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ロシア版X-MEN『ガーディアンズ』総製作費3億ルーブル!……っていくら!? 重火器が武器のクマチャンが最高だぞ!スパシーバ!

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ライター:#BANGER!!! 編集部
ロシア版X-MEN『ガーディアンズ』総製作費3億ルーブル!……っていくら!? 重火器が武器のクマチャンが最高だぞ!スパシーバ!
『ガーディアンズ』© 2017, Enjoy Movies LLC

ロシア産SFアクション映画の底力を見よ

ロシア(ソ連)映画といえば、不朽の名作『戦艦ポチョムキン』(1925年)から、傑作SF『惑星ソラリス』(1972年)、変わりダネでは『不思議惑星キン・ザ・ザ』(1986年)なんて作品もあったが、どれも映画史に残る逸品ばかり。しかし、近年のロシア映画だって負けてはいない。絶好調の米アメコミ映画の要素をまんま拝借……もとい、真っ向から勝負を挑んだ『ガーディアンズ』(2017年)を観れば、ロシア産SFアクションの進化に驚かされるはずだ。

『ガーディアンズ』
Blu-ray:4,800円+税/DVD:3,800円+税
発売・販売元:ギャガ

この『ガーディアンズ』、公開時には「総製作費3億ルーブル! 謎多き大国ロシアが放つSF超大作」という、色んな意味で豪快なキャッチコピーにニヤリとされられた。3億ルーブルを聞くとなんだかスゴそうだが、日本円にすると5億円弱(2019年9月現在)らしいので、当然ながらハリウッド産アメコミ映画なんかの足元にも及ばない。しかし、重要なのは予算ではなく一発カマしてやろうという“志”である。

『ガーディアンズ』© 2017, Enjoy Movies LLC

ということで気になるストーリーだが、冷戦下のソ連で行われた<パトリオット計画>のムチャな遺伝子操作によって生み出された超人部隊の兵士、アルスス、ハン、レア、クセニアが物語の主人公。その計画は悪の科学者クラトフによってメチャクチャにされ、超人たちも散り散りになってしまっていた。そして50年後、自ら特殊能力を持つ超人となった科学者クラトフがロシアを崩壊せんと現場復帰したため、国家の危機を防ぐべく超人たちが再び招集される……というのが大筋だ。

『ガーディアンズ』© 2017, Enjoy Movies LLC

ちなみに超人たちを招集するのは、『ロッキー4』(1985年)でブリジット・ニールセンが演じたドラゴの奥さんを優しくしたみたいな女性軍人。このへんは全く進歩していないというか、自国の人間が作ってもそうなるのかよ! というツッコミが聞こえてきそう。

イケメンが半熊化……からの全熊化!? 重火器を背負った熊が可愛すぎる!!

正直言って手垢が付きまくったプロットではあるが、ある一定の世代の皆さんにとっては“旧ソ連の科学者”なんて、条件反射的に興味をそそられる設定だろう。さすがに不死身の魔術師とか冷酷な独裁者とかは出てこないものの、かつてエグめの実験の被験者となったうえに50年間もくすぶっていた超人たち=ガーディアンズが祖国を救うため、そして己のアイデンティティを取り戻すために悪の科学者と戦う……という展開は、思わず拳を握らずにはいられないアツさだ。

『ガーディアンズ』© 2017, Enjoy Movies LLC

しかし、あまり熱量を込めて観ると、予想以上に幼稚さに爆笑してしまうので要注意。まずガーディアンズの面々だが、超音速移動+斬撃のハンは能力描写こそ猛烈にカッコいいが見た目はまんまウィンター・ソルジャー(『キャプテン・アメリカ』ほか)だし、岩などの鉱物を念動力で操るレアはできれば敵側にいてほしいルックスだし、紅一点のクセニアは擬態能力と格闘術(気温も感じないらしい)という地味なスキルの持ち主である。そしてなんといっても大本命は、シンプルに熊化するだけの男、アルススだ。

アルススは、80年代に人気を博したゲーム「獣王記」を彷彿とさせる“半熊化”が特徴で、もちろんパワーは強いがメイン武器が重火器という残念さ。しかも変身には第2段階があって、どんなに手のつけられない野獣になるのかとワクワクしていたら、なんと全身が熊化! つまり本当にただの熊になるだけという、もはやそれは退化なんじゃないかという謎変身には開いた口が塞がらない。毛皮のモフ感の表現はなかなかだが、アクション映画として頑張るところはそこじゃないだろう。

いっぽう敵のボスであるクラトフは、DCコミックスの悪役ベインが『エリジウム』(2013年)の強化スーツを着て、マーベルコミックの悪役ウィップラッシュの武器を持ったみたいな、過剰に強そう&悪そうな雰囲気。後頭部から直接チューブ出てるし、お風呂入るときどうするんだろう……と余計な心配をしてしまうルックスなのだが、そんな物騒なおっさんが熊化したアルススをぶん殴るのものだから、ものすごい腕力のあるおっさんが熊をイジメているようにしか見えなくて、逆にほっこりさせられる。

『ガーディアンズ』© 2017, Enjoy Movies LLC

見どころは……やっぱりクマチャン! スパシーバな気持ちで観れば問題なし

散り散りになっていた超人たちが招集される展開も妙にあっさりしていてケレン味がなく、各々のバックボーンも描かれないので感情移入するのは難しいだろう。超音速なのに麻酔銃で撃たれたり、投網で捕まったり、超人たちの能力もなんだか頼りない。ピンチに陥いった主人公たちの前に、かつて実験に関わった老教授が登場! という教科書どおりの展開は親切だが、そもそも脚本がボッコボコなので、しっかり観ていないとお話が分からなくなるという謎現象が起こっていて逆に興味深い。

『ガーディアンズ』© 2017, Enjoy Movies LLC

89分という驚異のスッキリ上映時間ということもあってか、原理はよくわからないけどとにかく力を合わせてドーン! みたいな強引な必殺技で〆るラストも、スパシーバな心で観れば微笑みが止まらないはず。そしてなによりも、熊化したアルススには誰もが「クマチャン……!」みたいな気持ちになること間違いなしなので、動物好きも必見だ。ダスヴィダーニャ!!

『ガーディアンズ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2019年9月放送。

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『ガーディアンズ』

冷戦下のソヴィエト。違法な遺伝子操作を行う“パトリオット計画”によって、超人部隊が生み出されようとしていた。だが、名声を我がものとしようとする組織の科学者クラトフの裏切りにより、研究所は爆破され、超人たちも姿を消してしまう。そして50年後、自らも強大な力を持つ超人となったクラトフがロシアを崩壊させようとした時、アルスス、レア、ハン、クセニアら4人の超人が招集された。彼らは失ったアイデンティティを取り戻すため、クラトフを倒すことを決意する。結成されたチームの名は“ガーディアンズ”。彼らこそ、最後の希望―。

制作年: 2017
監督:
出演: