映画『蝋人形の館』の魅力
唐突だが、『蝋人形の館』のことはご存知だろうか。――デーモン閣下率いる「聖飢魔II」の名曲のほうではない。ジャウマ・コレット=セラ監督が手がけた2005年のホラー映画のほうだ。もしまだ観ていないのであれば、ホラー映画ファンには今すぐ鑑賞をおすすめする。
大学フットボールの試合を観に行くため、長距離ドライブ中の6人の若者たち。だが車が故障し、立ち寄った町は異様なほど静まり返っていた。そこで場違いなほど立派な蝋人形館を見つけた彼らは、好奇心に任せて扉を開けるが……それは命懸けの闘いの始まりだった!
『蝋人形の館』© Warner Bros. Entertainment Inc.
Y2K青春ホラーのカルトな傑作
いわゆる“知られざる名作”枠に入る作品だが、1930年代と1950年代に映画化された『肉の蝋人形』のリブート(一応)。製作費は4000万ドル、製作はロバート・ゼメキスとジョエル・シルバーで、低予算のB級ホラーというわけではない。本国での公開初週がコケ気味だったために失敗作の烙印を押され、実際メディアでは酷評が多かったが、のちにカルト的な人気を得ることになった。ぶっ飛んだ名作はすぐには評価されないのだ。
『蝋人形の館』© Warner Bros. Entertainment Inc.
猟奇的で狂っていて、スケールが大きくて、いちいち予想を上回るコッテリ展開の連続。しかし、セレブタレントのパリス・ヒルトンや『スーパーナチュラル』(2005年)でブレイクするジャレッド・パダレッキが出演しているので、(エグいシーンだけ目を瞑れば)Y2Kティーンムービーとして観てもOK。なにしろ当時MTVでメイキング番組が放送されたくらいなので、たとえば1998年の名作ティーンホラー『パラサイト』が好きならば同様に楽しめるだろう。
『蝋人形の館』© Warner Bros. Entertainment Inc.
選曲もスラッシャー展開も結末も最高
映画は不穏すぎるオープニングから始まり、それに続く空撮映像に被さるのがデフトーンズの「Minerva」という最高オブ最高の選曲。フザケあったり文句を言い合ったりしているヤンチャな若者たちが、車の修理のために立ち寄った田舎街で<HOUSE OF WAX(蝋人形の館)>を発見。お察しのとおり、そこであまりにも悪趣味かつ非道な事態に巻き込まれ……という、いわゆる『悪魔のいけにえ』的シチュエーションには安心感すら覚える。
『蝋人形の館』© Warner Bros. Entertainment Inc.
ちなみにその過程で描かれるゴアシーンが非常にエグいので、身体破壊描写が苦手な人は要注意。蝋人形マシンのえげつなさや、加害者側の壮絶な背景をチラ見せしたりと、とにかく不気味なディテールに寒気が止まらない。“蝋人形”設定を最大限活かした壮大なクライマックスまでビタイチ飽きさせず、最後の最後にネットリ嫌~な予感を漂わせて終わるところまで秀逸だ。
『蝋人形の館』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2026年7月放送