エルトンがド派手な衣装を着る本当の理由は? 上映前にギリ完成した『ロケットマン』制作秘話を監督が語る

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ライター:BANGER!!! 編集部
エルトンがド派手な衣装を着る本当の理由は? 上映前にギリ完成した『ロケットマン』制作秘話を監督が語る
『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

 

世界中に“クイーン旋風”を巻き起こした『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)で製作総指揮を務めたデクスター・フレッチャーがメガホンを取り、同じく英国が生んだ偉大なミュージシャン、エルトン・ジョンの波乱万丈の半生を描く『ロケットマン』が2019年8月23日(金)から公開!『キングスマン』シリーズ(2014年~)のタロン・エジャトンがド派手な衣装に身を包み、見事な歌唱力を披露するなどエルトンへのなりきりっぷりも話題となっている本作について、フレッチャー監督が語ってくれた。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

映画完成はプレミア上映5日前⁉

―2019年5月のカンヌ映画祭は、エルトン・ジョン本人も訪れ素晴らしいプレミア上映になりましたね。

あの時は本当にもうかなりバタバタしていて、前週の金曜日に映画が仕上がって、次の水曜日にはカンヌにいてプレミア上映をしていたぐらいのタイミングだったんだ。ゆっくりと座ってまじまじと映画を観る余裕がなかったので、僕もあの時はじめて観たようなものなんだよ。

エルトンがいて、タロン(・エジャトン)がいて、みんなが本当に祝福ムードという感じで、とても幸せなひとときだったよ。ああやって、世界最大の映画祭で自分の映画を大きなスクリーンで観て、上映後に10分近いスタンディングオベーションをいただいて、非常に高揚感をおぼえたし、本当に素晴らしい瞬間だったね。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

物語と歌詞の絶妙なシンクロの影には試行錯誤の繰り返しがあった

―物語と楽曲の歌詞がぴったり合っていたことに驚きました。

最初は「この曲がここに来る」って、ある程度脚本に書き込まれていたんだけど、自分の中で方向性とかビジョンが決まった時点でかなり入れ替えたんだ。一つ例を挙げるとすれば、実はオープニングでは当初、「ピンボールの魔術師」を使おうと思っていた。エルトンが、自分が“魔術師のような存在だ”とするところから始まって、そこからさかのぼっていく構成を考えていたんだ。だけど、本当のルーツである彼のお母さんから始まって、子ども時代からたどっていくように構成を変えたり、その辺はかなりの試行錯誤があって……。まあ、そもそもあれはエルトンではなくザ・フーの曲なんだけどね。(※のちにエルトンが歌ったバージョンが大ヒット)

他にもあまりに名曲がたくさんありすぎて、「Someone Saved My Life Tonight(邦題:僕を救ったプリマドンナ)」は使えなかったし、最初は「I want love」も使っていないバージョンがあったんだ。映画の中の一人一人のキャラクターが、誰にも見せていない自分の一面や、心の中に抱いている気持ちなどの内面をさらけ出すツールとして歌を使うようにした。この曲をここの部分に使えば最適とか、この曲は本当にいい曲で使いたいけど、どうしても物語に沿わないから外さなきゃいけないとか、非常に試行錯誤したね。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

ひたすらハッピーなだけじゃなく、人生の大変さを感じさせるミュージカル

―参考にした過去のミュージカル作品はありましたか?

一番はやっぱり『オール・ザット・ジャズ』(1979年)だね。これはエルトン自身と、彼のパートナーで今回プロデューサーを担当したデヴィッド・ファーニシュも最初から挙げていた映画で、死にゆく主人公が「自分の人生どこで間違えたんだろう」と振り返る。物語の構成、ストーリー展開でも非常に参考にしたね。もちろん曲とストーリーが完全にシンクロしている、マッチしているという点では『キャバレー』(1972年)もそうだし、『コーラスライン』(1985年)、ベット・ミドラーの『ステラ』(1990年)もそうだね。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

もちろん他にも参考にした映画はたくさんあるんだけれど、『雨に唄えば』(1952年)とか『巴里のアメリカ人』(1951年)といった、きらびやかでひたすらハッピーなミュージカルではなくて、エルトン・ジョンの人生がそうであったように、人生の大変さをミュージカルで描くことに魅力を感じたんだ。

今と違って、昔は“生命の輪=サークル・オブ・ライフ”みたいなものを実感していた。自宅で生まれて、育って、死んでいくというのが普通だったわけだけど、今はそれが薄れていて、生まれ育った家庭環境が人格形成や人生にいかに影響するかを身をもって実感できていないと思うんだよ。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

音楽界の“巨人”エルトン・ジョンの“等身大”の姿に衝撃

―エルトン本人が実際に使った衣装や小道具の全てを見て、使うこともできたと聞きました。実際に触れてみていかがでしたか?

自分も含めて、特に衣装デザイナーのジュリアン・デイは、衣装やか小道具を全部見たわけなんだけど、彼の使った衣装や、彼の閃きをそのまま再現するのではなくて、そこからインスピレーションを得て新たなものを作ろう、というのが最初からのコンセプトだったんだ。そういう意味で一番印象的なコスチュームは、エルトンも「自分が先に考えついて使いたかった」って地団駄踏んで悔しがっていたし、「使わせてくれ」って言ったぐらい彼も気に入っていた。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

一番印象に残っているのは、マディソン・スクエア・ガーデンのシーンと、トルバドールでの初ライブのシーンだね。雰囲気を醸すために、実際にエルトンが若いころに着ていた衣装をハンガーに掛けていたんだけど、それを見て「なんて小っさいんだ!」と驚いたんだ。決してタロンが大きいというわけではないんだけど、絶対に窮屈だし死んでも着られないだろっていうね。まあ、22歳ぐらいの男性っていうのは大体スリムだったりするので、悔しいかもしれないけど……。エルトンはああいう存在なので大きく見えるけれど、実際は非常に小柄だったというのが非常に衝撃だった。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

―エルトン・ジョンにとって、ゴージャスな衣装が実は自分自身を守るためのヨロイだったというのが印象的だったのですが、それは本人から聞いた話なんでしょうか?

彼から直接聞いたわけではないんだけど、タロンともその話はよくしたね。エルトンに限らず、アーティストにとって衣装は、一種の仮面のようなものだと思うんだ。タロンもコスチュームを着ると勇気が湧いてくるし、全く違う人物になりきれると言っていたね。エルトンは若い頃、きらびやかにステージで歌って踊っているモータウンに憧れたんだ。だから、エルトン・ジョンはショーマンであり、パフォーマーとなったんだ。5万人の前でギター1本とジーンズで歌うのではなく、ショーは目で楽しめるスペクタクルなものを作り上げないといけないと思ったんだ。

そういう意味で、自分を守るためのヨロイであると同時に、観客を音楽+アルファの何かで楽しませる。彼の「皆が期待するエルトン・ジョンを見せなきゃ! みんなを楽しませたい」という気持ちや欲求など、そういうのも反映されてたんじゃないかと僕は思うね。

『ロケットマン』©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

『ロケットマン』2019年 8月23日(金)より全国ロードショー

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『ロケットマン』

音楽界の最高峰グラミー賞を5度受賞し、「ローリングストーン誌が選ぶ歴史上最も偉大なアーティスト100組」にも選ばれた伝説的ミュージシャン”エルトン・ジョン”の半生を映画化した話題のミュージック・エンターテイメント超大作!

制作年: 2019
監督:
出演:
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  • 映画
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