映画愛ダダ洩れ! 小堺一機と船越英一郎が敬愛するロバート・レッドフォードや人生を変えた映画への熱い想いを語る!!

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ライター:BANGER!!! 編集部
映画愛ダダ洩れ! 小堺一機と船越英一郎が敬愛するロバート・レッドフォードや人生を変えた映画への熱い想いを語る!!
小堺一機(左)、船越英一郎(右)

 

CS映画専門チャンネル ムービープラスでは2019年に開局30周年を迎える。その記念企画として、8~10月にはあの小堺一機さんが毎月スペシャルゲストを招き、たっぷりと映画の魅力を語る特別番組『小堺一機のエイガタリ』を放送。第1回ゲスト、船越英一郎の回を2019年8月31日に放送する。

番組収録では、お二人ともロバート・レッドフォードについて大いに盛り上がったが、さらに収録後もレッドフォードについて、そして人生を変えた映画体験を熱く語ってもらった!

ということで、主演作『さらば愛しきアウトロー』を最後に引退を表明した名優ロバート・レッドフォード、そして世界の名作映画への想いをたっぷり語っていただきました。芸能界きっての映画好きとして知られる小堺さんと船越さんだけに、インタビューは想像以上にアツい内容になりましたよ!!

至言格言のつるべ打ち! 小堺&船越がレッドフォードを、そして映画愛を語る

―「エイガタリ」第1回、収録のご感想は?

小堺:こうやって(船越さんと)お仕事するのは久しぶりだったんですけど、いろんなお話がうかがえて嬉しかったです。

船越:小堺さんが司会をされていた「ごきげんよう」とかによくお邪魔してたんですけど、がっつりお話させていただくことはなかったですね。

小堺:今回、第1回のゲストが船越さんということで「わー、本当ですか!?」って、すごく楽しみにしていたんです。

―では、映画のお話をされたのも初めて?

船越:そうですね。

小堺:こんな風に、ずらっと話したのは初めてですね。

船越:もちろんね、小堺さんが映画に造詣が深くていらっしゃるっていうのは、当然のごとく(知っていた)。いつかお話を伺ってみたいと、そんな思いはずーっとあったんです。だから今日はお仕事じゃなくて、小堺さんの映画への造詣の深さもさることながら、“愛”をね、これだけ間近で浴びられたっていうのは貴重な経験でしたね。お金払いたいくらい……いや、払いませんよ!?(笑)

 

船越英一郎

―今回、俳優業引退を表明したロバート・レッドフォードについて小堺さんとお話されて(その模様は特別番組で)、あらためて気付いた魅力などはありましたか?

船越:僕は、どっちかというとレッドフォードについては理屈抜きで、“偏愛”みたいなものに近いんですね。かなり偏った愛情だと思います。でも、小堺さんはレッドフォードを“俯瞰”でとらえていて、その上きちんとレッドフォードへの想いも大変深いところでお持ちになっている。だから改めてレッドフォードの凄さというものを再確認させてもらった気がしますね。

レッドフォードは雄弁にセリフをしゃべっている時よりも、佇まいにものすごく色気を内包している人なんですよね。それは、僕らが目指す“極み”のはずなんですよ。いかに何もせずに、ただ佇んでいる、ただ微笑んでいる、ただ何か物思いにふけっている……それだけで、どれだけ多くの情報を感じ取っていただけるのかっていうところが、僕ら俳優の、誰もが目指す高みだと思うんです。そこに、ものすごく若くして到達した、稀有な、そして偉大な俳優だなと本当に思いますね。

―船越さんのレッドフォード愛について、小堺さんはどう思われますか?

