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なぜ『X-MEN』シリーズからウルヴァリン単独作が生まれたのか? シリーズ3作品を解説!

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ライター:#杉山すぴ豊
なぜ『X-MEN』シリーズからウルヴァリン単独作が生まれたのか? シリーズ3作品を解説!
『LOGAN/ローガン』©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

X-MENシリーズきっての人気キャラ、ウルヴァリンの単独作が生まれた理由とは?

2000年の『X-メン』(日本では、1作目は“メン”、2作目以降は“MEN”と表記)から始まるX-MEN系映画は、2019年の『X-MEN:ダーク・フェニックス』に至るまで、12作公開されています。“X-MEN系”と書いたのはX-MEN全体の話ではなく、特定のX-MENキャラを使ったスピンオフが5作あり、それが『デッドプール』(2016年)『デッドプール2』(2018年)、そして今回CS映画専門チャンネル ムービープラスで一挙放送される『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)『LOGAN/ローガン』(2017年)です。

『LOGAN/ローガン』©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

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20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

X-MEN映画は、2006年の『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』で一旦シリーズが完結します。理由の一つとして挙げられているのが、ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ハル・ベリーらが俳優としてブレイクし、それぞれのスケジュールを合わせられないという事情があったようです。従って、一番人気のヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンを中心にした映画が企画されたわけですね。実際、コミックの方でもウルヴァリン単体のコミック・シリーズが多数作られて人気を博していましたから。

実は日本とも縁が深い! ウルヴァリン映画はアメコミファンでなくとも楽しめる

ウルヴァリンは驚異的な治癒能力を持っているミュータントで、不老不死的の不死身の体を持っています。19世紀の半ばに生まれ、それからずっと生きている。そして、その力を活かして戦争の中で生きてきた。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』©2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

しかし、その力に目を付けた軍の秘密組織によって、全身の骨にアダマンチウムという超合金を移植される。人間兵器として利用されそうになりますが、そこから脱出。けれど、それまでの記憶を失い放浪の身となる。そして、めぐりめぐってX-MENのメンバーになる。また、日本の女性と恋仲になるなど日本とのかかわりも深い。

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こうしたエピソードを咀嚼して『X-MEN ZERO』『SAMURAI』『ローガン』という、ウルヴァリン・スピンオフ3部作が作られました。改めて見直してみると、1作目の『X-MEN ZERO』は“X-MEN”と付いているし(原題は「X-Men Origins: Wolverine」)、他のミュータントも出てくるのでX-MEN映画の一つと言えなくもないのですが、『SAMURAI』と『ローガン』の2作は完全にウルヴァリンだけの話であり、例えばシルヴェスター・スタローンの『ランボー』(1982年)とか、そういうタイプの映画です。

『ウルヴァリン:SAMURAI』©2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

従って、アメコミ映画には抵抗あるという方も、ヒュー・ジャックマン出演の肉体派アクション映画として『SAMURAI』(日本が舞台。なんと真田広之さんと戦う!)と『ローガン』を楽しめると思います。

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X-MEN好きは『X-MEN ZERO』、映画ファンには『ローガン』がおすすめですが、僕は『SAMURAI』がとても好きです。若干、ハリウッド映画にありがちな“トンデモ”な日本描写があるんですが、ウルヴァリンがラブホテルに逃げ込んで目を丸くしたり、新幹線を使ったスーパーアクションなど、見どころも多い。

『ウルヴァリン:SAMURAI』©2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

福島リラさん演じるポップな女アサシン“ユキオ”もキュートです。真田広之さんは、この後『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)でジェレミー・レナー演じるホークアイと戦っていましたから、最もマーベル・ヒーローと戦った日本人です。

『ウルヴァリン:SAMURAI』©2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ウルヴァリンやデッドプールを生んだウェポン計画の被検体第1号はキャップだった!?

さて、それぞれの作品についてトリビアを。『X-MEN ZERO』で、ウルヴァリンは“ウェポンX”というコードネームで呼ばれますが、Xは“10”の意味で、つまり“10番目の人間兵器”ということです。では、“ウェポンⅠ”は? コミックでは、その第1号こそが超人血清を受けたキャプテン・アメリカなのです。また、本作には人間兵器の11号が登場しますが、彼が後のデッドプール(しかもライアン・レイノルズが演じています!)であり、このキャラをベースに『デッドプール』シリーズが作られるわけです。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』©2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

とはいえ、映画の『デッドプール』と本作に出てくる11号はテイストがかなり異なりますが、それはパラレル・ワールドでキャラが変わっている、とお考え下さい。『X-MEN ZERO』のエンディングで11号が生きていることが分かるちょっとブラックなオチは、後にデッドプールがスクリーンに帰ってくることを示唆していたのかもしれません。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』©2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ところで、この作品には複数のエンディングがあります。それは日本の居酒屋で酒を飲んでいるウルヴァリンが「もう一杯!」と日本語で話すというものです。続く『SAMURAI』の舞台が日本ということを暗示していたのかもしれません。なお、当初このシーンは日本の劇場公開では上映されず、後にDVD等の特典に収録されたようです。今回のムービープラス放送では、その幻のエンディングも楽しめます。

『ウルヴァリン:SAMURAI』©2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

その『SAMURAI』ではユキオがウルヴァリンの死を予感するシーンがありますが、そこで語られる内容が『ローガン』のラストにつながります! また、同作のラストは『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)につながっています。『ローガン』に登場する少女ローラはコミックでは“X-23”と呼ばれるキャラで、ウルヴァリンの名を襲名したこともある人気キャラです。

『LOGAN/ローガン』©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

今後はMCUにX-MENも参戦予定! ウルヴァリンvsハルクの夢の対決が実現するかも?

ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンは、一応『ローガン』で見納め。もともとX-MEN自体もマーベル・コミックですが、映画化権自体は20世紀フォックスが持っていたため、ディズニー&マーベル・スタジオによるアベンジャーズ系の映画(いわゆるMCU=マーベル・シネマティック・ユニバース)には登場しませんでした。しかし、ディズニーの20世紀フォックス買収に伴い、今後ウルヴァリンやX-MENもMCUに登場する予定です。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』©2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

もともとウルヴァリンはハルクのコミックに登場し、カナダに逃げ込んだハルクと戦うカナダのヒーローとして登場しました。もう一度ヒュー・ジャックマンにウルヴァリンを演じてもらって、ぜひハルクvsウルヴァリンの映画を観たいものです。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』©2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

文:杉山すぴ豊

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』『ウルヴァリン:SAMURAI』『LOGAN/ローガン』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「特集:ヒット作勢ぞろい!冬休み人気映画大特集」ほか2020年1月放送

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