「麻薬ダメ、ゼッタイ」を大マジメに訴えたヒップホップ映画?SNSでバズり続ける『ニュー・ジャック・シティ』とは
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“ニュージャックスウィングの時代”に生まれた犯罪アクション
いまやヒップホップは日本でも絶大な人気を誇る一大ジャンルとなった。90~00年代にも全国的なブームがあったが、サブスクの普及もあって当時とは比較にならないほど幅広い層に浸透している。
ヒップホップ映画、黒人映画といえば1982年の『ワイルド・スタイル』にはじまり、スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)や2Pac主演の『ジュース』(1992年)、アイスキューブ主演の『ボーイズ’ン・ザ・フッド』などなど、ご存知の通り多くの傑作がある。
なかでも1991年の『ニュー・ジャック・シティ』は実在の麻薬王をモデルに、病めるアメリカを極限のバイオレンス描写と弾けるような音楽で描いた名作だ。しかし、熱心な音楽・映画ファンやブラックカルチャーを愛する人々に支持されている一方で、お茶の間規模では長らくスルーされてきた。
『ニュー・ジャック・シティ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
いま観ると犯罪映画としてチープな部分はあるものの、自ら出演もしたマリオ・ヴァン・ピーブルズはクリント・イーストウッドから製作を後押しされただけあって、その気合が漲っている。90年代を代表するスター俳優ウェズリー・スナイプスや、ガチのギャングだった過去を持つアイス・T、そしてウィル・スミスにビンタされたコメディアンというイメージが定着してしまったクリス・ロックなど、キャストも実力派ばかりだ。
“ニュージャックスウィングの時代”に生まれ、再びじわじわと注目を集めている『ニュー・ジャック・シティ』。今こそ観ておきたい魅力、30年を経ても変わらぬ面白さはどこにあるのだろうか。
『ニュー・ジャック・シティ』© Warner Bros. Entertainment Inc.
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