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ジョーカー役ホアキンの素顔と23kgダイエットの方法は?製作秘話を監督が語る!

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ライター:#小西未来
ジョーカー役ホアキンの素顔と23kgダイエットの方法は?製作秘話を監督が語る!
『ジョーカー』トッド・フィリップス監督(左)、主演 ホアキン・フェニックス(右)© HFPA

「僕の映画には必ず“カオス”がある。ジョーカーはまず、悪役というだけでヒーローよりもずっと魅力的だ」

―『ハングオーバー!』シリーズ(2009年)で知られる監督にとって、本作はかなりの異色作ですね。

実は、もともとはドキュメンタリー映画出身で、それからコメディ映画を手がけるようになったから、こうした方向に進むのは自然な流れだったんだ。『ハングオーバー』シリーズなんて、実はとてもダークな作品で、すでにその頃からこっちの方向に向かっていたんだよ。みんな、よくレッテルを貼るよね。「あいつはコメディ監督だ」とか「彼はドラマ専門だ」とか。でも、僕にとっては映画作りでは同じ筋肉を使っているし、他人が思うほど大きな挑戦ってわけではないんだ。

―もともとジョーカーというキャラクターに思い入れがあったんですか?

ほかの子供と同じように、コミックで読んで知っていた程度だね。アメコミファンでもなければ、アメコミ映画好きでもない。ただ、僕の映画を見直してもらえば気づくと思うんだけど、いつも“カオス”がある。『アダルト♂スクール』(2003年:日本未公開)から『ハングオーバー!』シリーズ、『デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~』(2010年)、『ウォー・ドッグス』(2016年:日本未公開)に至るまで、すべてそうだ。物語の中に混沌や混乱があって、それを記録するのが好きなんだ。

だから、コミックのキャラクターを題材にした映画を撮るアイデアが浮かんだとき、ジョーカーを選んだ。まず、悪役というだけでヒーローよりもずっと魅力的だ。『スカーフェイス』(1983年)が、警官を主人公にした映画よりも面白いように。おまけにジョーカーは、ダース・ベイダーと並ぶ知名度を誇っているしね。

『ジョーカー』©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

―もっとも苦労した点はどこですか?

まず、ひとつはワーナー・ブラザースにとってもDCにとっても大胆な作品で、この人気キャラクターをこのような形で描くというのは、彼らにとって大きな挑戦だったこと。ふたつめは、ホアキン(・フェニックス)の出演を取りつけることだった。いったん参加が決まれば、あとはスムーズだったが、それまでが大変だった。脚本を一緒に読みこんでいくんだが、彼は頭が良くて、注意深いから、ごまんと質問を浴びせてくる。おまけに彼は、過去数年にわたりインディペンデント映画をやってきた。注目されずに俳優活動をすることを好んでいるからで、実際、素晴らしい仕事をこなしてきている。でも、この映画に出演したら、注目されずにいるなど不可能なことが分かっていた。だからこそ余計に用心深くなったんだと思う。

『ジョーカー』トッド・フィリップス監督© HFPA

「ホアキンは約4ヶ月で23キロ以上も減量したんだ」

―ホアキンはどんなダイエット法で激ヤセしたのですか。

実は、あんなムチャな方法で痩せて欲しくなんかなかったんだ。きちんと医師をつけて、段階的に痩せて欲しかったのに、彼は受け入れてくれなかった。その結果、数ヶ月ものあいだ、1日にリンゴ1個というダイエットに挑戦したんだよ。

―えっ! リンゴ1個だけですか!?

うん。ランチにドレッシング抜きのサラダを食べるときもあったけれど、基本的にリンゴだけで、そのおかげであんなに痩せたんだ。だけど、こんな無茶なやり方になったのはホアキン本人の責任だ。もっと前から準備することを勧めたのに、「それは俺のやり方じゃない。やるときは、やる」と主張してね。2018年9月12日にクランクインしたんだが、彼がダイエットを始めたのが5月15日から6月1日あたり。そのあいだに、あれだけの体重を落としたんだ。

『ジョーカー』©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

―本人はなかなか数字を明かしてくれないのですが、具体的にどれだけ痩せたんですか?

もともとの体重が180ポンド(81.6キロ)で、正直かなり太っていたね。でも、アーサーは病的で、いつも腹を空かしたオオカミのような人物にしたいと考えていたんだ。むちゃくちゃなダイエットの結果、52ポンド(23.6キロ)減らして、最終的には128ポンド(58キロ)になった。ご存知のとおり、彼はダイエットに関することを話すのを嫌うから、僕が言ったことは黙っているように(笑)。

トッド・フィリップス監督(左)、主演 ホアキン・フェニックス(右)© HFPA

「ホアキンはみんなが思うようなメソッド俳優ではない。ジョーカーになりきったまま現場で過ごしているわけじゃないんだ」

―ホアキン・フェニックスといえば、役作りにのめり込むことで知られていますが、監督として不安になったことはありませんでしたか?

ホアキンが心配になったことは何度かある。自分自身を傷つけてしまうのではないかと思ってね。彼は痩せこけて、筋肉がまったくない状態だった。だから、映画でフィジカルな演技をするときは不安で仕方がなかったよ。彼が裏道でなにかを蹴るシーンがあるんだが、そのとき足を痛めて、地面に倒れこんでしまった。そのシーンは映画にそのまま残してあるよ。負傷してしまって、ワンテイクしかできなかったから。

『ジョーカー』©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

ただ、役者としてダークな面に行きすぎてしまって怖くなった、ということはないな。ホアキンはプロフェッショナルな役者だけど、みんなが思うようなメソッド俳優ではない。演技にのめり込むし、とても激しいことをやってのける。でも、テイクが終わったら笑顔に戻る。アーサーやジョーカーになりきったまま、現場で過ごしているわけじゃないんだ。あれだけすごい俳優だし、いろんな噂を聞いていたから、現場では彼のことをアーサーと呼ばなきゃいけないのかと思っていたんだけどね(笑)。

取材・文:小西未来

『ジョーカー』は2019年10月4日(金)公開

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『ジョーカー』

「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる!

制作年: 2019
監督:
出演: