耐えろ……!! トラウマを抱えた姉妹を再び恐怖が襲う! 違和感に隠されたギミックの数々に背筋が凍る『ゴーストランドの惨劇』

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ライター:杉山すぴ豊
耐えろ……!! トラウマを抱えた姉妹を再び恐怖が襲う! 違和感に隠されたギミックの数々に背筋が凍る『ゴーストランドの惨劇』
『ゴーストランドの惨劇』© 2017 - 5656 FILMS - INCIDENT PRODUCTIONS - MARS FILMS - LOGICAL PICTURES

ヘビー級の恐怖に戦慄! 本年度トラウマ系ホラーの筆頭『ゴーストランドの惨劇』

いわゆるアメコミ・スーパーヒーロー映画と並んで、ホラー映画がブームの兆しです。2018年末に公開した『ヘレディタリー/継承』から始まって、リメイク版『サスペリア』や『ハロウィン』(2018年)、リブート版『チャイルド・プレイ』、『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(2019年)もありました。この秋も『アナベル 死霊博物館』やワニ映画『クロール ―凶暴領域―』(2019年10月11日公開予定)、待望の続編『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019年11月1日公開予定)、そして、あの『シャイニング』(1980年)の続編『ドクター・スリープ』(2019年冬公開予定)と、“ゾクゾク”させてくれそうなホラー映画がそれこそ“続々”登場しています。

『ゴーストランドの惨劇』© 2017 – 5656 FILMS – INCIDENT PRODUCTIONS – MARS FILMS – LOGICAL PICTURES

この『ゴーストランドの惨劇』も今年注目のホラー映画の一本。正直、タイトルから祟り系のオカルト映画を想像していたのですが、その予想は大きく覆されました。そして、最近観たホラー映画の中では『ヘレディタリー/継承』(2018年)『サスペリア』級に重く、あとをひく映画です。

『ゴーストランドの惨劇』© 2017 – 5656 FILMS – INCIDENT PRODUCTIONS – MARS FILMS – LOGICAL PICTURES

しかも本作はフランスとカナダの合作映画らしく、つまりアメリカ映画ではないので、笑えるシーンはなく、ひたすらシリアス。

シングルマザーと10代の双子の娘がある家に引っ越してきます。双子は美人ですが、妹の方はちょっと変わり者でホラー小説家を目指しています。しかし引っ越して早々、彼女たちは恐るべき殺人鬼たちに襲われ、なんとか撃退。それから何年か経ち、妹の方はこの経験を糧にしてホラー作家として大成功しますが、姉の方はあの事件で精神に異常をきたしています。そして妹が久しぶりに姉と母が住む実家を訪れ、衝撃の物語が幕を開けます。

『ゴーストランドの惨劇』© 2017 – 5656 FILMS – INCIDENT PRODUCTIONS – MARS FILMS – LOGICAL PICTURES

違和感に込められた巧みなギミックの数々にゾッとさせられる!

正直、「いくらなんでも自分にふりかかった災難をネタにして小説書く?」とか「あんなに恐ろしいことがあった家にいまだに住んでいる母と姉の神経を疑う」など、かなり設定に無理があるなとも思ったのですが、こうした“違和感”こそが重要な伏線であり、なるほどこういうことか! と。これはまさに映画だからできるギミック(仕掛け)だと思います。この構成の巧みさに舌をまき、その後の絶望的な展開に心底ゾッとさせられるのです。

『ゴーストランドの惨劇』© 2017 – 5656 FILMS – INCIDENT PRODUCTIONS – MARS FILMS – LOGICAL PICTURES

残虐スプラッターではないのですが、痛々しい描写の連打連打。人形だらけの家で双子の姉妹が経験する世にもおぞましい体験というのは楳図かずおさんの少女怪奇漫画や、それこそオリジナルの『サスペリア』(1977年)を作ったダリオ・アルジェント監督のホラー映画を彷彿させます。また、明らかに『悪魔のいけにえ』(1974年)のオマージュと言えるシーンもあります。

『ゴーストランドの惨劇』© 2017 – 5656 FILMS – INCIDENT PRODUCTIONS – MARS FILMS – LOGICAL PICTURES

その作家志望の妹が、(ハワード・フィリップス・)ラヴクラフトという伝説の怪奇小説作家のファンという設定があります。僕はラヴクラフトに詳しくないのですが、もしかするとラヴクラフトの小説にちなんだ何かもちりばめられていたのかもしれません。

妹役を演じるのは、クリスタル・リードという女優さん。バットマンをベースにしたTVドラマ・シリーズ『ゴッサム シーズン4』(2017年~)で知っていたのですが、ちょっと陰のあるところが気になる美人で、本作の雰囲気にピッタリ。ホラーと相性がいいのか、彼女はDCコミックの怪奇ヒーロー・ドラマ『スワンプシング』(2019年)へのヒロインにも抜擢されていました。

『ゴーストランドの惨劇』© 2017 – 5656 FILMS – INCIDENT PRODUCTIONS – MARS FILMS – LOGICAL PICTURES

『ゴーストランドの惨劇』は観終わった後、ふーっとため息をついてしまうぐらい緊張感がありますが、映画として見応えがある。ある意味、オーソドックスなホラー映画の設定をここまでひねった作品に仕立てた監督の手法に拍手です。

文:杉山すぴ豊

『ゴーストランドの惨劇』は2019年8月9日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

『ゴーストランドの惨劇』

僻地に佇む家で、母と双子の娘を襲った凄惨な事件。それから16年後。姉は精神を病み家に囚われ、妹は家を出て幸せを手に入れた。姉妹がその家で再会した時、あの惨劇が再び幕を開ける。などという、ありきたりのホラーでは終わらない……。

制作年: 2018
監督:
キャスト:
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