「10代で世界デビュー」の新人監督・西山将貴って何者?初長編『インビジブルハーフ』が“逆輸入”日本公開
ミックスルーツを持つ女子高生を主人公に、「1999展」の共同企画や西野七瀬らが出演した短編映画『インフルエンサーゴースト』(※『GEMNIBUS vol.2』で上映)などで注目を集めた新進気鋭の映画監督・西山将貴による、初の長編映画『インビジブルハーフ』が7月31日(金)より全国順次公開となる。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
気鋭クリエイター集結の話題作『インビジブルハーフ』
本作は、西山監督が学生時代に抱えていた孤独や居場所のなさといった「影」を物語の核として2019年から構想を開始。完成までに6年もの時間をかけて編み出した力作で、監督の長編映画デビュー作となる。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
制作スタッフには学生時代にSNSを通じて知り合って以来全ての作品でタッグを組み、現在はアカデミー賞視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』(2023年)を手がけるVFXスタジオ白組に所属するCao Mojiや、西山作品を初期から支える作曲家の堀本陸。同世代の仲間たちが西山の考える恐怖表現を一体となって形にした。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
さらに『岸辺露伴は動かない』シリーズ(2020年~)で撮影を手がける山本周平や、King Gnu、きゃりーぱみゅぱみゅの特殊メイクを手がけ、<Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024>の「世界を変える30歳未満30人」にも選ばれたアーティスト・快歩といった、若きプロフェッショナルたちも名を連ねる。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
圧倒的な音響とVFXが生み出す没入体験による恐怖。少女たちの友情を通して描かれる、同調圧力、ルッキズム、自己肯定感という青春の痛み。――これは正体不明の“怪物”の物語でありながら、誰もが心のどこかで知っている青春の記憶でもある。スマホに触れたらもう逃げられない、新感覚“スクリーンタイム・ホラー“の誕生だ。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
ということで、そんな『インビジブルハーフ』の概要と併せて、西山監督のキャリアを今こそ深堀り。“才能と行動力”を持つ人間がそれらをフル稼働させると奇跡的なことが多発するという、当たり前のようだが誰もが真似することはできない偉業を成し遂げた<映画監督・西山将貴>を、ぜひ今のうちにチェックしておこう。
撮影メイキング:『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
映画を撮るため10代で単身世界へ
~“野宿“も辞さない驚きのロンドン武者修行~
中学・高校時代は年間約150本を劇場で見ていたという映画少年、西山の初めての自主制作はなんと14歳。音楽プレイヤーについている、おまけのようなカメラで必死にMVを撮っていたという。そして高校時代に撮影したSF短編『The Flap of the Butterfly’s Wings』が世界4か国・10の映画祭に出品され、複数の賞を受賞。高校卒業後は、なんのつても援助もないまま「1本映画を撮るまで帰らない」と決めて、単身渡英した。
遠くロンドンの地で泊まるところもなく野宿までしたという西山は、海外の映画募集サイトに登録し、撮影やプロデュースに興味を持つ人たちへ100件ほどメールを送った。その中で現地プロデューサーとつながり、「日本から挑戦しに来た若者を応援したい」と協力を得ることに成功。キャスティングも自ら行い、俳優へ直接メールを送り、現地で会って出演交渉を重ねていく。
そうした挑戦の末、全編英語・現地キャストによる短編映画『The Eternal Moment』が完成。西山は当時の経験を、「外国の文化であったりとか、そこの人たちのパッションというか、そういったものに触れてすごく感銘を受けた」と語る。
その甲斐あって、2021年にはスマートフォン視聴向けに設計された縦型ホラー短編『スマホラー!』(主演:鳴海唯)がコロナ禍において国内外で広く注目を集め、<ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2021>のバーティカルシアター部門で最優秀作品賞。<第25回ロサンゼルス国際短編映画祭>のホラー部門では同映画祭史上初の縦型映画としてノミネートされた。
