「セリフなし」「復讐映画」「ジョン・ウー監督」気になる要素だらけの斬新アクション『サイレントナイト』のスゴ味
「セリフ無しの主人公」は成立するのか?
血濡れのクリスマス・セーター姿で猛ダッシュするジョエル・キナマン。激しいカーアクションに巻き込まれ、撃たれた首から血が吹き出す。いきなり“死”が脳裏をよぎる壮絶な展開だが、手術を受けて一命を取り留める。そう、声帯を失った「喋れない」主人公の誕生だ。
幸せな一日になるはずだったクリスマス・イブのその日、ギャング同士の銃撃戦に巻き込まれた男は、目の前で愛する我が子の命を奪われる。自らも重症を負った男は、なんとか一命をとりとめたものの声帯を損傷。絶望を叫ぶ声すらも失ってしまう。
声なき男の悲しみはやがて憎悪へと変わり、悪党どもへの復讐を決意。ギャング壊滅の日は次の12月24日。聖なる夜に、誰も観たことのない壮絶な復讐劇が幕を開ける――。
『サイレントナイト』©2023 Silent Night Productions, Inc. All Rights Reserved
4月11日(金)より公開中の映画『サイレントナイト』は全編にわたって、セリフらしいセリフがない。つまり冒頭のダサセーターと映画タイトルには2つの意味があったことがわかる。もちろん誰もがほとんど喋らないので、登場人物たちの名前も年齢も基本的には不明だ。しかし、それらがむしろ本作の魅力であり、物語の最大の推進力となる。
Joel Kinnaman as Godlock in Silent Night. Photo Credit: Carlos Latapi
主人公の妻を演じるのは、『そして、ひと粒のひかり』(2004年)でコロンビア人として初めてアカデミー賞にノミネートされたカタリーナ・サンディノ・モレノ。人気ラッパーのキッド・カディことスコット・メスカディが事件を知る刑事を演じる。
Scott Mescudi as Vassell in Silent Night. Photo Credit: Courtesy of Lionsgate