玉袋筋太郎の殿堂入り映画『砂の器』に男泣き! 名曲にのせて、玉袋父子の宿命劇場<オレの器>

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ライター:玉袋筋太郎
玉袋筋太郎の殿堂入り映画『砂の器』に男泣き! 名曲にのせて、玉袋父子の宿命劇場<オレの器>
『砂の器』
Blu-ray:3,300円(税別)
発売元・販売元:松竹株式会社
©1974・2005 松竹株式会社/橋本プロダクション

『砂の器』は殿堂入りで封印!【玉袋筋太郎のゴールデンは~ベスト】

オレの中で一度観たら二度と観なくていい映画というのがあってさ、それは期待したにもかかわらずズッコケたズンドコ作品はもちろんなんだけども、そうではない、あまりにも自分に突き刺さってしまい、感情が揺さぶられすぎる作品に対して「この映画は今後、一生観なくていい。観たら、また感情が揺さぶられすぎてしまう! だから封印しよう」っていう“殿堂入り映画”っていうのがあるんだよ。その殿堂入り映画の一本が、野村芳太郎監督の『砂の器』なんだよね。はい、ここから編集部で、このものすごい名画のキャプションよろしく!

『砂の器』― 原作者・松本清張をして「原作を超えた」と言わしめた、同名小説 監督:野村芳太郎監督、脚本:橋本忍・山田洋次で映画化した社会派サスペンスであり、日本映画界に燦然と輝く傑作。迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負うがために殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描く。

『砂の器』はオレ自身が殿堂入りさせて封印してるんだけども、それ以外にこの映画を観ることは玉袋家全員に止められているんだな。殿堂入りの封印を解いて観てしまったオレに対し、妻なぞは「あんた! この映画観たら、こうして大泣きしすぎるんだから観なきゃいいじゃない!」ってピシャリなんだ。

「わがってっがらよぅ……(大泣きしながら)もぅ、もぅ、『砂の器』は観ねぇったら観ねぇぇ、あぁあぁあああああああ~ぁあああああ~~~ぁあ(本編の本浦千代吉の加藤嘉スタイル)」

ベテラン刑事・丹波哲郎、若手刑事・森田健作、執念の捜査旅が掴んだ真実

国鉄蒲田駅操車場で起きた殺人事件が発生、そこから様々な人間や偶然が“宿命”となって、こんがらがって物語は進んでいく。この映画は前半と後半に“旅”が出てくる。前半は事件の謎を追うギラつく太陽の下、汗をカキカキ殺人事件の手がかり探しの旅をする、丹波哲郎演じる捜査一課の今西英太郎警部と森田健作演じるところの若い蒲田警察署の吉村弘刑事だ。

秋田県羽後亀田駅、先の殺された被害者が殺害前に蒲田のトリスバーで会っていた、犯人と見られる謎の男の会話から「亀田」というキーワードが出てきたというホステスの証言で亀田に向った訳だけども、なにも手がかりを得ることができなかった。帰り車中の食堂車でビールを飲んでいる2人(あれだけ汗かいたんだから、さぞや美味いだろうなぁ……あのビール)が、主人公である加藤剛演じる若き天才ピアニスト和賀英良とすれ違うんだな。

そして殺された三木健一(緒形拳)の息子が現れ、事件は急展開! 丹波哲郎は事件の謎を解くための鍵が秋田県「亀田」と思っていたら島根県出雲地方の「亀嵩」で、また旅に出る。捜査本部は解散したが、丹波とは別行動で森田健作が中央本線で山梨県塩山へ行き独自の捜査をして、事件解明の手かがりを掴んでいく。東京の焼き鳥屋で落ち合った丹波と森田のビールを飲るシーン、普段は険しい表情で事件を追っているんだけども、この焼き鳥屋の座敷での、丹波の緩んだ表情が素敵なんだよなぁ、ってビール飲んでるシーンしか観てねぇのかよオレは。

丹波の旅は続き、殺された三木健一の足取りを尋ねるために三重県伊勢へ。旅から旅で、事件は一つの結論を見出す。殺された三木は出雲で警官を務めていた。誰からも恨まれることなく、人望があった三木がホームレス親子の息子を預かって育てたというのだ。その父のほう、本浦千代吉は当時不治の病と言われたハンセン病に罹り、6歳になる息子・秀夫を連れてお遍路さんスタイルで放浪の旅に出たところ三木と出会い、父は隔離され息子と離れ離れになる。その息子を三木が預かっていた。秀夫は離れた父と逢いたかったのか、身についた放浪癖で三木の元を去ってしまう。しかし三木は本当にできた男だったねぇ。

