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なぜNYの海賊版レンタルビデオ店に“イタリアのマフィア”が目をつけた?まさに《映画》な衝撃実話『キムズビデオ』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
なぜNYの海賊版レンタルビデオ店に“イタリアのマフィア”が目をつけた?まさに《映画》な衝撃実話『キムズビデオ』
『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023
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イタリアに渡った大量のビデオはどこに消えた?

1987年、韓国系移民のキム・ヨンマン氏が開業したキムズビデオには、世界中から収集された映像作品が取り揃えられていた。正規に流通していない作品を収集、あるいは買い付けてダビングし、最盛期は8店舗も展開していた各店頭に並べる。その“世界最高”のビデオ・コレクションを目当てに映画マニアたちが通い詰め、一時期は25万人も会員がいたというから驚きだ。そして従業員の中には、のちに名監督となるあの人やこの人も……。

『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023

とはいえ海賊版を扱っているので、当然ながら警察にも目をつけられることに。権利元から訴えを受けたFBIによってビデオが押収されることもあったが、翌週にはキム氏が何ごともなかったように棚を埋めていたそうだ。そんなキムズビデオはVHS時代の終焉とともに、2008年に閉店。キム氏は膨大なコレクションをイタリアのシチリア島にあるサレーミ市に展示を条件に譲渡することに同意し、やがてコンテナいっぱいのビデオたちは海を超えてシチリア島へと渡った。

『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023

同店の会員だったという本作の監督デイヴィッド・レッドモンは、ざっくり“文化的な展示や宿泊型の鑑賞イベント”みたいなことを約束されていた(はずの)VHSたちの行方を知るためイタリアへ飛び、自らカメラを回す。しかしそこで目にしたのは、まったく活用されることなく劣悪な環境下に放置されたビデオの山だった……。

『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023

名作映画とシンクロしていく不思議なドキュメンタリー

本作は経営者キム氏の謎めいたパーソナリティにも迫り、本人にガッツリ接触。貧しかった家庭環境、映画製作の夢、そしてレンタルビデオ店の経営に至る昔話から、いつの間にかイタリアの田舎町~政治家の裏で暗躍するマフィアとの関係へと流れていくのだが、その過程には“不可解な死”すらチラつき、まるでスパイ映画さながらの緊張感だ。

『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023

そんな本作がドキュメンタリーの体裁を取っているのは中盤過ぎまで。キム氏はビデオの杜撰な保管状況や保有権に対して「私が出る幕じゃない」と関与を拒絶するも、そこからレッドモン監督は壮大な<ビデオ奪還計画>を開始。その驚きのミッションは、随所でコラージュされる名作映画と不思議にシンクロしていき……。

『キムズビデオ』©Carnivalesque Films 2023

この夏、大作アクションやホラー映画にお疲れ気味の方は、ぜひ本作を劇場に観に行ってみてはいかがだろう。想像以上の面白さに上映時間が秒で過ぎてしまうだけでなく、鑑賞後には新鮮な気持で映画と向き合えるようになるかも?

『キムズビデオ』は8月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイト シネクイント ほか全国順次公開中

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『キムズビデオ』

出演:キム・ヨンマン (主人公)
   ショーン・プライス・ウィリアムズ (キムズビデオ元従業員)
   アレックス・ロス・ペリー (キムズビデオ元従業員)
   ディエゴ・ムラーカ (この地区の自治体の警察署長)
   エンリコ・ティロッタ (キムズビデオの管理人/ミュージシャン)
   ヴィットリオ・ズカルビ (かつてのサレーミ市長 2008~2012)
   ジュゼッペ・ジャンマリナーロ (マフィアとの繋がりが疑われる謎の人物)
   レオパルド・ファルコ (マフィア撲滅委員会 会長)
   ドミニコ・ヴェヌーティ (サレーミ市長)

監督・編集:アシュレイ・セイビン、デイヴィッド・レッドモン
撮影:デイヴィッド・レッドモン
音楽:エンリコ・ティロッタ
録音:デイヴィッド・レッドモン、マチュー・デボルド

制作年: 2023