ヒップホップからハードロックまで! アガる音楽のメガ盛り シリーズ スピンオフ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』

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ライター:森本康治
ヒップホップからハードロックまで! アガる音楽のメガ盛り シリーズ スピンオフ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』©UNIVERSAL PICTURES

スピンオフも大成功! “ヒット請負人”ことドウェインに怖いものなし

LAのストリートレーサー兼トラック強盗団と潜入捜査官の物語から始まった『ワイルド・スピード』シリーズ(2001年~)は、回を重ねるごとに世界を股にかけたド派手な「難関突破型カーアクション」へと進化していった。シリーズの方向性が変わったのは、第5作『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)から参戦したルーク・ホブス捜査官(ドウェイン・ジョンソン)の影響によるところが大きい。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』©UNIVERSAL PICTURES

シリーズ途中参加ながら、屈強な肉体と達者な喋りで準主役級キャラに昇格したホブス。その人気に後押しされるかのように、ホブスと彼のライバルのデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)を主役に据えて、この度シリーズ初のスピンオフ作品『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)まで製作されてしまった。

番外編ということで、「ストリートレースにこだわらなくてもOK」「本家より登場人物が少ない分、ホブスとショウをより深く描ける」「フィジカルなアクションを増量して見せ場を多く作れる」「キャストの持ち味を活かしたアドリブ演技を推奨」など自由度の高い映画作りが可能となり、結果として本家シリーズに勝るとも劣らない豪快なマッシヴ・アクション大作が完成した。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』©UNIVERSAL PICTURES

第4作『ワイルド・スピード MAX』(2009年)から主演と製作を兼任しているヴィン・ディーゼルの「キャストはファミリー」主義もあって、このシリーズは何となく「スピンオフの話はタブー」という雰囲気があったものの、主演作でヒットを連発しているドウェインに怖いものなし。プロレスラー時代の決めゼリフ「It doesn’t matter what you think!!」とばかりに、平然とスピンオフ作品でも成果をあげてしまった。これではヴィンと確執が生じても無理ないか……と妙に納得してしまった次第である。

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シリーズの作曲家遍歴

『ワイルド・スピード』シリーズの劇中音楽は、基本的に「ヒップホップ系の歌モノ+映画音楽家のスコア」という構成になっている。挿入歌のアーティストはその都度変わるが、スコアの作曲を担当する音楽家は、ほぼ毎回監督お気に入りの人物が招聘されている。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』©UNIVERSAL PICTURES

例えばロブ・コーエンが監督した第1作目で音楽を担当したBTは、のちにコーエン監督と『ステルス』(2005年)でもタッグを組んでいるし、2作目『ワイルド・スピード X2』(2003年)のデヴィッド・アーノルドは故ジョン・シングルトン監督作品の常連作曲家だった。『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)でジャスティン・リン監督とタッグを組んだブライアン・タイラーは『アナポリス 青春の誓い』(2006年)の音楽を担当して以来の友人同士で、その後『-MAX』『-MEGA MAX』、そして6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)もリンが監督を務めたことで、今日に至るまで「シリーズの音楽はブライアン・タイラー」と定着した経緯がある。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』©UNIVERSAL PICTURES

『EURO MISSION』はスケジュールの都合でルーカス・ヴィダルが音楽を担当したが、タイラーが作曲したテーマ曲がいくつか使われている。そして『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)で監督を務めたF・ゲイリー・グレイも『完全なる報復』(2009年)でタイラーと仕事をしている。『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)はジェームズ・ワン監督ということで、『ソウ』シリーズ(2004年~)のチャーリー・クロウザーが音楽を担当するのかと思ったが、彼はホラー映画の印象が強かったためか、タイラーがスコアの作曲を手掛けている。

新作は、80’sバディ・ムービーを意識したハードロッキンなスコア!

それではスピンオフである本作の音楽はどうかというと、やはり「監督お気に入りの作曲家が招聘される」という法則が適用され、『アトミック・ブロンド』(2017年)や『デッドプール2』(2018年)など、デヴィッド・リーチ監督作で異彩を放つ作曲家タイラー・ベイツが音楽を担当することになった。

『ワイルド・スピード』シリーズの音楽は、タイラーが『TOKYO DRIFT』の頃から「オーケストラ+ギターロック」という方向性を打ち出したが、ベイツは本作でギターロック色をより前面に押し出したスコアを作曲している。重厚さが印象的なタイラーの音楽に比べると、ベイツのスコアは痛快さを強調したサウンドになっているのが特徴である。ハードロックのノリに近い音楽は、リーチ監督の「本作を1980年代のバディ・ムービーのようなものにしたい」という意向を反映させたものとも考えられる。そしてスコア・アルバム8曲目の「Samoa Siva Tau」では、打楽器のリズムが唸るパワフルなスコアを聴かせてくれている。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』©UNIVERSAL PICTURES

タイラーが作曲した「ホブスのテーマ」と「ショウのテーマ」を本作で使っていないことも含めて、ベイツは本家『ワイルド・スピード』シリーズとは異なる音楽世界を構築していると言えるだろう。本作は劇中の挿入歌を収録したコンピレーション・アルバムと、ベイツのスコア・アルバムの2種類がリリースされているので、どちらも是非チェックして頂きたい。

文:森本康治

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』は2019年8月2日(金)より全国超拡大ロードショー

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』

ワイルドなスタイルで超重量級のクルマを操る元FBI特別捜査官ルーク・ホブスと、クールなスタイルで超高級なクルマを駆る元MI6のデッカード・ショウ。「こんな奴と誰が組むか!」と協力を拒否するが、全人類の半分を滅ぼす新型ウイルス兵器をテロ組織から奪うため、仕方なく手を組むことに……。

制作年: 2019
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