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「AIロボットが人権を主張し暴動」「武力で鎮圧し隔離」SFなのに既視感がスゴい『エレクトリック・ステイト』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「AIロボットが人権を主張し暴動」「武力で鎮圧し隔離」SFなのに既視感がスゴい『エレクトリック・ステイト』
Netflix映画『エレクトリック・ステイト』独占配信中
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往年の冒険アクション×ストレートな政治・社会批判

本作は米クリントン政権時代(90s~Y2K)をベースに現実世界のポップカルチャーや政治をまんま盛り込んでいて、劇中に登場するドキュメンタリー番組から“当時のもの”とされるニュース映像、そして馴染み深いキャラクター(ロボットや看板など)まで、観客それぞれの実際の記憶と自然に混ざり合う。研究室みたいなハイテク施設で使われているのが仮想キーボードとかじゃなく、当然のようにガチャポコしたメンブレンなのもポイントが高い。

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人間とロボットとの関係をざっと説明していく冒頭シークエンスからグッと惹き込まれ、その共存関係に亀裂が生じて全面戦争に至った過程も(現実世界で既視感ありまくりのため)非常にわかりやすい。非人道的なロボット隔離政策や延々と続く高い壁などはアパルトヘイトかメキシコ国境か、もちろんガザ地区も想起させる。

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対ロボット戦争をヒロイックに振り返り、そこで政府側の勝利を祝ったという実在のミュージシャンの名も明らかな皮肉として引用。ルッソ兄弟もイタリア系移民の孫だが、人類の都合で作られ破壊されるロボットは低所得労働に従事する移民のメタファーだろう。乞われて来たのに「治安の悪化を招く」とか「嫌なら出ていけ」と排除される不条理は、私たちも日常的に目にしている(あるいは目を背けている)紛れもない現実だ。

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プレ・インターネット文化アーカイブとポストAI時代への警鐘

ロボットたちは機械的なリアルさとデフォルメが混在していて、CGアニメ映画『ロボッツ』(2005年)のようにブリキ的な2D質感もあえて残したデザイン。『キルボット』(1985年)や『ショート・サーキット』(1986年)、『デッドリー・フレンド』(1986年)、あるいは近年の「トランスフォーマー」映画のような無機質メカっぽさを乗せつつ、ポップなだけでなくレトロな人工物ならではの不気味さも醸し出させる。ちなみに戦勝への貢献によって普及したというニューロキャスターなるシステムは多機能すぎるVRみたいな感じで、人類の依存度が凄まじい。

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弟を探すため謎のロボットと怪しいおっさんとともに旅に出ることになる主人公、ミリー・ボビー・ブラウン。大筋としては若者の「成長物語」として気楽に鑑賞できるし、往年のロボット交流もののような感動も搭載。近年のジュブナイルもので最大のヒット作である『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年~)で世に出たミリボビを主演に迎えたのは納得だ。他キャストもお笑い担当のクリス・プラットとアンソニー・マッキー(声の出演)のMCU勢に、ジュブナイルものの大先輩でもあるキー・ホイ・クァン、最近は悪人ばかり演じているジャンカルロ・エスポジートとジョブズみ全開のスタンリー・トゥッチと、文句なしの豪華さである。

The Electric State. Chris Pratt as Keats in The Electric State. Cr. Paul Abell/Netflix ©2025

本作は久しぶりに大スクリーンでも観たくなる冒険アクションの快作だ。そもそもストーレンハーグ作品の実写映画化なのだから、寂寥感のあるノスタルジックなSFが好物という映画ファンは今すぐ鑑賞すべき。音楽使いもいちいち最高なので、終盤はもうずっと笑い泣きみたいな状態になるかも?

Netflix映画『エレクトリック・ステイト』は独占配信中

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