そんな西山の初長編作である本作『インビジブルハーフ』は、彼が英国滞在中にずっと憧れていたロンドンで開催される<第33回レインダンス映画祭>で「最優秀国際長編映画賞」、「デビュー長編作品 最優秀演技賞」にノミネートされ、その後も世界各国の映画祭で高い評価を獲得する。
また、日本での配給決定に先駆けてアメリカの海外セールス会社との契約も成立。すでにヨーロッパ複数国での公開も決定しており、ある意味“逆輸入”の形でこのたび日本公開が決定した。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
初の長編で全編「愛媛ロケ」敢行の理由
~地元の人々を巻き込む圧倒的な映画愛と地元愛~
本作は西山の故郷、愛媛で全編撮影された。西山はシナリオを書いている時点で、すべてシーンに愛媛をイメージして書いていたという。「初めての長編だったので、自分が一番よく知っている場所で勝負しないといけないと思いました」と語る西山は、「自分が育った中で感じていたことも、この物語にそのままつながっていますし、田舎だからこその空気感は実体験としてあったので、愛媛で撮らないと説得力が出ないと思いました」と故郷への想いを明かしている。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
撮影は、愛媛県知事への表敬訪問をはじめ、愛媛県と松山市、地元の企業、学校、そして市民ひとりひとりの暖かい協力を得て進んでいった。取り壊される予定だった家屋を使っての撮影や、地元の人々が温かい食事を差し入れてくれることもあったそう。さらに、メインのロケ地となった高校は実際に使用されている現役の学校であるにも関わらず、教諭たちも「この作品の力になれるなら」と前向きに協力し、生徒たちもエキストラとして参加した。
撮影メイキング:『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
また入学式を翌日に控え、全カットを撮り終えねばならない切迫した状況で撮影が押してしまったこともあったが、警備担当者が西山のことを新聞記事で見て知っており、特別に残らせてもらえたこともあった。そうしたエピソードについても、西山は「愛媛のサポートが本当に手厚くて助けられた」と振り返っている。
撮影メイキング:『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
地元・愛媛の風景や記憶、人の温度までを作品へ落とし込む西山。その土地への深い理解と他者への真摯な姿勢があったからこそ、多くの人々が魅了され、彼の挑戦を後押ししたのかもしれない。
『インビジブルハーフ』© 2025 Test 8 Pictures All Rights Reserved.
ニューホラーの火付け役
~日本をざわつかせた「1999展」の仕掛人~
2025年、西山は小説家の背筋(『近畿地方のある場所について』ほか)と、脚本家・佐藤直子(『SIREN』シリーズほか)と共に、ホラークリエイターユニット<バミューダ3>を結成。SNS時代の新しいホラーブームが流行する中、“存在しない記憶”をテーマに、平成末期の空気感やネット怪談文化を想起させるホラー体験型展覧会「1999展 -存在しないあの日の記憶-」を共同企画。
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同企画は、考察させる演出や懐かしくも不気味な雰囲気が話題を呼び、SNSを中心に瞬く間に拡散され、10万人以上を動員。この中で西山は、背筋による“どんどん上へ落ちていき、どんどん下へ昇っていく”という摩訶不思議な文章からインスパイアされた映像を制作するなど、映像部門を担った。さらに5月にはアートブックを発売し、7月に大阪展の開催も決定している。
行動力の塊であるだけでなく、全方位に熱意と活気を共有しながら突き進む西山将貴監督の長編デビュー作『インビジブルハーフ』は、7月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開(※愛媛先行公開中/配給:ギークピクチュアズ)
『インビジブルハーフ』
ミックスルーツを持つ高校生・エレナ。見た目や名前で「外国人」扱いされ、転校先のクラスにも馴染めずにいた。そんな彼女の前に、ある日突然現れたのは――“スマホに触れている時だけ見える透明な怪物”。唯一エレナを信じてくれたアカリとともに、正体不明の恐怖に立ち向かうが…。
監督・脚本・編集:西山将貴
出演:シエラ璃砂、奥野みゆ、平澤瑠菜 ほか
| 制作年: | 2025 |
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2026年7月31日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開