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邦題のせいでエアポート・シリーズが日本に大量発生!『エアポート2018』はもはや怪奇オカルト・ホラーだ!!

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ライター:#知的風ハット
邦題のせいでエアポート・シリーズが日本に大量発生!『エアポート2018』はもはや怪奇オカルト・ホラーだ!!
『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

 

いつもの便乗作品……じゃない!? 今度のアサイラムは風評被害者側だ!

俗に“エアポート・シリーズ”と呼ばれている、B級映画作品群が日本には数えきれないほど存在する。もちろん、あの有名なフライト・パニック映画『大空港(原題:AIRPORT)』(1970年)や、『エアポート’75(原題:AIRPORT 1975)』(1974年)など“本家エアポート・シリーズ”4作品とは微塵も関係ない。

要は、「“本家エアポート・シリーズ”とは無関係だが、飛行機がテーマである」海外の適当なB級映画に、やれ「エアポート’XX」だとか「エアポート20XX」なんて邦題を日本で勝手に付けて、疑似ナンバリングタイトル化しているだけの、なんちゃってシリーズである。

そして、かの便乗商法で悪名高いB級映画製作会社・アサイラムもまた、“エアポート・シリーズ”をリリースしている。その名も『エアポート2018』(2018年)。ちなみに原題は『FLIGHT 666』である。

『エアポート2018』
発売中
価格:¥4,800+税
発売:アルバトロス

と、いつもならここで「またアサイラムかあ……」とツッコミを入れるべきところなのだが、今回は少し待って頂きたい。よーく原題を見れば分かる通り、今回のアサイラムは“本家シリーズに自社作品を被せている”わけではない。それどころか本作、『エアポート2018』なんて邦題を付けられてはいるものの、その内容はガチガチの“オカルト・ホラー映画”である。なんと今回のアサイラムは、風評被害者側なのだ。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

飛行機の乗客たちが次々と幽霊を目撃! まさかの航空オカルト・ホラー!!

まあ別に日頃の行いがもうなんというか常習的にアレなので誤解もやむなしオオカミ少年だが、それはさておき今回も早速、『エアポート2018』を紹介していこう。ちなみにアサイラムは、本作より前に『エアポート2017』(2017年)という作品も出している。そちらは普通にフライト・サスペンス映画であり、原題は『THE FAST AND THE FIERCE』だ。

『エアポート2018』の舞台は大型旅客機の夜行便。フライトの途中、雷鳴轟く嵐に巻き込まれた乗客たちは、多少不安気な様子を見せながらも、比較的大人しく席に着いていた。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

そんな中、一人の乗客が突然「窓の外に得体の知れない何かを見た!」と絶叫すると、パニックを起こして暴れ始める。謎の恐怖に錯乱した男は、密かに乗り込んでいた連邦航空保安局員によってすぐさま取り押さえられるが、他の乗客たちも続けて、この世のものとは思えない現象に遭遇。さらには、全ての元凶である女の“幽霊”が、大胆不敵にも乗客全員の目の前に現れたので、機内は混乱を極めることとなる。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

キャビンアテンダントのアリスは事態の収拾を図るべく乗客たちと協力し、怪奇現象を起こす“幽霊”について調べていくが……というのが本作の概要だ。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

日本ではアサイラム作品というと、サメ映画に代表されるトンデモパニック路線か、あるいは話題の大作に便乗したB級アクション路線の作品が目立ちがちなため、もしかするとこの手の作品には新鮮な印象を受ける方が多いかもしれない。実際のアサイラムは昔から、一応、サスペンス・スリラーから青春ラブ・コメディまで幅広いジャンルの作品を取り扱ってきた映画製作会社ではあるのだが、とにかく今回は“航空オカルト・ホラー”である。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

せっかくのシチュエーションを活用しきれない低予算ぶりに目を細める

というわけでこの『エアポート2018』、全体的な出来具合としては……コテコテの低予算ホラーという感想だ。開幕の“なんか窓の外から凄い顔で威嚇してくる幽霊”に始まって、“突然ウジを吐き出す乗客”や、“邪悪っぽさを前面に押し出した自己主張の激しいメイクで襲ってくる幽霊”…など、この類のジャンルが好きな方には、一種の見所として立ち上がってくる要素が目白押しである。題材と予算ゆえに少な過ぎるセットの数も、まだまだ笑って済ませられる部分ではあるだろう。決して「怖い」とは言い難いが、雰囲気もまあそれなりに出ているので、内容に対して別段否定的な感情は抱いていない。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

惜しむらくは“航空”という要素が、中盤の“ちょっと飛行機墜落の危機”のくだりと、終盤の“ちょっと飛行機墜落の危機”のくだりでしか、大して目立っていないことだろうか。前提として、それほど金を掛けているようには見えない作品ではあるため難しい注文かもしれないが、中盤のようなオカルト要素とフライト・パニック要素を組み合わせた派手な展開が、もう少し多いと私は嬉しかった。せっかくの“旅客機内”という美味しい舞台が、作劇的に結局“ただの部屋”と大差ないのでは勿体ない気がしたのだ。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

とはいえ、総評としては「観られる」作品だとは思う。エアポート・シリーズの中では異色な立ち位置にある本作、他のタイトルと併せてぜひ一度鑑賞して頂きたい。

『エアポート2018』©2018 SLIGHTLY DISTORTED PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

最後に、アサイラムは本作や『エアポート2017』の他に、『エアポート2015』という作品も出している。『エアポート2014』も出ている。『エアポート2012』も出した。その事実の方がよっぽどホラーである。

文:知的風ハット

『エアポート2018』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「アサイラム・アワー」にて2019年9月放送

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『エアポート2018』

NYへ向かうUS57便の眼前に突如、雷雲が出現。そのまま機体は乱気流に飲み込まれるが、手動操縦に切り替え難を逃れる。一同が安堵する中、乗客の1人が急に暴れ出した。連邦航空保安局のタデウスが取り押さえるが、その乗客は飛行機の翼の上に人が立っていたと言う……。

制作年: 2018
監督:
出演: