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音楽と映像を完璧にシンクロさせるエドガー・ライト監督のオタクっぷり! アンセル・エルゴート出世作『ベイビー・ドライバー』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
音楽と映像を完璧にシンクロさせるエドガー・ライト監督のオタクっぷり! アンセル・エルゴート出世作『ベイビー・ドライバー』
『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

 

アンセル・エルゴートとエドガー・ライトの才能がぶつかり合う傑作

新感覚二重人格サスペンス『ジョナサン-ふたつの顔の男-』(2018年)のアンセル・エルゴートが主演する『ベイビー・ドライバー』(2017年)が、CS映画専門チャンネル ムービープラスで2019年8月、10月に放送。ティーン向け映画『ダイバージェント』シリーズ(2014年~)や『きっと、星のせいじゃない。』(2014年)で注目を集めたアンセルを一躍若手スターの筆頭に押し上げた本作は、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)や『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010年)でオタクの星と讃えられていた、エドガー・ライト監督の本格的な出世作でもある。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

そんな本作の主人公は、天才的なドライビング・センスで強盗団を無事に逃がすのが生業の青年ベイビー(アンセル)。『ドライヴ』(2011年)でライアン・ゴズリングが演じたドライバーと同じ、いわゆる“逃し屋”というやつである。ダーティーな稼業のわりに底抜けな明るさもあるベイビーだが、実は幼少期に遭った交通事故から耳鳴りに悩まされていて、それをかき消すために聴いている音楽がドライビング・テクも覚醒させる……みたいな設定だ。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

音楽とヒトを肉体的にシンクロさせてくれたのがmp3とiPodだった

時代設定は明確にされないが、ベイビーの愛用機はおそらく第1世代のiPodなので00年代アタマくらいと思われる。とはいえ時代云々ではなく、自由自在に音楽を操れるようになった=mp3端末の象徴としてiPodを大フィーチャーしたのだろう。正直言うと音楽のチョイスはライト層には馴染みにくく……若干スノッブというか監督のドヤ感が滲み出ているのだが、歌詞も含めいちいち使いどころ/使い方がバッチリなので文句のつけようがない。まったくエドガー監督の音楽オタクぶりには脱帽だ。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

そんな監督が本作への影響を公言している作品が、逃がし屋の設定をまんま頂戴したウォルター・ヒル監督の『ザ・ドライバー』(1978年)。カーチェイスシーンは他にも、スティーヴ・マックィーンの『ブリット』(1968年)などを彷彿とさせつつ、それらをぎゅっと濃縮しスタイリッシュにしたような、ほぼノースタントの迫力と緊張感にあふれている。もちろんカーチェイスだけでなく、タランティーノ風のダベりシーンやケレンあふれる強盗シーンはクライム映画としてもピカイチ。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

若く寡黙なベイビーとの対比として、ジェイミー・フォックス演じるイカれキャラやジョン・バーンサル演じる粗野キャラが活躍するのも嬉しい。そしてベイビーが恋するウェイトレス、デボラ(リリー・ジェームズ)との恋模様は、『俺たちに明日はない』(1967年)のボニーとクライドを彷彿とさせて行く末が心配になるのだが、どちらかといえば『トゥルー・ロマンス』(1993年)のクラレンスとアラバマのほうが近いかもしれない。ただし本作には、より現実的な結末が用意されているので後味も申し分なし。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

スターの階段を全力で駆け上がるアンセルの紛うことなき代表作

公開時は「全編がミュージックビデオのよう」なんて言われていた本作だが、実際オリジナルスコアはほとんど使用されておらず、監督チョイスの既存曲が全編にわたって爆音で流れ続けるのだから、いかにテンションをキープしているか分かるというもの。曲のタイトルや歌詞で物語を補強し、さらにベイビーたちの心情を表現しているところにもグッとくる。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

カーアクション、クライムサスペンス、ラブロマンス、そしてファンタジー……すべての要素を音楽で結びつけた『ベイビー・ドライバー』は、続編の噂もあり。2019年11月10日(土)には主演最新作『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』が公開、さらに読売新聞の記者に扮するというドラマシリーズ『Tokyo Vice(原題)』も控えている絶好調のアンセルの代表作としても、今後も折に触れて振り返られるであろう作品だ。

『ベイビー・ドライバー』© 2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

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『ベイビー・ドライバー』

天才的なドライビング・センスを買われ、犯罪組織の“逃がし屋”として働く青年ベイビー。子供の頃の事故の後遺症で耳鳴りが止まない彼は、それを消すために四六時中イヤフォンで音楽を聴いている。ある日、運命の女性デボラと恋に落ちたベイビーは、裏社会から足を洗おうとするが……。

制作年: 2017
監督:
出演: