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「虐殺された民族」不条理な迫害はなぜ起こった?ソ連統治下の恐怖を悲喜劇に仕立てた『アメリカッチ』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「虐殺された民族」不条理な迫害はなぜ起こった?ソ連統治下の恐怖を悲喜劇に仕立てた『アメリカッチ』
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.
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アルメニア人虐殺を生き延びた祖父へ

ウッドストック映画祭長編映画賞・審査員賞・ハワード・ウェクスラー賞受賞、ハンブルグ映画祭観客賞受賞など、世界各国の映画祭で19の賞を受賞した本作。監督と脚本、そして主演も兼任したのはアルメニア系アメリカ人のマイケル・グールジャンで、彼の祖父はジェノサイドの生き残りだという。本作は監督の個人的なルーツに根ざした作品であり、また祖父への献辞でもあるだろう。

『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.

主人公チャーリーが逮捕される“奇妙な理由”をはじめ、本作はいちいちユーモアと風刺が効いている。そして監獄の窓から隣家の生活を覗き見ることで外とのつながりを得たチャーリーの“観察”というテーマが、作品全体を通して重要なモチーフとなっていく。

『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.

本作は重苦しいテーマを扱いながらも、観る者に希望を与える悲喜劇に仕上げている点が素晴らしい。ユーモアと哀愁を絶妙にブレンドし、歴史の残酷さだけでなく人々の温かさに焦点を当てた優しいタッチが大きな魅力だ。言葉の壁や文化の相違を笑いに変える監督のセンスも見事。観客はチャーリーの視点を通してディアスポラ(離散)、そして帰属意識の何たるかを理解していく。

『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』©2023 PEOPLE OF AR PRODUCTIONS and THE NEW ARMENIAN LLC All Rights Reserved.

歴史の影に隠れた個人の物語を、ユーモアと温かさで描き出した『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』は全国公開中。

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