菅田将暉演じる天才数学者 vs 海軍! 「戦艦大和」建造の裏に何があったのか? 漫画原作『アルキメデスの大戦』

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ライター:BANGER!!! 編集部
菅田将暉演じる天才数学者 vs 海軍! 「戦艦大和」建造の裏に何があったのか? 漫画原作『アルキメデスの大戦』
『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

 

『ドラゴン桜』『砂の栄冠』など多様なテーマにユニークな発想で新たな解釈を生み出す漫画家・三田紀房の同名原作を、『永遠の0』(2013年)『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年)の山崎貴監督が実写化。“戦争”を新しい切り口で描いた意欲作『アルキメデスの大戦』が2019年7月26日(金)から公開中。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

戦争を止めようとした男の頭脳船

戦争、特に第二次世界大戦をテーマにした作品の多くは、その記憶を風化させないために語り継ぐという側面を持っているため、戦場の悲惨さや残された家族の悲哀に重点を置くことが多い。たくさんの人が死に、多くの血が流れる重々しい映画を観るのをためらってしまう人も少なくないだろう。ただし実際の戦場ではなく、あの時代を新たな側面から描くことで“戦争とは何だったのか?”を考えさせてくれるのが『アルキメデスの大戦』だ。かと言って、軍服を着た怖い顔のおじさんたちが怒鳴りあうだけの映画ではないので、そのへんも安心してほしい。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

本作は、軍隊という巨大組織に一人の若者が頭脳のみで戦いを挑むという痛快なエンターテインメントでありながら、戦争という大きな過ちに想いを馳せる。もちろん、VFX畑出身の山崎監督が再現した戦艦大和の迫力は圧倒的で、細部まで作りこまれたCGはマニアの皆さんも満足できるだろう。これはぜひ、劇場の大スクリーンで確認していただきたい。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

山本五十六「巨大戦艦を建造すれば日本は必ず戦争をはじめてしまう」

物語の舞台は1933年(昭和8年)、欧米列強との対立が激化した日本。世界中が不穏な空気に包まれていく中、軍事力の拡大を急ぐ日本の海軍は世界最大の戦艦を建造する計画を進めていた。しかし「今後の海戦は航空機が主流になる」と、航空主兵主義派の海軍少将・山本五十六(舘ひろし)がそこに待ったをかける。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

大きいだけの戦艦ではなく“航空母艦”を作るべきだと訴える彼と、海軍少将・嶋田繁太郎(橋爪功)が率いる“大艦巨砲”主義派は真っ向から対立。お互いの建造案をぶつけ合う中、大艦巨砲主義派の設計者である造船中将・平山忠道(田中泯)が出した巨大戦艦の予算見積もりが航空主兵主義派の航空母艦よりも安く、劣勢に立たされてしまう。

しかし、航空母艦の倍以上の大きさにもかかわらず巨大戦艦の方が安いことに疑念を抱いた山本は、独自に見積もりを算出して平山案の嘘を見破ろうと考えつく。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

そこで彼が目を付けたのが、元帝国大学の数学者・櫂直(菅田将暉)だった。100年に1人の天才と言われるこの男は数学に異常なまでの愛情を傾け、美しいと感じたものは常に持ち歩いている巻き尺で測らないと気が済まないという変人。おまけに大の軍人嫌いとあって、はじめは頑なに軍への協力を拒否したが「巨大戦艦を建造すれば、その力を過信した日本は必ず戦争をはじめる」という山本の鋭い言葉に、もともと欧米列強との戦争は無謀であると考えていた櫂は、ついに協力を決意する。

菅田将暉の演技力をベテラン俳優たちも絶賛! 現場で拍手も

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

情報隠蔽に妨害工作、誹謗中傷から嫌がらせまで、帝国海軍という巨大組織に単身挑む数学者・櫂直の部下として無理やりあてがわれたのは、海軍少尉・田中正二郎(柄本佑)。軍人としての常識を全く持ち合わせていない櫂に反発していた田中が次第に彼の人柄に惹かれ、相棒として成長していく様子はバディムービーとしても面白い。演じる菅田と柄本はプライベートでも仲が良いとのことで、息の合った掛け合いにも納得だ。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

「やってみせ 言って聞かせて させてみせ 誉めてやらねば 人は動かじ」と、上司の鏡のような名言を残した山本五十六を演じた舘ひろしは、その言葉を体現するかのような包容力のある演技を披露。俳優人生で初めて“丸刈り”にして挑んだという舘は、従来の日本映画で描かれてきた“なんか怖そうなおじさん”ではなく、威厳の中にもどこか柔らかさを併せ持つ、新しい五十六像を作り上げた。

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

そして何よりも目を引くのは、菅田将暉の圧巻の演技だ。戦艦建造計画の最終決定を下す大会議の席上、名だたるベテラン俳優が顔をそろえる中、長々とした数式を黒板にすらすらと書きながら、数学用語を駆使した長台詞をしゃべりきった菅田に、撮影現場では自然に拍手が沸き起こったという。

戦艦「大和」は何故、作られなければならなかったのか?

『アルキメデスの大戦』©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社

この作品はフィクションだが史実を基に構成されているため、結末も決まっている。数学者・櫂直がいかに奮闘しようとも、戦艦大和は建造されてしまうのだ。では、なぜ大和は作られたのか。いや、なぜ“作られなければいけなかった”のか?

この映画が描く、戦艦大和が背負った運命の解釈には賛否が分かれるかもしれない。しかし同時に、戦争とは何か、日本人とは何かを考えさせられもするだろう。とはいえ、エンタメ作品としても十分楽しめ、菅田将暉をはじめとする実力派俳優の演技を思う存分堪能できるはず。いわゆる“戦争映画”を避けてきた映画ファンにもぜひ観てほしい、まさに新時代の戦争映画だ。

『アルキメデスの大戦』は、2019年7月26日(金)全国東宝系にてロードショー

 

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『アルキメデスの大戦』

1933年。軍拡路線を歩み始めていた日本は、世界最大の戦艦建造計画を秘密裏に進めていた。だが省内には反対する者も。海軍少将・山本五十六は、巨大戦艦の建造がいかに国家予算の無駄遣いか、独自に見積もりを算出しようと考えていた。山本が目を付けたのは、元帝国大学の天才数学者・櫂直。ところが櫂は、数学を偏愛し、大の軍隊嫌いという一筋縄ではいかない変わり者だった。

制作年: 2019
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