まさかのオカルト!『シン・タイタニック』
米国の映画スタジオ、アサイラム社が2022年にリリースした映画、『シン・タイタニック』(原題:『TITANIC RISES』)。その名の通り、1912年に沈没した豪華客船<タイタニック号>がテーマの作品だ。
が、実はこの映画、ジャンルがまさかの“オカルト・ホラー”。ジャケ画をぱっと見ただけではまったくわからないが、作中にはバリバリ悪霊が登場する。
というわけで今回は、久々にクレイジーさを発揮したアサイラム社渾身の問題作、『シン・タイタニック』を紹介していこう。
もしかすると邦題の<シン>は、心霊現象の<心(シン)>だったのかもしれない。
アサイラム製タイタニックという名の泥船、絶望の処女航海
物語は1912年の、<タイタニック号沈没事故>からスタートする。讃美歌「主よ御許に近づかん」が流れる中、大勢の乗客が船から落下し、共に沈んでいくこのオープニングは、アサイラム印のチープさを差し引いてもなお物悲しいもの。
もっとも、海に沈んだ犠牲者の一人はその後、“即ゾンビ化して別の生存者を道連れ”にしはじめる。なまじ半端に史実をなぞっているがゆえに倫理的な意味で最悪な導入から、アサイラム製タイタニックという名の泥船は処女航海に乗り出す。
さて、月日は流れて現在。かつてのタイタニック号の姿を忠実に再現した、次世代の豪華客船<タイタニック3号>がついに完成する。外見こそ同じでも、設備技術は最新式で安全性もバッチリ。そして船内には初代タイタニック号の遺物がずらりと展示されており、のちのち高値で取引が行われる予定とのこと。
「亡くなった乗客の私物を客寄せパンダに用い、あまつさえ売り捌こうとするなんて、遺族や犠牲者の方々に不謹慎じゃないか」と思われるかもしれない。が、その点は作中でちゃんと問題視されており、中盤以降のシナリオ進行に深く関わる部分でもあるためご安心いただきたい。まあ、あえてその辺を突き詰めるなら、この映画の存在そのものがぶっちぎりで不謹慎なのだが。
ともかく一般客から大富豪、大物インフルエンサーなどを乗せ、無事出港することとなったタイタニック3号。優雅な船旅が始まるかのように見えたが、実は船内には一人、密航者の少女が潜んでいた。この度の船出と遺品の展示会に、なにやら思うところがある様子の彼女は、突如として謎の魔術儀式を実施。その結果タイタニック3号は呪われ、悪霊が船内をさまよい出すようになる。さらに制御が効かなくなった船体は、まるで初代タイタニック号の後を追うかのように、氷山へ向かって強制的に前進させられてしまう。
阿鼻叫喚の地獄絵図の中、女性船長のローズは、事態解決のために密航者の少女とコンタクトを取ろうとするが……。
というのが本作の概要である。
『シン・タイタニック』
かつての悲劇から110年後の2022年。最新設備を備えつつ、外見は初代を復元した“タイタニック3号”が大西洋を初クルーズ。かつての遭難現場に近付いた頃、異変は発生した。突然、システムがダウンし、船は制御不能に。さらに乗客たちに不気味な怪奇現象が襲いかかる。
監督:ニック・ライオン
出演:キーシャ・シャープ リディア・ハースト アナリン・マコード
制作年: | 2022 |
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CS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年1月放送