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ガチ怖ムービー大集合! ナチス兵器人形の残酷ホラーコメディ『パペット・マスター』ほかシッチェス映画祭から厳選上映

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ライター:#BANGER!!! 編集部
ガチ怖ムービー大集合! ナチス兵器人形の残酷ホラーコメディ『パペット・マスター』ほかシッチェス映画祭から厳選上映
『パペット・マスター』©2018Cinestate Puppet Master, LLC

毎年スペインで開催されている「シッチェス映画祭(正式名称:シッチェス・カタロニア国際映画祭)」は、ジャンル映画に特化した「世界三大ファンタスティック映画祭」の一つ。その上映ラインナップから厳選された作品を日本で上映する「シッチェス映画祭ファンタステック・セレクション」が、2019年10月より東京・名古屋・大阪にて開催! 第6回目となる同映画祭から、注目作品をピックアップして紹介しよう。

注目!カルト的な人気作のリブート版『パペット・マスター』

本年度の目玉作品は、やはりリブート版『パペット・マスター』(2018年)だろう。1989年に公開されたオリジナル版は奇っ怪な人形たちが残酷な殺戮を繰り広げるホラー映画で、前年に『チャイルド・プレイ』が大ヒットしたこともあってカルト的な人気を獲得。のちに10作以上も続編が作られる長寿シリーズとなった。なお、この最新作はシリーズ30周年記念作品とのことだが続編要素はなく、シリーズのファンでなくとも問題なく楽しめるのでご安心を。

『パペット・マスター』©2018Cinestate Puppet Master, LLC

そんな新『パペット・マスター』の物語は、かつて不思議なパペットを作りナチスの虐殺に関わっていた人形使いトゥーロン(ウド・キア)の遺した人形が、世界中からオークションに集められるところから始まる。ナチス絡みといえば、シリーズ屈指の傑作と名高い3作目『パペット・マスター3/ナチス大決闘』(1991年)だが、本作ではパペットの制作者はトゥーロンの名こそ継続しているものの、ナチス信奉者のサイコな人形使いに改変されている。つまり、ナチスの殺戮兵器だったパペットに現代人が襲われることになる、というわけだ。

本作はホラー描写のほうも思い切りがよく、開始10分未満で切り株シーンを見せてくれるし、開始30分以内にオッパイも出るというサービスぶりで、スプラッタ・ホラーのセオリーに忠実な仕上がり。あからさまに安っぽいシーンもなくはないがゴア描写はなかなかのクオリティで、殺し方のバリエーションも豊富で楽しませてくれる。

『パペット・マスター』©2018Cinestate Puppet Master, LLC

また、シリーズのファンにとってはガリガリ博士やドリラー将軍、ジャイアント・コテツなど1作目からお馴染みの人形たちに加え、3作目で退場となった鉄人バーベQの登場も嬉しいポイントだろう。個性的な新キャラ(人形)にも要注目だ。

『パペット・マスター』©2018Cinestate Puppet Master, LLC

泣けるオカルト・ホラー『ザ・ゴーレム』

続いては、17世紀を舞台にしたイスラエル産オカルト・ホラー『ザ・ゴーレム』(2018年)。ユダヤ教に伝わる“動く泥人形”ゴーレムに、ブードゥー的な呪術要素とフランケンシュタイン的な生命創造テイストをミックスした物語で、ひたすらダークでシリアスな展開は近年流行の“魔女モノ”にも通じる重厚感がある。ホラーとは言ってもフィジカルにエグい描写は必要最小限で、迫害を受けるユダヤ人の主人公が生み出したゴーレムが、徐々に手に負えなくなっていく心理的な恐怖がメインになる。

『ザ・ゴーレム』© 2019 The Golem Partnership and Epic Pictures Group, Inc.

ゲームなどの影響もあって、ゴーレムといえば巨大な泥人形をイメージしがちだが、本作では可愛らしい小学生男児みたいな設定なのがユニーク。これは予算の面でも秀逸なアイデアだが、息子を亡くした主人公=生みの親と肉体的にも精神的にも通じ合ってしまうところがミソで、ギレルモ・デル・トロやJ・A・バヨナ作品にも通じる、恐ろしくも哀しい“泣けるホラー”である。

『ザ・ゴーレム』© 2019 The Golem Partnership and Epic Pictures Group, Inc.

自殺シーンから始まる社会派映画『スクールズ・アウト』

フランス発・学園スリラー『スクールズ・アウト』(2018年)は、現代版「恐るべき子供たち」のような映画……ではなく、恐ろしく冷めた中学生たちに教師が翻弄されていく様子が物語の軸となる。

『スクールズ・アウト』© Avenue B Productions – 2L Productions

冒頭の自殺シーンから始まり、ことごとく予想を裏切る展開の連続に思わず息を呑むだろう。終始不穏な空気を醸し出しつつ、実は切実なメッセージが込められためちゃくちゃ社会派なプロテスト映画でしたという仕立ては、もはやお見事と言うしかない。

『スクールズ・アウト』© Avenue B Productions – 2L Productions

しかも日本人にとっては特に切実な題材を扱っていて、あまりに意外かつ衝撃的なラストシーンには言葉を失ってしまった。本作で描かれる“それ”を現代の日本がしでかしてしまった、我々が許してしまったことには忸怩たる思いだが、これはフランスからの回答のひとつとして真摯に受け止めるべきだろう。もちろん超刺激的な映画であることも間違いないので、ここはひとつ劇場で思いっきり翻弄されてほしい。

『スクールズ・アウト』© Avenue B Productions – 2L Productions

「シッチェス映画祭ファンタステック・セレクション」では他にも、死者とコミュニケーションが取れる能力を持つ男が、ある事件の真相を知ってしまったことから家族を守るために戦うことになる……というブラジル産ミステリー・ホラー『死体語り』(2018年)や、怨念がこめられた粘土で作った人形が惨劇を巻き起こす『血を吸う粘土』(2017年)などなど、洋邦問わず気になる作品が目白押し。夏は終わってしまったが、初秋の夜長にぜひ各劇場で背筋を凍らせてみては。

「シッチェス映画祭ファンタステック・セレクション」は2019年10月より東京(ヒューマントラストシネマ渋谷)、愛知(シネマスコーレ)、大阪(シネ・リーブル梅田)にて開催

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「シッチェス映画祭ファンタステック・セレクション」