はこれ、映画作品ではなくミュージカルのステージをそのまま撮影した“シネマ・ミュージカル”である。チケットが普通の映画より少し高いのが難だが、最前列よりも前の席で、まるで舞台の上で俳優のパフォーマンスを見ているような臨場感は、いくらお金を積んでも劇場では味わえない。

『42ndストリート』©Brinkhoff/Mogenburg

ブロードウェイの舞台裏を描いた名作ミュージカル映画

『42ndストリート』の元になったのは、1933年の映画『四十二番街』。ブロードウェイ・ミュージカルのバックステージものであり、田舎から出てきた才能あふれる娘が成功するまでのスター誕生を描いている。

本作のストーリーは、映画『四十二番街』とほぼ同じ。大恐慌の影響が色濃く残る1933年、名高い演出家ジュリアン・マーシュ(トム・リスター)が、新作ミュージカル「プリティ・レディ」をブロードウェイの舞台で上演するというニュースが流れ、失業中のコーラスガールたちがオーディションに駆けつける。

『42ndストリート』©Brinkhoff/Mogenburg

主演は、この舞台の出資者をパトロンに持つ大スターのドロシー・ブロック(ボニー・ラングフォード)で、パトロンの力をバックにわがまま放題。そこにペンシルベニアの田舎町から出てきたペギー(クレア・ハルス)が現れる。オーディションはとっくに終わっていたが、ドロシーの相手役ビリーがペギーに一目惚れしたおかげで、コーラスの一員に加わることになる。

さて、リハーサルも無事に済み、ブロードウェイでの本番を前にしたフィラデルフィアでのトライアル公演で、ペギーとドロシーが舞台で接触、ドロシーがくるぶしを痛めて公演は中止になってしまう。ペギーは当然クビだ。ところが、再び失業の危機に瀕した出演者たちが一致団結。新人のペギーを主役にするようマーシュを説得。マーシュは故郷に帰ろうとしていたペギーに、ブロードウェイの魅力を説いて、引き留めようとする……。

『42ndストリート』©Brinkhoff/Mogenburg

やっぱり見どころはタップダンス! ミュージカル映画史上最高の振付師にオマージュを捧げる

見どころは、何といってもタップダンスだ。私がタップダンスに開眼したのは遅く、MGMが創立50周年を記念して自社のミュージカルをアンソロジーにした『ザッツ・エンタテインメント』(1974年)から。それまでミュージカルというと『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)や『マイ・フェア・レディ』(1964年)、『ウエスト・サイド物語』(1961年)といった、モダンダンスを基調にしたスタイルしか知らなかった私の目に、30年代から40年代に花開いた絢爛豪華なレビュー映画の世界を教えてくれた映画である。

『42ndストリート』©Brinkhoff/Mogenburg

特にエリノア・パウエルとフレッド・アステアによる<ビギン・ザ・ビギン>のタップダンスと、バズビー・バークレイという天才振付師の素晴らしさに魅了された。『四十二番街』は、そのバークレイの出世作という意味でもエポックメイキングな作品なのだ。

バズビー・バークレイ(1895-1976)は、ミュージカル映画における史上最高の振付師である。一般にダンスの振付といえばジーン・ケリーやボブ・フォッシーのように、ダンサー出身者が行うのに対し、彼はダンスの経験がまったくないという変わり種だった。彼の強みは、第一次世界大戦に従軍した際にパレードの指揮を担当したこと。人間が一糸乱れず、集団で行動する美しさを、コーラスガールを使ってスクリーンに再現してみせた。

美女の脚や体がまるで万華鏡のように変化する、その動きの美しさを、縦横無尽に動き回るカメラで捉える、映像でしか表現できないフォトジェニックな美しさが彼の真骨頂。今回のステージ版でも、鏡を使って舞台上を俯瞰で見せる演出(名付けてバークレイ・ショット)で、伝説の振付師にオマージュを捧げている。

さて、ステージ版『42ndストリート』は、オープニング・アクトの“オーディション”のタップダンスから魅せる。コーラスガールたちのタップに合わせて、思わず足が動いてしまったら、そこからフィナーレのレビュー場面まで、135分はあっという間だ。

文:齋藤敦子

『42ndストリート』は2019年10月18日(金)より東劇(東京)先行限定公開、10月25日(金)より なんばパークスシネマ(大阪)・ミッドランドスクエア シネマ(名古屋)ほか全国拡大限定公開

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『42ndストリート』

ブロードウェイの舞台を上映する「松竹ブロードウェイシネマ」第3弾。
アカデミー賞ノミネート・伝説のミュージカル映画『四十二番街』を舞台にした『42ndストリート』をスクリーンで上映!

制作年: 2018
出演:
  • BANGER!!!
  • 映画
  • 舞台上でパフォーマンスを観ているかのような臨場感を味わえる! シネマ・ミュージカル『42ndストリート』