児童養護施設で暮らす少女ルーは「明日、ママが迎えに来る」と言われ、あふれる喜びを押し殺して待ち続ける。
ママと最後に会ったのはいつだったか、もう覚えていない。オレンジの香りがしたママ。「すぐ戻る」という約束だけして、ハリウッドに行ってしまった。でも、夜空の星がママと自分をつないでくれている。
盛大に遅刻しつつも、ママは本当に迎えに来た。想像していたよりガサツな感じだけど、なんだかクールな気もする。ボロいクラシックカーに乗せられ、ケータイは投げ捨てられてしまった。すぐに戻らなきゃいけないのに、ママは「お祖母ちゃんに会いに行く」と言い車を走らせる。
『KIDDO キドー』©2023 STUDIO RUBA
母と娘の奇妙なロードムービー『KIDDO キドー』
かなり強引な幕開けで始まる映画『KIDDO キドー』は奇妙なロードムービーだ。「1日1回は叫ばないと気がヘンになる」と言うママのカリーナが、とにかく破天荒。「これは誘拐なの」と言われた娘ルーは面食らいながらも、ボロ車でお祖母ちゃんのいるポーランドまで行くことになる。
『KIDDO キドー』©2023 STUDIO RUBA
ルーは母親恋しさのあまりカリーナに従っているようにも見えるが、初めてのママとの旅は新鮮で、ワクワクする気持ちを隠せない様子。もちろん2人の行動は現実的には多くの問題があるわけだが、しつこいほどに挿入される効果音がポップな印象を植え付け、悲壮感を感じさせない。
『KIDDO キドー』©2023 STUDIO RUBA
『KIDDO キドー』
ママがやって来る!児童養護施設で暮らす11歳の少女ルーのもとに、離れ離れだった母親のカリーナから突然連絡が入る。自称ハリウッドスターのカリーナは、再会を喜ぶルーを勝手に施設から連れ出し、「ポーランドのおばあちゃんのところへ行く」と告げる。カリーナにはルーとずっと一緒にいるための、ある計画があったのだ。「人生はゼロか100かよ、キドー(お嬢ちゃん)」。ルーは破天荒な言動を見せるカリーナに戸惑いながらも、母親と一緒にいたいという思いでついていくのだが……。
監督:ザラ・ドヴィンガー
出演:ローザ・ファン・レーウェン、フリーダ・バーンハード、マクシミリアン・ルドニツキ、リディア・サドウカ ほか
| 制作年: | 2023 |
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2025年4月18日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、京都シネマ、テアトル梅田ほか全国順次公開