三木の元を去った秀夫は大阪市浪速区恵美須町の自転車屋の小僧になり、後に和賀英良になっていった。三木はそのことを知り、和賀英良に会いに行き、もはや死んでいると思われていた本浦千代吉との再会を迫ったが、和賀は自分の暗い過去によって、掴みかけている栄光を掴むことができなくなると考えて三木を殺したのだ。

旅をしながら捜査した2人の執念が実り、新曲「宿命」を作り上げ、いざお披露目コンサートが始まる人生の絶頂だった和賀英良に逮捕状を出す。前半の丹波と森田の旅と、後半で振り返る本浦親子の旅。この2つの旅が一つに結びく「宿命」、そして親と子の「宿命」、和賀英良は己の手を汚してでも「宿命」を完成させたのだ。

この映画の見所はやはり、丹波哲郎が和賀を捕まえるために捜査本部でやる“一人喋り”なんだよね。虐げられた親子の旅の風景、その最高の見せ場を抜群にいいものにする、丹波の独擅場。

「砂の器 ~コンプリート・サウンドトラック~ 野村芳太郎の世界」ってCDがあって、そこにこのサントラを作曲した菅野光亮先生の音楽(交響曲「宿命」)と共に、名場面がしっかりと音源として残ってんだわ! 封印している殿堂入りの『砂の器』だから観られないんだけども、このサントラがiTuneに入ってるから、ランダムに再生しているカーステから「宿命」として丹波さんの喋りと本浦千代吉とのやりとりを聞きながら、心臓鷲掴みにされるんだよ。

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気分は

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その親子の「宿命」は是非本編を観てもらうことにして、それでは『砂の器』ではない<オレの器>である「宿命」を、丹波哲郎気分で読んで頂戴!

『砂の器』勝手に玉袋リミックスVer.すなわち<オレの器>

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我に力を!

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「え~本年6月22日(オレの昭和42年の誕生日)に発生しました。国鉄新宿貨物駅(懐かしいね~今のバスタ新宿あたりだよ)構内失踪事件の重要容疑者といたしまして、本籍・東京都台東区フランス座、現住所・東京都所杉並区(ここは個人情報あるんで細かい住所は言えない)の玉袋筋太郎に対して逮捕状を請求いたします」

「では今西くん、本件の容疑者、玉袋筋太郎の犯行容疑を」

「はい、ではまず玉袋筋太郎の身分出生から申し上げます。え~本籍は東京都台東区フランス座・父ビートたけし(師匠)となっていますが、これは彼の創作でありまして、彼はビートたけしの実子ではなく弟子であり、弟子志願当時に手続きをとったに過ぎません。真の出生は本籍東京都新宿区西新宿一丁目、父・赤江正行、母・広子、この2人の間に生まれた彼の本当の名前は赤江祐一、出生は昭和42年6月22日、こうなっております」

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だったかなぁ

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♪「宿命」♪

~情景~

家族で千葉県九十九里浜に海水浴に行ってスイカ割りをしているシーン。父・正行は海の家の座敷でキリンラガーを飲んでいる。

「ところが、彼が6歳になったときに父親である正行が病気になった為、母親の広子が呆れ返り、昭和48年、彼は新宿の家を出て旅に出ます。幼い祐一の手をひいて家を出たのです」

~情景~

父(36歳)と息子(6歳)の2人が、国鉄新宿駅構内の雑踏を歩く。息子の手には袋に入った大量の缶ビールや乾き物。父は報知新聞を握って息子の手を引っ張って歩いていく。そこには母の姿はない。

「母を呆れさせ、父に家を出させたものは一体なんでありましたでしょうか? それは父・正行の病気、当時、町内会のスケベオヤジたちと行った香港でもらった淋病だったのです」

♪「宿命」♪

~情景~

親子2人が国鉄総武線下り電車に乗っている。幼い祐一、父・正行と2人で電車に乗っていることが嬉しい。父・正行が指差す市ヶ谷のお堀、釣り堀を観て今度連れて行く約束をする正行。車窓を眺めながら祐一はワクワクしている。

♪「宿命」♪

「この親と子がどの様な旅を続けたのか、それはこの2人にしかわかりません」

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手が私と一緒だょ〜〜 だな!