小堺:お話してみたら、やっぱり同じところに共感していて。どちらかというと(レッドフォードは)日本人の好きな熱演型ではないんですよね。“魂”ができている芝居。だから黙って立っていてもカッコいいわけで、それはハンサムだから成立するんじゃなくて、ちゃんと“魂”がある上にハンサムだから。それは敵わないわけですよ。

船越:俳優として備えていなければいけないものを、全部持ってらっしゃいますからね。でも、あまりにも美男だったために、そしてあまりにもスターであったがために、どこか俳優としての本当の凄さが過小評価されてるような気がします。レジェンドっていうくくりではないところにいるべき方じゃないかなと思うんですけどね。残念ですね……引退。

王道の『さらば愛しきアウトロー』はかつてのアメリカの一番いい時代を追体験できる

―その引退作『さらば愛しきアウトロー』に対するご感想と、若い世代の映画ファンに注目してほしいポイントがあれば教えてください。

小堺:やっぱりね、(俳優陣の)至芸の数々を見てほしい。“演技賞”ってことで言うと「上手いな~」って人にあげるんでしょうけど、もう演技を超えて“その人を生きている”んですよ。その人そのものなんです。どの俳優も100点の芝居をしていて、監督さんも「今日も(演技が)見られるんだ!」って、さぞかし毎日現場に行くのが嬉しかったんじゃないかな。

船越:そう思います。デヴィッド・ロウリー監督(『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』ほか)は、サンダンス映画祭で見出された監督なんですよね。だから恩返しという想いも、もちろんあるんじゃないかと思うんです。アメリカン・ニューシネマから始まった、アメリカの一番いい時代の映画体験を、レッドフォードを観る=今の映画でできるっていう。これって実は、あるようでない体験だと思います。あの時代の映画を観なければ、あの時代に触れることは本来できないはずなんです。でも『さらば愛しきアウトロー』は今の映画でありながら、あの時代の映画体験を追体験できる。

若い人たちは昔の映画を観るのに、やっぱり少し抵抗があると思うんですよね。だからこそ、この『さらば愛しきアウトロー』で70年代から80年代、アメリカン・ニューシネマから始まったムーブメントが熟成した、その輝かしい1ページに今、触れる。今、体感できる。『さらば愛しきアウトロー』を水先案内人として、かつての映画への扉を開いてくれたら、こんなに素敵なことはないと思うんですよね。そして、その時代を生きた俳優さんたちへ思いを馳せていただけたらなと、そんな夢がたくさん詰まっている映画ですね。

 

小堺一機

小堺:レッドフォードさんらしいなって思うのが、(引退作が)ビッグバジェット(1億ドルを超える製作費の大作)の映画じゃなくて、ミニシアターで観るような映画で、男としてカッコいいなって感じがしますね。

船越:あえて自身の最盛期に、ビッグバジェットには背を向けた俳優ですもんね。

小堺:レッドフォードが思っていたのは、“どこに向けて作っているか”ということだと思うんですよね。この映画は、若い方が観れば「俺も歳とったらこういうことがあるんだろうか」とか「こういう恋愛できるかな」と思ったり、「もしかしたら俺も、こういうアウトローになっちゃうのかな」って思うだろうし。一方、お歳を召した方は「俺もこんなことあったな」とか、「こんな奴いたな」とか思うだろうし、世代を選ばない映画ですよね。

最近は10代の観客に向けて作っている恋愛映画もあるけど、僕らが観ていた頃は、ある一定の世代に向けた恋愛映画はなかったと思うんですよね。子どもが背伸びして観て、男の子は「ああ、いつかこういう恋ができたらいいな」なんて思ったり。ハリウッドも最近そうなってきてますけど、そもそも映画はどの世代が観ても楽しいはずなんですよ。それこそ勉強になったり、「こういう風にはなりたくないな」って思うことがあったり。つまらない例えだけど、ぬか味噌の“ぬか”を映画でかき混ぜてもらうみたいな、そういうことで自分が豊かになっていく。『さらば愛しきアウトロー』は特に若者のほうがワクワク観られるんじゃないかな。

船越:今の映画って、コアターゲットを決めてから作られるんですよね。それはそれでいいんです。だけど、映画が一番輝いていた時代には“王道”の映画っていうのがあったわけですよ。一番大きなバジェットをかけて作られる王道の映画があった上で、支流の映画もたくさんあった。その王道はすべからく、老若男女を問わず、全ての映画を観る人たちへ向けた作品だったんです。だからこそ“王道”なんですよね。でも、今はその王道が不在で、支流の映画しか生まれてこない。実は、これが一番憂慮すべきことなんじゃないか? と思っていた矢先に『さらば愛しきアウトロー』。出た、王道! そういうことなんじゃないかなと思います。

船越英一郎監督誕生の可能性はナシ寄りのアリ!?「誰か追い詰めてくれる人、いないですかね」

―レッドフォードは俳優引退後、監督など制作側に専念する可能性もありますよね。お二人は映画監督にご興味ありますか?

