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素顔を隠された、少女たちの情熱があふれ出す…『ヴィヴァルディと私』 屋外“仮面”演奏シーン

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ライター:#BANGER!!! 編集部
素顔を隠された、少女たちの情熱があふれ出す…『ヴィヴァルディと私』 屋外“仮面”演奏シーン
『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

18世紀初頭、ヴェネツィアに実在したピエタ院にヴァイオリン教師として赴任したアントニオ・ヴィヴァルディと、一人の孤児がヴァイオリンの才能を開花させていく成長を描く師と愛弟子の物語『ヴィヴァルディと私』が、5月22日(金)よりシネスイッチ銀座、ユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

このたび、美しくも厳しい現実を描き出した「屋外仮面演奏シーン」の本編映像が解禁となった。

『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

あなたは、人生を教えてくれた――
『ヴィヴァルディと私』5月22日(金)公開

1716年、ヴェネツィアのピエタ院。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリア(テクラ・インソリア)は、母の姿も愛情も知らずにこの院で育ち、毎晩こっそりベッドから抜け出してはろうそくの灯りで、宛名のない母への手紙を綴っていた。院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされ結婚するかしかなかった。

そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディ(ミケーレ・リオンディーノ)がヴァイオリン教師として赴任すると、卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命する。ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか二人は心を通わせるようになる。そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻り、結婚が迫ったある日、事件が起こる……。

『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

音楽に情熱を捧げ、希望を切り開いていく師と愛弟子の物語

名手として有名だった父に幼少期からヴァイオリンを学んでいたヴィヴァルディは25歳で司祭となるが、ソナタ集などを出版し、音楽家としての道を歩んでいた。同年、ピエタ院のヴァイオリン教師に任命され、少女たちに音楽を教え始めると、彼女たちの演奏は輝き、世界最高のオーケストラと賞され、ヨーロッパ各地の貴族や知識人たちを魅了していった。そして、ヴィヴァルディはピエタ院で奉職中、彼の代表作となる「四季」やオラトリオ「勝利のユディータ」を生み出すことになる。

『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

監督は、オペラ演出家として世界に名を馳せ、ミラノ・コルティナ冬季五輪開・閉会式でクリエイティブ・ディレクターを務めたイタリアを代表する奇才ダミアーノ・ミキエレット。本作が長編映画監督デビューとなる。チェチリアを演じるのはTVシリーズ『The Art of Joy(原題)』で主役を演じ、イタリアのアカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演女優賞と新人賞を受賞した、いま最も注目を集める女優テクラ・インソリア。教え子の才能に嫉妬するも彼女を応援するアントニオ・ヴィヴァルディ役には、TVドラマ『ヤング・モンタルバーノ』シリーズで国民的人気を博し、映画のみならず舞台でも活躍する実力派俳優ミケーレ・リオンディーノが務める。

あわせて、本作は「イタリア映画祭2026」での上映が決定。また、原作書籍も映画タイトルにあわせた形での改題新装版が5月14日より発売中。

『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

現在のピエタ院はどうなっている?

かつてピエタ院があった場所は、現在「ピエタ教会」として知られ、ヴェネツィアの重要な文化的拠点となっている。ティエポロのフレスコ画が彩る壮麗な空間では、その優れた音響を活かしてヴィヴァルディ作品のコンサートが今も定期的に開催されており、旧敷地の一部は現在ホテル・メトロポールとして、「赤ちゃんポスト」の跡を今に伝えている。一方で、後方の施設では、母子への福祉や養育支援が現在も続けられており、その精神はかたちを変えながら受け継がれている。

『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

美しいヴェネツィアの風景、孤児たちの厳しい現実…
幻想的な「屋外仮面演奏シーン」本編映像

このたび解禁されたのは、ヴェネツィアの空の下、仮面とマントに身を包んだ少女たちが演奏を行う「屋外仮面演奏」のシーン。顔を隠したまま音楽を奏でるその姿は、幻想的でありながら、当時の社会が彼女たちに課した厳しい制約を象徴している。

18世紀のヴェネツィアにおいて、ピエタ院の少女たちは孤児や捨て子という境遇にあり、公の場で素顔を晒すことは許されていなかった。演奏時に仮面をつけるという慣習は、彼女たちの匿名性を守るためであると同時に、「評判」や「規則」といった社会的な束縛の中で生きる彼女たちの現実を映し出している。

だからこそ、この屋外での演奏は、彼女たちにとってつかの間の解放の瞬間でもあった。自然の光と風の中で音楽に身を委ねることで、チェチリアの内に秘めた感情もまた、静かにほどけていく。しかし、その一方でヴィヴァルディだけが、どこか浮かない表情を見せる。その理由とは……?

『ヴィヴァルディと私』 ©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

ヴィヴァルディの心振るわす音楽を生み出した、特異な環境

美しいヴェネツィアの風景とともに描かれる本シーンは、音楽がもたらす自由と、そこに潜む葛藤の両方を感じさせる印象的な場面となっている。

監督のダミアーノ・ミキエレットは、「チェチリアと若い仲間たちの心の中には、抑圧された爆発寸前の情熱と欲望が潜んでいる」と語る。彼女たちは格子越しにしか見ることのできない外の世界に強い憧れを抱き、その内なる衝動がヴィヴァルディの音楽によって解き放たれ、そして、ヴィヴァルディの心振るわす狂おしく切ない音楽もまた、この状況下だからこそ生まれたものだったのだ。

抑圧と解放のはざまで生まれる音楽の力を描いている本作。ぜひそんな世界観を劇場の大スクリーンと音響で体感してみては。

『ヴィヴァルディと私』は5月22日(金)よりシネスイッチ銀座、ユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

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