「金の使い方を忘れた男」「主演俳優が心臓発作」「別事業で大成功」反逆の巨匠が贈る“超・実験的”大作が日本上陸
フランシス・フォード・コッポラ最新作『メガロポリス』ついに公開
『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』など数々の傑作を生みだしてきた映画界の超・巨匠フランシス・フォード・コッポラは、同時に業界の反逆者であり続けている。そんなコッポラ監督が数多くの困難を乗り越えながら、壮大なスケールで創り上げた14年ぶりの最新作『メガロポリス』が全国公開中だ。
本作は1980年代より温めてきた夢の企画であり、自身の私財1億2000万ドル(約186億円)を投じ40年もの長い年月を経て完成させたという、まさに積年の夢の実現と言えるだろう。
『メガロポリス』© 2024 CAESAR FILM LLCALL RIGHTS RESERVED
感嘆? ドン引き? コッポラ波乱万丈伝
“サイテー映画”の巨匠ロジャー・コーマンのもと低予算のエロティック映画やホラー映画からキャリアをスタートさせたコッポラ監督は、かつての盟友であったジョージ・ルーカスとの静かな確執、大手映画会社との派手なバトルなど、武勇伝(?)に事欠かない破天荒さでも有名だ。
Still from Dementia 13, Francis Ford Coppola, 1963, producer Roger Corman, budget $42,000 https://t.co/kmzyVH2OkX pic.twitter.com/DHCTPICeIZ
— Screen Slate (@ScreenSlate) April 30, 2024
まさに地獄のようだったという『地獄の黙示録』撮影中に、主演のマーティン・シーンが心臓発作を起こしたことは有名だ。『ゴッドファーザー』でマーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネが猫を撫でる有名なシーンは、スタジオ内をうろついていた野良猫をコッポラが即興でブランドに渡したことで生まれたという。
@peacock I know this is an iconic scene but all I can think about is that cat. #MarlonBrando #Movies #FilmTok #Godfather #Cat #TheGodfather Trilogy is streaming now on Peacock.
♬ Peacock_TheGodfather_Favor - Peacock
黒澤明監督との交流も知られるコッポラ監督だが、共有不可能な難解かつ巨大なビジョンと身銭を切りまくる強行突破スタイルなどから“映画界のナポレオン”と揶揄されたり、撮影中にクルーが大量離脱したことも。また、コーマン師匠からの依頼でソ連のSF映画を英語版に再編集した際には、ロシア語が分からないまま映像だけで構成を変えたというからスゴい。
In order to help Akira Kurosawa get more money for making ‘Kagemusha’ (1980), Francis Ford Coppola, who wasn’t a drinker, agreed to appear in a series of commercials along with Kurosawa for Japanese whiskey company, ‘Suntory’. pic.twitter.com/orL1h3pJ0z
— DepressedBergman (@DannyDrinksWine) April 7, 2024
そんなコッポラ監督だけに映画制作で巨額の負債を抱えることになるも、自身のワイナリー事業で得た収益を映画資金に充てることで映画事業を立て直したりと、名作を数多く生み出した巨匠なのに、その制作スタイルは常に綱渡り。ふたたび巨額の私費を投じ、撮影現場を混乱に陥れたという噂も囁かれた『メガロポリス』が“問題作”でないわけがないのだ。
メイキングカット
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