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~情景~

満員の後楽園球場の前に立つ2人のホームレス。父はこの日の巨人戦のチケットは持っていなかった。父に近づく男。正行の麻雀仲間の田島だった。この3人に近づいてくる強面の男。父は息子を自分の後ろに隠して男と何やら交渉しだす。ポケットから無造作に束になった聖徳太子の札を、男に渡し、チケットを3枚手にした。満員の後楽園球場の外野スタンド。祐一は必死の思いで持ってきた缶ビールを父と田島に渡す。田島は祐一の頭をなでて、正行に話しかける。

「おい赤江(正行)、お前は、どうしても祐一と離れたくないというのか?」

「ええ」

「じゃぁ、病気が祐一に伝染ったらどうする? 病気の感染だけじゃない、これからの祐一の将来に、お前、今まで通りやっちょって良いと思っちょるんか」

「はい」

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玉袋筋太郎

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~情景~

母・広子が居間で泣いている、病気で医者に止められてビールが飲めない父。どうしてもビールが飲みたい父は祐一の手を引っ張って家を出たのだった。野球そっちのけでスタンドで医者に止められたビールの飲み続け、汚い野次を飛ばす父・正行。それを心配そうに観ている息子・祐一。田島が正行に詰め寄る。

「なぜだ赤江、どげんしてなんだ。たった1人の息子、それもあげな思いをしてきた親と子だよ、それを球場のスタンドでベロンベロンになり、息子が家に帰りたいというのに帰らない。赤江、わしゃ、お前の首に縄かけてでも引っ張っていくから、一緒に来い、赤江!!」

~情景~

七回裏を終えた時点で、試合中にも関わらず田島に引っ張られ後楽園球場を後にする3人。祐一はクダを巻く父と田島のやり取りがあまりにも激しいので、総武線車内でずっと下を向いている。電車が新宿駅に到着して、まだ田島に引っ張られる父・正行。その姿を見ている祐一。涙を流しだす。家庭不和も感じているのだろう。思わず、その場が嫌になり、新宿駅地下構内にて父と田島を置いて人混みの中を走り出す祐一。そのまま1時間ほどして父と田島を置いて逃げた場所に戻った祐一。そこに2人の姿はない。寂しくなり大きな声を出して泣き出す祐一。その祐一に近づく影。新宿駅地下交番の若い巡査さんだった。交番の中でも泣き止まない祐一。

「ボク、名前は? あかえゆういちくんだね」

「は、はい」

「お父さんの名前は」

「あかえまさゆき」

「お母さんは?」

「ひろこ」

「お家の電話番号はわかる?」

「342○☓△■です」

~情景~

電話を掛ける若い巡査、しばらくして正行が交番に駆けつける。息子が失踪してすっかり酔いが覚め、顔は青ざめている。

「おとうさんですね?」

「は、はい」

「このお子さん…」

「ぅあ~、ワ・ワ・ワ・私の息子ですぅ、ゴメンなぁ~~」

~情景~

父・正行、息子・祐一、泣きながら抱き合う。

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猛暑の中 墓参り

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『砂の器』の最後は本浦千代吉が和賀の写真を見せられて「知らねったら知らねぇ!」と絶叫するんだけども、<オレの器>の場合はこうして親子の「宿命」を背負って「完」となった。玉袋筋太郎の親子の宿命はセコだが、この映画を観るとあの日のことを思い出しちゃうんだよな。今回も封印破ってビールなんて飲みながら観ちゃったんだ。そして、まだ若かった亡き父を想い涙してしまう。うん、やっぱり『砂の器』は永久に封印しようっと。

文:玉袋筋太郎

『砂の器』はNetflix、Hulu、Amazon Prime Videoで配信中

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『砂の器』

原作者・松本清張をして「原作を超えた」と言わしめた同名小説を、監督:野村芳太郎、脚本:橋本忍・山田洋次で映画化した社会派サスペンスであり、日本映画界に燦然と輝く傑作。迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負うがために殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描く。

制作年: 1974
監督:
脚本:
音楽:
出演:
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  • 映画
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