「拷問・横領・冤罪・誤捜査」韓国警察の不祥事と世論を動かす実録映画&フィクションならではの大胆クライム劇
汚いカネには手を出すな!大胆な現金強奪を描く『ダーティ・マネー』
当然ながら(?)警察官による金銭の横領事件も複数発覚していて、不法賭博事件で押収した現金を横領したとして逮捕された例もある。韓国警察庁の調査によると全国の警察署で押収物が杜撰に管理されていて、刑事司法情報システムへの登録が遅れるケースが多数確認されているという。
5月30日(金)より全国公開となる映画『ダーティ・マネー』は、金に困った刑事たちが犯罪絡みの大金を横取りしようと画策するクライム・アクション。特定の事件が題材になっているわけではないようだが、あまりにも大胆な横領、もとい強奪計画はフィクション劇ならではのスケール感だ。
『ダーティ・マネー』©2024 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEEYANG FILM All Rights Reserve
兄弟のように仲の良い刑事のミョンドゥク(チョン・ウ)とドンヒョク(キム・デミョン)は、中国マフィアが資金洗浄のために大金を本国に密輸するという情報を偶然入手する。ミョンドゥクは病気の娘の治療費を稼ぐため、ドンヒョクはギャンブルの借金返済のため、追跡不可能な大金の強奪を企てるが、邪魔が入り計画は失敗、さらには銃撃戦で大勢の死者が出てしまう。刑事として自身の犯した事件を捜査することとなった二人は必死に誤魔化そうとするが、証拠が増えるにつれて嫌疑が彼らに向けられ始め、徐々に追い詰められてゆく――。
『キングメーカー』手がけた韓国ノワールの新星が描く濃厚クライム劇
本作は、『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』(2017年)で韓国ノワールの新星と称えられ、『キングメーカー 大統領を作った男』(2021年)では実在の政治家・活動家をモデルに欲望と運命が交わる政治の世界を描いた脚本家、キム・ミンスの監督デビュー作だ。
『ダーティ・マネー』©2024 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEEYANG FILM All Rights Reserve
捜査も裏金を取りまとめる“副業”も一緒にする実の兄弟のような二人の汚職刑事が、一線を超えて危険な大金に手を出したことをきっかけに繰り広げられる事件を描く本作。主演を務めるのは、『善惡の刃』『野獣の血』など、多くの話題作への出演を通して特異な存在感を放ち続けるチョン・ウ。そして『ゴールデンスランバー』『国際捜査!』のキム・デミョンが弟分の刑事、『SEOBOK/ソボク』『市民捜査官ドッキ』のパク・ビョンウンが広域捜査隊のチーム長、「D.P. -脱走兵追跡官-」のチョ・ヒョンチョルが現金強奪に手を貸す後輩警察官を演じている。
実話ベースのサスペンスやヒューマンドラマとは異なる、派手なドンパチや容赦ないバイオレンスは、まさに韓国クライムの真骨頂。あまり前情報を入れずにフラリと映画館に入ってザクッと鑑賞したい、新たな快作に要注目だ。
『ダーティ・マネー』は5月30日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開