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「愛が変貌して、虐待に変わっていく」新たな恐怖映画『遺愛』生み出した〈ホラー界の鬼才たち〉の創作秘話

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「愛が変貌して、虐待に変わっていく」新たな恐怖映画『遺愛』生み出した〈ホラー界の鬼才たち〉の創作秘話
©︎2026「遺愛」製作委員会

映画『遺愛』を創った二人の鬼才

黒沢清や清水崇らホラー界の巨匠も認めた鬼才・酒井善三監督と、斬新な恐怖モキュメンタリー番組「このテープもってないですか?」を仕掛けたテレビ東京の大森時生(企画プロデュース)がタッグを組み、主演に山下リオを迎えた映画『遺愛』が6月19日(金)より全国公開を迎える。

ホラー映画の鉄板テーマである<呪い>を新たな視点、かつ斬新な解釈で描いた“恐怖”映画として、すでにロッテルダム国際映画祭をはじめ各国の映画祭で高い評価を得ている本作。ここでは待望の日本公開を記念し、ホラー界の最前線を走る酒井監督と大森プロデューサーの<創作の裏側>に迫ってみよう。

©︎2026「遺愛」製作委員会

「親子の愛」という名の“呪縛”……
ある凄惨な事件のルポが物語の着想源に

本作の物語は単なるフィクションの枠に留まらない。その原点にあるのは、ある凄惨な教育虐待事件のルポルタージュだ。

企画プロデュースを手掛けた大森は、本作のテーマを見出した瞬間について「医学部受験を母親が娘に10回ぐらいさせて、その結果、娘が母親を殺して“モンスターを殺した”とツイートした事件のルポを読んで。不自由ない人生を送ってほしいという愛からスタートしたはずなのに、その愛が変貌して虐待に変わっていく。これは物語としてすごい話だなと思ったんです」と、作品の原点を明かす。

©︎2026「遺愛」製作委員会

劇中で描かれる「母」と「娘」の関係性。それは一見、献身的な介護の光景に見えるが、その深層には「遺された愛」という名の執着が潜んでいた。愛が強ければ強いほど、それは逃れられない呪縛になるのではないか――。二人が対話を通じて辿り着いたその問いが、本作に息の詰まるような不気味さを与えている。

あえて“仕掛け”を捨てた、映画への純粋な挑戦
大森「“騙し討ち”のような手法ではない方がいい」

人間の深層に潜む強烈な執着を描く本作だからこそ、二人が本作において選択したのは、それまで大きな武器となっていた“SNSでのバズやテレビ的な仕掛け”をすべて脱ぎ捨てることだった。

テレビ人として数々の仕掛けで話題をさらってきた大森は、本作において自身のプロデュースの在り方を問い直し、「最初の頃は“死んでもバズりたい”と思っていたところも正直ありました(笑)。でも、酒井監督と作るなら、そういう“騙し討ち”のような手法ではない方がいいなと思っていて。はっきり言えば、“真っ直ぐな映画である”というところが、僕にとって最大の挑戦でした」と、自身の心境の変化を振り返る。

©︎2026「遺愛」製作委員会

酒井監督「映画というものを、個性を見せるための道具にしたくない」

そんな大森の決意に応えるように、酒井監督も独自の確固たるこだわりを持って制作に臨んだ。昨今の「作家性」を強調するような映画制作の在り方に鋭い違和感を覚えるという酒井監督は、「“◯◯をしない”をアイデンティティにするような作品、映画というものを個性を見せるための道具にしたくないんです」と断言し、監督の存在が見えるような映画になる要因を徹底して排除した。

©︎2026「遺愛」製作委員会

そのこだわりは俳優への演出にも及び、母親役の藤井京子に対しても「ただ見るだけでいいです」と伝えるなど、なるべく演技をしないニュートラルな状態を要求したという。特定のメソッドや騙し討ちのような仕掛けに頼ることなく、純粋なる映画としての強度を突き詰めた先にあるものとは何か――。演出さえも削ぎ落とした先で二人が辿り着いた新時代の恐怖映画の幕開けを、本作は冷徹に描き出している。

『遺愛』は6月19日(金)より全国公開

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『遺愛』

実家で母の介護を続けていた藤井佳奈(山下リオ)が、ある日、妹・杏里(小川あん)のもとを訪ねてくる。
佳奈は血色が悪くやつれた様子で、自分たちの母が“もう母ではない、何かになってしまった”ことを告げる。

父の死を機に実家に戻り、献身的に母の介護を続けていた佳奈。
だが彼女は、話しかけてもほとんど無反応で、食べ物をこぼし、部屋を散らかし、
ときに突然噛みついてくる母に対して次第に苛立ちを募らせ、疲弊していく。

そんななか、佳奈の周囲で不幸な出来事が立て続けに起こり、
彼女はその原因が母――今はもう母ではない“何か”――による呪いだと考えるようになる。
そしてその呪いの次の標的は、一家と懇意の精神科医・熊谷(マキタスポーツ)、さらに次は勇太の番なのだと。

果たして、佳奈が言うように本当に呪いが存在し、家族に危険が迫っているのか。
それとも、介護に疲れ心身ともに限界に達した彼女が生み出した偽りの真実なのか。
佳奈と共に母の暮らす実家へと向かった杏里は、そこで驚くべき光景を目にする。

監督:酒井善三
企画プロデュース:大森時生(テレビ東京)
出演:山下リオ
   小川あん 藤井京子 / マキタスポーツ

制作年: 2026