小堺:僕は全然ないです。あんな凄いこと、できないです!

船越:いろんなものを見聞きして、ある程度この世界で呼吸をしてしまうと、なかなか思い切ったところに踏み出せないですね。“餅は餅屋”だな、と実感することも多くて。ただ、一つの夢ですから「いや、僕はもう一生ないです」とは言いたくない。レッドフォードのちょっと逆説的な感じですけれど、生涯撮ることはなくても、朽ち果てる日まで「生涯、1本映画撮りてぇ」って言い続けたい……って、ロマンチストかな。

小堺:一番いいのは“撮らなきゃいけなくなる”ことですね。

船越:言い訳があったら、やれるような気がします。

小堺:『その男、凶暴につき』(1989年)の(北野)武さんみたいに、やらなきゃいけなくなるっていうのは、すごくいいきっかけなんですよね。

船越:『ア・ホーマンス』(1986年)の松田(優作)さんもそうですし。

小堺:会見を開いて「監督をやります」って言っちゃうと……。

船越:そんな風に追い詰めてくれる人、いないですかね?

小堺:ずっと黙っててね、後から「実は監督は船越さんでした」とか。

船越:覆面レスラーならぬ、覆面監督。現場でもずーっと覆面かぶってる。

小堺:みんな声でわかると思う(笑)

小堺一機(左)、船越英一郎(右)

―船越さんが「これに出演してみたかった」という作品はありますか?

船越:それはもう、枚挙に暇がないですね。でも現実的な話をすると、手に入れたものもあるんです。これについては幸せだなと思っていて、TVシリーズの『黒い十人の女』(2016年)は珍しく自分で手を挙げて「やりたい!」と、あちこちで叫んだものの、なかなか着地するはずもなく。3年ぐらいかかって映像化されたときには、本当にうれしかったですね。あとは、こちらもTVシリーズですが『赤ひげ』(2017年)です。いつか『赤ひげ』をやれたら、もう死んでもいいと思ってたんですけど、やっぱり死にたくない(笑)。でも、叶ったから言えることでもあるような気がするんです。古くさいですけど、大上段で「これが夢だ」と言うのも、もちろん大きな原動力にはなると思う。でも、秘めているからこそ夢なんだっていう想いもあって……あと、2つぐらいあります(笑)。

―では、もっとも苦労された役柄は?

船越:TVドラマ『船越英一郎殺人事件』(2018年)で自分を演じたのが一番苦労しました(笑)。自分で自分を演じる、こんな拷問みたいなことってないですね。でも、これもやらなきゃいけない状況を作ってくれたからできたので。もし自分で「『船越英一郎殺人事件』やりたいです」って言ってたらアレですから(笑)。

幸せの集中砲火! 思わず踊りたくなっちゃうミュージカル映画への抗えない愛

―収録中、ミュージカル映画『ザッツ・エンタテインメント』(1974年)のお話で盛り上がっていたのが印象的でしたが、ミュージカル映画の魅力はどこでしょう?

小堺:やっぱり観終わったあとの“幸福感”ですね。シニカルな方やミュージカル嫌いの方は「あんな夢みたいなもの」「善良な人しか出てこないなんて」と言いますが、世間を知っているからこそ作れたと思うんです。要するに“お花畑の人”が作った映画じゃない、それこそ魂が入っている人が善良な映画を撮っているから“力”があるんですよ。当時、映画製作会社<MGM>で働いていた人たちは多分、人生経験も豊富だったんじゃないでしょうか。

説明しちゃうとダサいんだけど、「もう踊りたくなっちゃう」みたいな心象風景を映像にしたのがミュージカルだと。人生がすごく楽しくて大通りでぐるぐる回って踊ったら、みんなも一緒になって踊ってくれた、みたいな。だから僕は『ザッツ・エンタテインメント』を観た時に、言葉にしてしまうとつまらないけれど、まず幸福感が来たんですね。「なんて幸せなんだろう」って。

親父が「戦争やってる時にアメリカはこの映画を撮ってたんだぞ?」って言ってて、つまり生きるか死ぬかって時にミュージカルを撮ってるんですよ。映画だしウソなんだけど、でも「“幸せな嘘”をみんなにあげようよ」って、一生懸命作ってるわけで。その集大成を見せられちゃったら、もう……。だって(もともとは)興味ないんですから。そんな僕がいっぺんにハマっちゃうって、すごくないですか?

