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「北斗の拳」「力王」パロディかと思いきや?予想を裏切る大快作『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「北斗の拳」「力王」パロディかと思いきや?予想を裏切る大快作『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』
『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』© 2023 Boy Kills World Rights, LLC All rights reserved.
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ウケ狙いパロディじゃない! ぶっ飛びアクションと狂気の映像美

海外メディアでは「物語を犠牲にしている」的な評もいくつかあったが、アクション映画ファンならば本作があえて端折った部分は脳内で補完できるので、基本的に無問題だろう。むしろ本作のディストピア設定は“荒唐無稽”で片付けられない程度には既視感があるし、独裁者のメディア利用などは現代社会のトレースと言っても差し支えない程度に現実世界が崩壊していて気分が滅入る(映画にはなんの責任もない)。

『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』© 2023 Boy Kills World Rights, LLC All rights reserved.

そんな本作は、たとえばクラウドファンディング企画の低予算SFアクション等と比較されがちのようだが、当然ながら映像的にもアクション的にも一線を画すクオリティの高さ。主人公の成長~ステージクリア型、クズい権力者へのリベンジ劇という構成は「北斗の拳」や「力王 RIKI-OH」などを彷彿させるものの、そこにウケ狙いのパロディとか今っぽくクールなバージョンを作ろうといった意図がなく、クソがつくほど真面目にアクション愛を注ぎ込んでいるところに好感が持てる。

『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』© 2023 Boy Kills World Rights, LLC All rights reserved.

ボーイの内なる声を過剰に感じることもあるが、このナレーションは他キャラクターへのツッコミや物語全体のガイド的な役割も果たしているので、タイトさをキープする意味でも取っ払うわけにはいかなかっただろう。そして、イマジナリーフレンドのようにたびたび登場する亡き妹の幻影(?)のチョケた印象がガラッと変わる終盤シーン、からの盛大なちゃぶ台返しには(ボーイと共に)言葉を失うはずだ。

『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』© 2023 Boy Kills World Rights, LLC All rights reserved.

バッチバチの腹筋と長い手足を活かしたフレッシュなアクションを披露するビルスカ、これまでのホラー/ロマンス作品とは異なる魅力を開花させたジェシカ・ローテ、最後の最後に最大の見せ場が用意されているルヒアンと、主要キャストの魅力も最大限に発揮された本作。アクションはもちろん、ややネタっぽい第一印象をまるっと覆す終盤の展開から、まるで某MCU作品のようなポストクレジットシーンまで見逃し厳禁だ。

『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』© 2023 Boy Kills World Rights, LLC All rights reserved.

『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』は9月19日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

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『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』

文明が崩壊した終末世界。狂気の女帝ヒルダ・ヴァンデルコイが支配する腐敗王朝のもと、少年〈ボーイ〉は家族を虐殺され、声と聴覚を失う。絶望の中で彼を導いたのは、幼い頃に夢中になったゲームの主人公の“内なる声”。その声に突き動かされ、謎の男シャーマンのもとで地獄の修行に身を投じた彼は、沈黙の殺戮者へと覚醒。そして年に一度の“粛清の日”ついに復讐の時が来る――。

製作:サム・ライミ
監督:モーリッツ・モール
脚本:タイラー・バートン・スミス

出演: ビル・スカルスガルド
   ジェシカ・ローテ、ミシェル・ドッカリー、ブレット・ゲルマン
   イザイア・ムスタファ、ヤヤン・ルヒアン、アンドリュー・小路
   シャールト・コプリー、H・ジョン・ベンジャミン、ファムケ・ヤンセン

制作年: 2025