狩猟民族がアーチェリー選手になったら最強だった!韓国スポ根コメディ『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』
『エクストリーム・ジョブ』チームが帰ってきた!
リュ・スンリョンとチン・ソンギュの最強コンビがスクリーンに帰ってきた。12月26日(金)より公開の韓国映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』は、日本を含む世界中でスマッシュヒットを記録したアクション・コメディ『エクストリーム・ジョブ』の脚本家とキャストが再タッグを組んだ爆笑スポ根コメディだ。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
ほとんどの日本人が秒で元ネタを理解するであろう振り切った邦題を冠した本作をズバリ例えるならば、“昭和の漫画”。メインストーリーからちょっとした小ネタまで、私たちがよく知る漫画的な演出が続く。おかげで鑑賞のハードルがほとんど無く、とにかくめちゃくちゃ観やすい映画に仕上がっている。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
元アーチェリーの代表選手で現在は冴えないミドルエイジ会社員が、未開のアマゾンで出会った弓の名手たちをスカウトして……という導入からして昔どこかで読んだ漫画のようだし、たとえば『アフリカン・ダンク』(1994年)や『史上最大のスーパー・チャンピオン』(1973年)のような懐かしのディズニー・チャンネル映画も思い出させる。一瞬だが日本でも大ヒットした『コイサンマン』シリーズ(1980年ほか)を彷彿させるシーンも。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
とにかくリュ・スンリョンの「シリアスさを微塵も感じさせない」という強い意志を感じる口元ペロペロ演技は最高潮に達していて、“テンパった挙げ句に先走って大スベりするおじさん像”は、もはや彼の十八番と言ってもいいだろう。ほぼ100%先が読めるドリフ的ギャグなのに大笑いさせられるのもリュ・スンリョンの全力演技の賜物。そしてチン・ソンギュも、30年くらい時代を遡ったようなベタベタのコメディ演技に挑戦している。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
過剰なギャグとベタなスポ根展開、からの社会的メッセージ
序盤の舞台となるのは南米アマゾンのボレドールという架空の国で、その片隅で伝統を守って暮らしている少数部族が登場。イゴール・ペドロゾ、ルアン・ブルム、JB・オリベイラという3人の俳優が『アポカリプト』(2006年)のようなトライブ系メイクを施した青年たちを熱演していて、主演級の活躍を見せる。また、どんな役でも説得力がスゴい名優ヨム・ヘランがユルみすぎないよう要所でストーリーを引き締め、イキり青年からサイコパスまで演じ分けるコ・ギョンピョも少ない出演ながら存在感抜群だ。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
もちろん『エクストリーム・ジョブ』への目配せ的なセリフでもニヤリとさせてくれるし、『エクストリーム~』を観ていればスンリョン&ソンギュのギャグ倍増演技もサービスとして受け入れられるはず。そして、既視感のある振り切ったカルチャーギャップ・コメディから、見応えたっぷりの本格的なスポーツ映画へと変貌していく展開には思わず握り拳。ざっくりとだがアーチェリーのルールが学べるのも楽しい。そういえばリュ・スンリョンは2011年の『神弓 -KAMIYUMI-』でも目がギラついた弓の名手を演じていたが、本作で演じる会社員ジンボンとのギャップがスゴい。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
韓国はアーチェリーの強豪国として知られているが(※2024パリ五輪で金メダル5つ獲得)、本作はスポ根に至るまでの過程だけでなく、それを経て投げかけられるメッセージも明確だ。“異文化交流”の描写は分かりやすさを重視しすぎていて、前時代的という批判があるのも理解できる。しかし、日本の都市部でも顕著な目先のカネしか見ていない強引な開発事業や先進国の武力による資源支配などに対しても、かなり分かりやすくアンチテーゼを突きつけている。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』© 2024 BARUNSON E&A, ROD PICTURES, CJ ENM ALL RIGHTS RESERVED
韓国映画/ドラマ好きが思わずオッと眉を上げるあの名優たちもカメオ的、というかサービス顔全開の演技を見せる本作。だいぶ強引ではあるが、邦題の元ネタになったバラエティ番組をよく見ている両親や祖父母を誘って地元の映画館へ……なんてお正月を過ごしてみてはいかがだろう。
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』は12月26日(金)より シネマート新宿ほか全国公開
『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』
かつてはアーチェリー韓国代表でメダリストだったものの、いまやリストラ候補1位のジンボン(リュ・スンリョン)。会社から与えられた起死回生のミッションは、アマゾンで弓の名手を発掘しアーチェリー世界大会でメダルを取らせることだった。不時着の末にたどり着いたアマゾンでジンボンが目にしたのは、生まれて初めてのジャングル。そこで神のごとき弓の才能を持つ3戦士シカ、イバ、ワルブと運命的な出会いを果たす。生き残る道を見つけたと思ったジンボンは、現地通訳士のパンシク(チン・ソンギュ)と共に、弓の名手3人を連れて韓国に向かうが…。
監督:キム・チャンジュ
脚本:ぺ・セヨン
出演:リュ・スンリョン、チン・ソンギュ、イゴール・ペドロゾ、ルアン・ブルム、JB・オリベイラ、ヨム・ヘラン、コ・ギョンピョ
| 制作年: | 2024 |
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2025年12月26日(金)より シネマート新宿ほか全国公開