ビートルズを初めて聴いたときに世界中の若者が、音楽を嫌いな人までもが彼らを好きになっちゃった。これを「魂が“イエス”と言ったんだ」って、上手いこと言った人がいて。だからあの映画もそうだと思うし、魂にイエスと言わせる映画に出会うと、やっぱりうれしいもんですよね。

船越:「あの映画のどこがいいんですか?」って言われても、説明できる人なんか誰もいないんです、きっと。理屈をこねることを拒絶するような世界があそこにはあると思うんです。でも、あれを観て「なんだこれ?」と思う人も、いないはずなんです。<MGM>だって、あの時代にミュージカルだけ作っていたわけじゃないですからね。それこそ様々な映画を作っていたんです。

あのヒッチコックが「僕の映画を観て、喧嘩していた夫婦やカップルが映画館から出る時に手をつないでいてくれたら、こんなに素敵なことはない」と言ったように、<MGM>は(ミュージカルで)それを目指したんだろうなって思うんですよね。やっぱり、当時のアメリカも大変な時代だったと思います。でも、映画館に行くことで少しだけ現実を忘れることができる。それは逃避じゃなく、現実を1回忘れて、また生きる力が、勇気が、ちょっとしたものが、そこで手に入る。もしかしたらアメリカという国が、あのミュージカルたちを必要としたんじゃないかなって。もしかすると、文化ってそうやって育まれて、そして時代を支えてきたんじゃないかなとも思うんです。

その集大成が、『ザッツ・エンタテインメント』にあるんですよね。だからもう理屈なんかいらないわけです。魂の、幸せの集中砲火みたいなものを、全部浴びるわけですから。そりゃ人生も変わりますよね。

テレビをつけて映画を観る、そこにエバーグリーンな作品との出会いが待っている

―小堺さんはCS映画専門チャンネル ムービープラスの「プレミア・ナビ」というミニ番組で、映画紹介を15年間やられていますよね。

小堺:思わぬ出会いを生む“名画座”のようなチャンネルとして、これからも皆さんに映画を紹介できれば! 私も映画を愛する者として、少し映画に恩返しができるかなと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

船越:偶然出会うことのすばらしさ。あるいは誰かが運んできてくれた、その出会いの化学反応。こういうことを僕らはきっと、楽しみ続けているんだと思うんですね。映画との出会いもそうです。僕だって最初は『ザッツ・エンタテインメント』は観たくなかった。親父が「観に行くぞ」と、家族の行事として仕方なく観に行ったんです。でも、それに人生を変えられたわけですよね。

今はオンデマンドで映画を観ることが主流の時代。手もとの操作ひとつで、好きな映画をチョイスして観る時代になっています。昔は、テレビから流れてくる映画を嫌でも観なきゃいけなかった。でも、そこでエバーグリーンな作品(不朽の名作)との出会いもあって、これだけの映画好きが2人生まれたんです。ムービープラスもそういうチャンネルであってほしいと思いますね。だから“選ぶ”じゃなくて、“たまたま放送されていた作品を、まずは観てみる”こと。

小堺:ザッピングしないで観てみる。「出会った!」と思って。

船越:映画は最後まで観なきゃわかりません。途中であきらめずに最後まで観たら、ものすごく素敵な出会いがあるかもしれない。そうして出会いが“プラス”になる、それが<ムービープラス>のプラスの部分なんじゃないかなって。

CS映画専門チャンネル ムービープラス30周年特番「小堺一機のエイガタリ#1 ゲスト:船越英一郎」は2019年8月放送

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