オダギリジョー初監督作!令和を迎えた今、“本当に人間らしい生き方”を問う『ある船頭の話』 衣装ワダエミ、撮影クリストファー・ドイル

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ライター:BANGER!!! 編集部
オダギリジョー初監督作!令和を迎えた今、“本当に人間らしい生き方”を問う『ある船頭の話』 衣装ワダエミ、撮影クリストファー・ドイル
『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

世界で活躍する俳優オダギリジョーによる初の長編監督作!

間もなく橋をかける工事が完了しそうな山奥の小さな村。川岸にあるボロボロの小屋に住む渡し舟の船頭・トイチ(柄本明)は、呼ばれればいつでも舟を出し、客が来なければ魚釣りや家事をして、貧しいながらも細々と暮らしてきた。物静かで穏やかなトイチは、橋の工事関係者や村民の「橋が完成したら、お前の仕事はなくなるな」という心無い言葉にも無言で笑みを浮かべるだけだが、内心は穏やかではない。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

ある日、トイチは川を流れてきた瀕死の少女を助け看病する。しかし、自分のことは何も話さないワケアリの少女との暮らしが、トイチの人生を大きく変えてゆく……。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

日本はもちろん、海外でも数多くの映画に出演し俳優として幅広く活動しているオダギリジョー。そんな彼が満を持して放つ長編初監督作品は、近代化によって役目を終えつつある渡し舟の船頭を丁寧に描いた、哀愁漂う物語だった。

実力派キャストの名演とクリストファー・ドイルの映像をオダギリ監督が纏め上げる!

俳優として海外でも多くの映画出演経験を持つオダギリジョーは、かねてより日本を含めアジア各地の農村やスラムの人々の生活に思いを寄せてきたという。「映画化したい」という気持ちをあえて封印してきた彼が監督業に乗り出す決意を固めたのは、かねてから親交の深い撮影監督クリストファー・ドイルの「お前が監督をするなら、俺がカメラをやる」という言葉だったそうだ。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

渡し舟には日々様々な人が乗り、それぞれにドラマがある。往診の医師、横柄な役人、行商に来た商人、芸妓…。船頭は彼らの人生に無言で寄り添う。船頭・トイチ役の柄本明が、浅野忠信、蒼井優、村上淳、草笛光子ら幅広い年代の豪華俳優と交わす会話劇はとても自然で、その演技力に唸らされた。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

夜の川面の不穏さ、早朝の澄んだ空気、月明かりで食べる食事風景など、ドイルの撮影による川べりの質素な暮らしの様子や河川の美しさも印象に残る。そしてオダギリジョーの、一流スタッフたちの魅力を引き出しまとめあげる手腕は、初監督作とは思えないほど見事だ。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

衣装のワダエミ、音楽のティグラン・ハマシアンが映画に深みを与える

日本を代表す衣装デザイナー、ワダエミは、川島鈴遥が演じる少女に日本の貧しい農民の着物ではなく異国風の赤い着物を選び、この世界に異変をもたらす象徴として描くことに寄与している。オダギリが脚本執筆時に聴いていたというアルメニア出身のジャズ・ピアニスト、ティグラン・ハマシアンが担当した音楽も、まるで川面を流れるように流麗で映像に深みを与えた。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

本作は、俳優オダギリジョーの軽妙でウィットに富んだイメージとは真逆の、骨太でダークな映画に仕上がっている。厳しい自然、貧しい暮らし、現代の社会問題までもはらんだ極上の人間ドラマに、アーティスティックで思慮深い彼の真価を見た思いだ。彼のファンはもちろん、洋邦問わず映画好きにこそおすすめしたい作品が誕生した。

『ある船頭の話』© 2019「ある船頭の話」製作委員会

『ある船頭の話』は2019年9月13日(金)より公開。

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『ある船頭の話』

近代化で橋の建設が進む川辺の村。川岸の小屋に住み船頭を続けるトイチは、村人たちが橋の完成を心待ちにする中、それでも黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんな折、トイチの前に謎めいた少女が現れ、トイチの人生は大きく変わり始める……。

制作年: 2019
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