映画史上もっとも斬新な武器“鉄刃の傘”! チャン・イーモウ監督のブッ飛び武侠アクション『SHADOW/影武者』

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ライター:BANGER!!! 編集部
映画史上もっとも斬新な武器“鉄刃の傘”! チャン・イーモウ監督のブッ飛び武侠アクション『SHADOW/影武者』
『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

 

水墨画をイメージした静謐な世界感と武侠アクションの組み合わせが秀逸!

万里の長城を舞台にマット・デイモンやウィレム・デフォーとアンディ・ラウらが絡むという夢みたいなお話を、なんだか「三國無双」みたいなギンギラしたビジュアルで映画化した『グレートウォール』(2016年)も記憶に新しいチャン・イーモウ監督が、「本当に撮りたかった映画」と切望したという武侠アクション『SHADOW/影武者』が2016年9月6日(金)から公開された。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

本作は全体的にかなり特殊なビジュアルのせいもあって、パッと見では大昔の中国を舞台にしていることくらいしかわからないのだが、どうやら三国志の“荊州争奪戦”をモチーフにしているらしい。荊州争奪戦とは、映画『レッドクリフ』2作(2008年~)で描かれた“赤壁の戦い”の後に、劉備(蜀)と孫権(呉)の間で勃発した戦いのひとつ。諸葛亮の(ちょっとズルい)計略により、蜀にとって戦略上重要なエリアとなる荊州をゲットするまでのお話で、三国志屈指の人気キャラである周瑜や趙雲(と地味シブな魯粛)などが活躍する有名なエピソードだ。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

しかし、よっぽどの三国志マニアでもないかぎり、『SHADOW/影武者』から荊州争奪戦のエキスを感じ取るのは難しいだろう。というか三国志っぽい要素すらほとんど感じられないはず。なにしろ、水墨画を意識したという映像はとにかく真っ灰色で、他には髪の毛の黒と肌着の白、肌の色くらいで、本っ当に墨汁で染めたような世界なのだ。しかも雨のシーンが印象的に描かれていて、まるで水墨画の淡い濃淡を表現しているかのよう。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

十徳ナイフみたいに万能かつクールな武器「鉄刃の傘」のアイデアが出た時点で勝ち!

そんな本作の主人公は、沛(ペイ)国の都督(軍事を司る官職)と、その影武者(都督にクリソツ)。沛王は自国の弱小ぶりを憂いて隣国の炎と休戦中だが、イケイケの武闘派で国民からの信頼も厚い都督は、勝手に炎の猛将・楊蒼にタイマンを申し込む。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

お察しの通り、本物の都督は病を患っており、敵国に戦いを挑んだのは影武者のほう。そんなこととは知らずに渋々バトルにGOサインを出した王だったが、彼には彼で密かな狙いがあるようで……。そこに都督の妻・小艾や王の妹・青萍、忠実な家臣・田戦らを巻き込み、事態はのっぴきならない状況に発展していく。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

本作で一人二役を演じたダン・チャオは、影武者役のためにマッスルボディを作り上げた後、都督役のためにマイナス20キロの超減量に挑んだというから驚き。そんな肉体改造の甲斐あって、果たしてそこまで頑張る意味があったのか? と思うほどの別人ぶりを披露している。とはいえ本作の白眉は、予告編でも劇場をザワつかせたケレン味たっぷりの“鉄刃の傘”だ。

鉄刃の傘は武器の枠を超えた万能ツールなのだが、そのブッ飛んだアイデアは『バーフバリ』シリーズ(2015年~)かと見紛うレベル。攻めに受けに(高速移動も!)と非常に万能な鉄刃の傘の武器としての存在感と、多彩な機能は間違いなく本作のハイライトなのでお楽しみに。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

水墨の世界に流れる鮮血! まるで書を嗜むかのような流麗なアクションは必見

兵士たちの鎧は聖闘士星矢みたいなデコりっぷりなのだが、案の定その色味は『グレートウォール』の鎧の塗料を剥いだみたいな地味さ。岩場で遭難でもしたら誰にも見つけてもらえないくらい、見事に背景と同じ色味である。とはいえ、まるで書道を嗜んでいるかのような戦闘シーンは、古琴や洞簫らしき古代中国の楽器による音楽と相まって息を呑む美しさ。中盤まで派手な展開はぐっと我慢し、その後の超絶鉄刃の傘アクションのカタルシスに全てをぶつける演出も見事だ。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

悲劇の主人公と翻弄される妻、ゲスな暴君にお転婆な姫、武闘派の側近……正直お話の方はベッタベタなのだが、武侠アクションに奇天烈な展開を持ち込むとハチャメチャになりすぎるので、これくらいがベターだろう。文字通り命をかけた戦いは手に汗握る緊張感だし、斬られたり突かれたりする“痛み”の描写がしつこくて、水墨の世界に流れる鮮血はなんだかとても生々しい。せっかくだから極彩色バージョンも観てみたいな……なんて思わせる、斬新かつ武侠アクションの様式美にあふれた作品だった。

『SHADOW/影武者』©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

『SHADOW/影武者』は2019年9月6日(金)より公開

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『SHADOW/影武者』

時は戦国時代、ある影武者が暮らす沛(ペイ)国が、領土を強大な炎国に奪われて20年。彼は、奪還を願う男たちの燃え上がる闘志を束ねる、頭脳明晰で武芸の達人の重臣・都督(トトク)の影武者だ。影武者と都督、そしてその妻に騙されている若き王は、炎国と休戦同盟を結び、平和だが屈辱的な日々に甘んじていた。だが、影武者は都督の命令に従い、炎国の将軍にして最強の戦士・楊蒼(ヤン・ツァン)に対決を申し込む。都督の勝手な行動に怒り狂う王も、実はある作戦を秘めていた。果たして、影武者を待つのは光か闇か、それとも──?

制作年: 2018
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