シャラメ度MAX! 悩み多きアンニュイ高校男子が、町のワルや美女と過ごすひと夏の青春クライム『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』

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ライター:BANGER!!! 編集部
シャラメ度MAX! 悩み多きアンニュイ高校男子が、町のワルや美女と過ごすひと夏の青春クライム『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』
『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』© 2017 IMPERATIVE DISTRIBUTION, LLC. All rights reserved.

シャラメ様が1990年代に降臨! アンニュイな存在感を撒き散らす

最初に言っておくと、本作『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』は田舎町に住む美少年のひと夏の思い出……みたいな淡いラブストーリーと言うよりも、青春クライム映画(+ちょっとコメディ)と形容したくなるタイプのお話。もちろん少し歪んだ恋愛映画としても楽しめるが、なにより主演のティモシー・シャラメが存在感をビシビシ放ちまくる、シャラメ度MAXの作品である。

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』© 2017 IMPERATIVE DISTRIBUTION, LLC. All rights reserved.

本作の主人公は父を亡くし、1991年の夏をアメリカ東海岸の港町ケープコッドに住む叔母のもとで過ごすことになったダニエル(ティモシー・シャラメ)。冒頭から『ベスト・キッド』(1984年)のカラテ少年ダニエルを意識したであろう模様のハチマキを巻いて登場するあたり、ネタなのか伏線なのか真意を捉えかねるが、ただのシャレかもしれない。

さて、アンニュイなシャラメと90年代前後の脳天気な雰囲気は絶妙にマッチしないものの、その違和感が拠り所のない緊張感につながっていて効果的。とにかく、鬱屈とした不満を抱えた多感な時期の少年ということは十分に伝わるし、いつになく青白く痩せぎすのシャラメは何かしでかしそうな不穏さも感じさせる(バッチリしでかします)。

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』© 2017 IMPERATIVE DISTRIBUTION, LLC. All rights reserved.

シャラメがハッパを売りさばく! シャラメが美女とイチャイチャする!

どんな田舎町にも真偽の怪しい武勇伝を持つワルがいて、その典型的な1人である青年ハンターに偶然協力してしまったことから、急激に親密になっていくダニエル。避暑客や金持ち相手にハッパを売りさばいているハンターに誘われ、初めてのハッパをひと口吸い込んだダニエルは文字通りブッ飛んでしまう。

ここで、Suicideの片割れマーティン・レヴの「I Heard Your Name」をBGMにボワーンとタイトルバックが浮かび上がる。しかし、そんな気の抜けきったレイドバックな雰囲気と逆行するように、物語のほうはどんどん緊張感を増していく。

やがてハンターとツルんでハッパを売るようになったダニエルは、ビビりのくせに大胆な発想で販売規模をどんどん拡大。売人の元締めみたいなワルたちとのやり取りはなんだかちぐはぐで、『ファーゴ』(1996年)どころか『スモーキング・ハイ』(2008年)のような可笑しみを醸し出しているものだから、ますます掴みどころがない。とはいえ相手はガチの悪人であり、その後ダニエルの行動が取り返しのつかない悲劇につながってしまうのだが……。

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』© 2017 IMPERATIVE DISTRIBUTION, LLC. All rights reserved.

また、ホームパーティーで「人を殺したことがある」と噂されているハンターの凶暴性を垣間見てドン引きしたり、町一番の美女マッケイラを気の利いた駆け引きで落としてイチャコラしたりと、青春ムービーのお約束もしっかり踏襲。クライムものとしては若干ご都合的だがテンポは良く、なにしろシャラメが出ずっぱりなので目が忙しい。ただし、登場人物たちのちょっとしたやり取りや細かいセリフに含みを持たせていて、字幕もしっかり追わないとお話から置いていかれてしまうので要注意。

台風が迫る真夏の日本と奇跡のシンクロ! 湿度高めなシャラメを堪能しよう

本作に出てくるのは若い美男美女ばかりなので感情移入しづらく、マッケイラを演じるマイカ・モンローも超絶美女なのだが、どうしたってキュート度ではシャラメに軍配が上がる。ハンターを演じるアレックス・ローもイケメンだしカリスマ性もあるが、大人の男の魅力はやや不足気味。

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』© 2017 IMPERATIVE DISTRIBUTION, LLC. All rights reserved.

そういった部分をカバーしてくれるのが、ウィリアム・フィクトナーとトーマス・ジェーンという薄顔界の重鎮おじさんたちの存在である。最初は正直ムダ遣い感がスゴいな! と思ったが、実は後半になってじわじわ効いてくる秀逸なキャラクターなので、イケオジ好きでなくとも注目してほしい。特に、コカインおじさんを演じるフィクトナーのゆるふわイカレっぷりは最高だ。

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』© 2017 IMPERATIVE DISTRIBUTION, LLC. All rights reserved.

気鋭の映画制作スタジオ<A24>が贈る『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』。シャラメは今もっとも注目を集める俳優であると同時に劇薬でもあり、使い方によっては映画そのものを食ってしまうほどの存在感がある。本作は、そんなシャラメの抗いがたい魅力と危険性がひしひしと伝わってくる映画だった。

“熱帯夜”というタイトルは日本の蒸し暑い夏にもぴったりだし、劇中で台風が大きくフィーチャーされているという奇跡的なシンクロも起こっているので、台風に負けず劇場へ足を運ぼう。

『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』は2019年8月16日(金)より全国ロードショー

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『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』

愛する父を亡くし、大きな喪失を抱えたまま立ち直れないダニエル。叔母の家で夏を過ごすため海辺の小さな町にやって来る。地元の有名なワルとつるみ、町一番の美女との密かな逢瀬……。
しかし、ダニエルのきらめくような夏は最大級のハリケーン到来と共に劇的な結末を迎えることになる。

制作年: 2017
監督:
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