マンソンに惨殺されたシャロン・テートを現代に蘇らせたかったのはタランティーノだけじゃなかった!『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
ライター:齋藤敦子
マンソンに惨殺されたシャロン・テートを現代に蘇らせたかったのはタランティーノだけじゃなかった!『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』
『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』©2018 Cielo Tate Island, LLC

 

※この記事は『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』の内容に触れています。閲覧には十分ご注意下さい。

ホラー映画監督ダニエル・ファランズが描く、シャロン・テートの悪夢

2019年8月30日(金)公開のクエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で、シャロン・テートが新たな脚光を浴びている。

1969年8月8日から9日にかけての夜、ロマン・ポランスキー監督夫人であり、当時妊娠8か月だった女優シャロン・テートと友人ら5名が、チャールズ・マンソン率いるカルト集団のメンバー3人に惨殺されたシャロン・テート事件は、世界中を震撼させ、社会的文化的に様々な影響を与えた。あれから50年、若くして世を去ったシャロン・テートを現代に蘇らせようとしたのはタランティーノだけではなかった。

『悪魔の棲む家 REBORN』(2018年)などのホラー映画監督ダニエル・ファランズが、シャロン・テート事件をホラー映画化したのが『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』だ。事件の1年前のインタビューで、シャロンが「自分の人生はすべて運命で定まっている」と語っているところからインスピレーションを得たという。

『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』©2018 Cielo Tate Island, LLC

注意! 本作は実録映画ではなくアレンジを加えたフィクションです

映画の始まりは、5人の遺体が発見された8月9日の朝。そこからすぐ、3日前の8月6日に遡り、ロンドンにロマン・ポランスキーを残して1人で帰国したシャロン・テートが、元恋人で理容師のジェイ・セブリングの運転する車でシエロ・ドライヴ10050番地の自宅に到着する場面になる。

彼女を出迎えるのはアビゲイル・フォルジャーとヴォイテク・フリコウスキー。ポーランド人のヴォイテクはポランスキーの友人で脚本家、アビゲイルは彼の恋人で、コーヒー財閥フォルジャー家の相続人。妊娠中の妻を気遣ってポランスキーが世話を頼んだのだった。

『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』©2018 Cielo Tate Island, LLC

その夜、カ・バラというゲーム盤で未来を占っているところに、怪しい男がやってくる。その男はチャーリーといい、前住人の音楽プロデューサーのテリー・メルチャーにレコード契約を頼みたくて何度も訪ねてくるのだという。庭先に不審な人影を見つけた愛犬サパースティンが飛び出していき、翌日、無残な死体となって発見される。そして運命の8日を迎える……。

断っておくが、この映画はシャロン・テート事件そのものを描いた実録ものではなく、フィクションとしてアレンジされているので、事実と違うところがある。シャロン・テートがロンドンから帰国したのは8月6日ではなく7月20日だし、映画の中で新しい管理人として登場しマンソンの録音テープの謎を解く重要な役割を担うスティーヴン・ペアレントは、実際には事件の夜、友人の管理人を訪ねてきただけだった。

『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』©2018 Cielo Tate Island, LLC

 26歳で未来を絶たれたテートの亡霊が今もハリウッドを漂っているのか……

ファランズ監督のアイデアは、事件を“シャロン・テートの見た悪夢”とすることだった。設定を最後の3日間に限定し、フラッシュバックで描いているのはそのためだ。なので、この映画の中のシャロンは死なない。自分の夢の中なのだから当然だ。

『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』©2018 Cielo Tate Island, LLC

しかし、タランティーノといいファランズといい、シャロン・テートを死なせまいと思う監督が次々に出てくるのは、彼女にそれだけの魅力があったからなのだろうか。それとも事件の猟奇性が好奇心を引きつけるのか。私はポランスキー監督との出会いとなった『吸血鬼』(1967年)を観ただけなので、女優としての魅力については、はっきり言ってよく分からない。だが、26歳の若さで未来を絶たれてしまった彼女の亡霊が、まだハリウッドの空を漂っているのだとしたら、それだけでホラー映画的ではある。

映像や音で驚かす仕掛けがたくさんあるので、できれば音響のいい映画館で見ることをお薦めする。

文:齋藤敦子

『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』は2019年8月30日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

Share On
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』

カルト教団マンソン・ファミリーによる惨殺事件から50年
女優シャロン・テートの最後の日々を描いた衝撃作。

制作年: 2019
監督:
出演:
  • BANGER!!!
  • 映画
  • マンソンに惨殺されたシャロン・テートを現代に蘇らせたかったのはタランティーノだけじゃなかった!『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』