「毎週のように誹謗中傷や殺害予告が届きます」闇堕ちピーター・パン物語『ネバーランド・ナイトメア』監督インタビュー
「観ていて思わず顔をしかめるような、エグい死の描写が好き」
――本作の骨組みは「ピーター・パン」ですが、原作のファンタジー要素の多くを、現実的な恐怖や抑圧、ストレスと置き換えているように見えます。ディズニーアニメの滑稽なパロディのようにはせず、とてもダークな物語にしたのはなぜでしょうか?
当初はもっとファンタジックで、ネバーランドを舞台にしたような脚本でした。でも予算的に実現は難しいと感じ、現実的で自分が表現しきれる内容に完全に書き直したんです。
『ネバーランド・ナイトメア』© 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
――ピーター・パンが殺人を犯すシーンは、どれも残酷で生々しく、血の生温さまで伝わってくるようでした。本作の残酷シーンを撮影する際に、もっとも注力したポイントを教えて下さい。また、監督のお気に入りのシーンは?
僕はフレンチホラーが大好きなんです。観ていて思わず顔をしかめるような、エグい死の描写が好き。お気に入りは冒頭の母親のシーンです。彼女は息子を守るためなら何でもするし、ピーター・パンはその子を奪うためなら何でもする。母親の本能を、“最期の吐息”まで描き切りたいと思っていました。
『ネバーランド・ナイトメア』© 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
――本作におけるティンカー・ベルは、ピーター・パン以上に意外性のある人物でした。ピーター・パンとの関係は、ストックホルム症候群のようなものなのでしょうか?
はい、まさにストックホルム症候群です。かなり調べました。ティンカー・ベルは多層的で複雑なキャラクターです。物語が進むにつれ、彼女の“層”が剥がれていくように見せたかった。最初の登場シーンで、彼女が自分の指の皮を剥いでいるのもその象徴なんです! 最終的にはピーター・パンの“被害者”として描きました。彼の支配下にあるんです。
『ネバーランド・ナイトメア』© 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
「『バットマン』がパブリックドメインになるのを待っています!」
――冒頭から『死霊のはらわた』や『IT/イット』シリーズを彷彿させるシーンがありますが、名作ホラーへのオマージュはありますか?
じつは『IT/イット』は参考にしていません。もともと脚本ではピーターがドアの郵便口越しに話す場面でしたが、撮影現場で床のハッチを見つけて、「これを使ったシーンに変えよう」と思い立ったんです。それで、結果的に『IT/イット』や『死霊のはらわた』を思わせるシーンになりました。
『ネバーランド・ナイトメア』© 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
――ウェンディたちの母親メアリーは『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』に登場したセラピストのメアリーですし、ウェンディをグランピングに誘う同僚たちは、冒頭のシーンでプーに殺されていた女性たちですよね? ウェンディや彼女たちも『Poohniverse: Monsters Assemble(原題)』に登場するのでしょうか。
その通り! すべての世界が密接に交差しています。メアリー(セラピスト/本作ウェンディの母親)が同じ服を着ているのも、同じ日に起こっているというサインです。ウェンディは『Poohniverse: Monsters Assemble』にも登場しますよ。
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――ピーター・パンの物語は長きにわたり愛され続けているので、今回も熱狂的なファンからの罵詈雑言や殺害予告が届いたのではないでしょうか……?
毎週のように誹謗中傷メッセージや殺害予告が届きます。でも、子ども時代に見た映画は、そのまま存在していることを分かってほしい。これは、大人に向けた作品なんです。
『ネバーランド・ナイトメア』© 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
――今後ホラー映画化したいパブリックドメインのキャラクターを教えて下さい。
うーん、「バットマン」がパブリックドメインになるのを待っています!
――最後に、日本の<プーニーバース>のファンへメッセージをお願いします。
皆さんの応援に心から感謝しています。皆さんの存在がなければ、映画は生まれません。
『ネバーランド・ナイトメア』© 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
『ネバーランド・ナイトメア』は11月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中
『ネバーランド・ナイトメア』
ロンドンで彼氏との新生活を夢見て、移住を計画していた大学生のウェンディ。ある日、弟マイケルが突然、何者かに誘拐されてしまう。そしてその犯人は、かつて世間を震え上がらせた凶悪誘拐犯——ピーター・パンだった。
妖精の粉を注射し、街中へトび出し、子どもの誘拐と殺人を繰り返すピーター・パン。子どもも、大人も、次々と夢の国“ネバーランド”へと旅立たせていく。
弟を救うため、ウェンディはピーターの潜伏先を突き止め、ひとり忍び込む。するとそこには、かつて弟と同じように誘拐され、薬物中毒に陥ったティンカー・ベル、右手にフックをつけた青年が……。
弟がネバーランドへ連れ去られてしまう前に、ウェンディはこの悪夢を止められるのか——?
「さあ、一緒にネバーランドへ行こう」
監督・脚本:スコット・チェンバース
プロデューサー:リース・フレイク=ウォーターフィールド
出演:ミーガン・プラシート、マーティン・ポートロック
| 制作年: | 2024 |
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2025年11月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中