「ヒャッハー無しのマッドマックス」「A24ビンゴの大穴」!? ドライに泣かせる暴力映画『奪還者』の魅力
ガイ・ピアース、ロバート・パティンソン、スクート・マクネイリーという絶妙に頼もしくない、あるいはスネにキズ持つ系の役を演じさせたらゴリゴリにハマる俳優たちが総出演した映画がある。2013年製作の『奪還者』は、大切な愛車を強盗団に奪われた男が執念の追跡劇を展開するバイオレンス・サスペンスだ。
『奪還者』© 2013 Rover Film Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen NSW and the South Australian Film Corporation
「A24ビンゴ」の大穴作品?
2020年には<A24ビンゴ>なるものを公式SNSがシェアしていたが、それが中身を変えて数年後に日本でもプチバズったことを覚えているだろうか。そのビンゴがA24作品の公開ラッシュを受けてか今年に入って再び拡散されたのだが、その中で「これだけ観てないわ…」「これA24だったの!?」という扱いを受けていたのが『奪還者』であった。
この投稿をInstagramで見る
そんな不遇のA24作品である『奪還者』だが、同スタジオの設立が2012年なので最初期の作品ということになる。同年にハーモニー・コリン監督の『スプリング・ブレイカーズ』が話題を呼び、翌年にはソフィア・コッポラ監督の『ブリングリング』もスマッシュヒット。ジョナサン・グレイザー監督、スカーレット・ヨハンソン主演の『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』が2014年、そして本作は2015年に日本公開された。
当時はまだ制作スタジオとしてのA24には注目が集まっていなかったので、スルーしていた人が多いのも不思議ではない。しかしコアな映画ファンは公開時にしっかりチェックしていて、とくに“青白い吸血鬼青年”ロバート・パティンソンのイメージを劇的に変えた作品としてなかなかの高評価を得ていたようだ。
パティンソンといえば主演最新作『ミッキー17』(監督:ポン・ジュノ)が今年3月28日に公開を控えているが、その変貌ぶりがよく分かる。
_ROV7588.nef